40歳を過ぎたら定期的な検査を
大腸内視鏡検査の流れと注意事項
かわさき内科クリニック
(荒川区/小台駅)
最終更新日:2024/11/29


- 保険診療
近年、大腸がんの早期発見に有用な手段として注目を浴びている大腸内視鏡検査。大腸がんやそのもととなるポリープなど、大腸の異常は痛みによる自覚症状がないため、健康診断を受けるタイミングなどで内視鏡検査を受診するのが望ましい。特に40歳を超えると、大腸に異変が起きる人が増加するため、健康な人でも3年に1度は検査を受けておきたい。一方、内視鏡検査には「痛そう」「苦しそう」というイメージがつきまとう。しかし、検査器具や麻酔の進歩によって、検査の痛みや苦しさはほとんど感じないという。内科・外科問わず幅広い知識を持ち、多くの検査実績を持つ「かわさき内科クリニック」の川崎孝広院長に検査の流れとともに詳しく解説してもらった。
(取材日2024年3月14日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査を受けるのはどのタイミングが良いのでしょうか?
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A
大腸がんも大腸ポリープも、基本的には自覚症状がありません。ですので、大腸内視鏡検査を受けるタイミングとしては、健康診断などで便潜血検査を行った際、便の中に出血が見られることがわかった時点でお越しいただくことが多いです。また、健康診断以外でも、日常生活の中で血便が出たり、下痢や便秘を繰り返したりと、不安がある状態のときに内視鏡検査を受けていただくのが良いと考えています。また、今まで異常がなく健康という方でも、できれば男女ともに40歳になったら一度検査することを強くお勧めしています。がんになる前の良性のポリープを見つけ切除することも、大腸がんの予防につながります。
- Q内視鏡検査中、痛みや苦しさを感じないか心配です。
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A
結論から言いますと、体の中に管を入れるわけですから、どうしても違和感は生じます。ですが、その違和感をつらさや苦しさに変えないよう工夫して検査しますので、ご安心ください。基本はできるだけゆっくりと行い、苦しくないように行っていきます。もし不安な方は、麻酔をかけてから検査することもできますし、麻酔の後はしばらくお休みいただきますが、そのリカバリーを含めても2時間~2時間半くらいでご帰宅いただくことができます。大腸内視鏡検査は、何も問題がなければそれ以降は3年に1度くらいのスパンで受ければいいため、しっかりとした技術のクリニックで受ければ精神的な負担にはならないはずです。
- Q検査を受ける際、患者側が注意すべきことはどんなことですか?
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A
医師による指導に従っていただく必要がありますが、中でも、前日夜の食事は検査結果に影響しますので避けてください。特に葉物野菜、ゴマ、果物、キノコ類、海藻類などは原型が残ったまま大腸に入るため、検査時に障害物になり異変を発見できなくなる可能性があるからです。検査後、特に異常なく終わった場合はすぐに日常生活に戻っていただいて構いませんが、もしポリープを除去した場合は、そこから出血する可能性が残っています。ですから、運動や飲酒、入浴、刺激の強い食べ物は控えてください。その他注意点があれば丁寧にご説明しますので、ご安心ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診で生活習慣や手術歴のヒアリングと必要な事前説明
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まずは問診と検査の事前説明が行われる。問診では、日常生活で下痢や便秘の症状があるかどうか、また喫煙や飲酒などの生活習慣をヒアリングされる。患者が日頃から高血圧であると自覚している場合は、麻酔使用の相談も行う。また、腹部の手術歴がある場合は、術後に大腸局部に癒着がある場合も考えられるので、どんな手術をいつ受けたかなどは詳しく共有しておこう。
- 2下剤を使って検査の準備を行う
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検査用に腸内環境を整えるため、下剤を服用する。下剤の作用は個人により差があるため、便の状態で状況を確認することになる。患者にも判断しやすいよう便の状態は写真とともに説明。下剤は、基本的には自宅でリラックスした状態で服用してから来院。心配な人はクリニックでの服用も可能。飲料タイプの下剤が基本だが、飲みにくい場合はさらに水で薄めることも。それでも服用に抵抗感があれば、カプセルタイプの下剤も検討できる。
- 3検査では、内視鏡を必ず腸内2往復以上させる
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検査時には、内視鏡を必ず腸内2往復以上させていく。それぞれの往復時に、未発見の病巣がないよう、慎重かつスピーディーに検査が進められる。このとき、途中で照射するライトを替えることで、異変を見逃さないよう慎重に検査していく。ポリープが発見された場合は、見失わないうちにすぐに切除を行い、将来の大腸がんのリスクを絶っていく。
- 4検査後、リカバリースペースで休む
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検査後、患者はリカバリースペースに移動し、体を休ませる。麻酔を使用している場合は、麻酔から完全に覚めるまで休む。麻酔が作用する時間は個人差があるという。しばらく休んだ後、必要な注意事項の説明を受けてから帰宅する。
- 5検査結果の説明を受ける
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検査日から平均10日程度で検査結果が出るため、再度、検査結果を聞きに受診する。説明時には、一通りの検査過程について、画像を見ながら説明を受ける。検査結果に対して、日常的に気をつけるべき点などのアドバイスを受け、問題なければ検査終了となる。新たに異常が見つかった場合は、提携の大学病院の紹介を受け、手術に関する相談を進めるなど、必要に応じた対応を行っていく。