睡眠時無呼吸症候群は子ども・女性も要注意
歯科での治療法を紹介
かわい歯科
(門真市/門真市駅)
最終更新日:2023/12/06
- 保険診療
睡眠中に何度も呼吸が止まる、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気がある。世間一般では太り気味の中年男性に多いというイメージが強いが、近年は若い女性や子どもの患者も増えており、他人事ではない由々しき問題といえるだろう。そんな睡眠時無呼吸症候群に、歯科の立場から積極的に取り組んでいるのが「かわい歯科」の河合利彦院長。顎口腔の機能障害や有病者歯科に精通していることもあって、早くから睡眠時無呼吸症候群に着目。耳鼻咽喉科や内科とは異なる、マウスピース器具を用いた保険治療の提供と普及に力を注いでいる。今回は意外と知られていない歯科でのアプローチを紹介し、その意義やメリットに詳しく迫ってみた。
(取材日2023年5月26日)
目次
年齢や性別を問わず手軽に行える、マウスピース器具による睡眠時無呼吸症候群の治療
- Q睡眠時無呼吸症候群とは、どのような病気でしょうか?
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A
人は夜、脳を休めるために睡眠して回復を図ります。ところが何らかの理由で息が止まれば、十分な酸素や栄養分が脳に行き渡らず、寝起きが悪い、日中も眠たいなどの症状が現れます。それが睡眠時無呼吸症候群という病気です。原因には呼吸中枢の異常もありますが、舌が喉の奥に落ち込んで気道がふさがる閉塞性のものが大半です。睡眠時無呼吸症候群を放置していると生活上の不便さだけでなく、循環器に負担がかかり、脳卒中や心不全などのリスクが高くなるケースがあります。「仰向けに寝ると喉が詰まる」「寝ようとすると息が止まる」「いびきがうるさいと家族から言われた」などの自覚症状のある方は、特に要注意といえるでしょう。
- Q歯科で睡眠時無呼吸症候群の治療を行う理由を教えてください。
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A
睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療は耳鼻咽喉科や内科が一般的で、歯科と聞いて意外に思う方がおられるかもしれません。私はもともと大学病院で、摂食嚥下障害や構音障害、睡眠時無呼吸症候群といった機能障害を専門としていました。現在もそれを継続し、地域の医科の先生方と連携しながら患者さんの症状改善に取り組んでいます。「睡眠の質」は非常に大切で、例えばうつ病などの精神疾患や脳卒中を繰り返す患者さんをよく調べてみると、原因が睡眠時にあったというケースが多々あります。早期に治療すれば不測の事態も避けられたかもしれません。治療には医学的データや背景疾患の精査も必要ですから、受診時は専門の医療機関と連携します。
- Q最近では睡眠時無呼吸症候群の女性が増えているそうですね。
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A
「夜中に自分のいびきで目を覚ました」「夫からいびきを指摘された」という女性からの相談が増えています。統計的には、50歳以上だと男女差はほとんどありません。また、顔や顎の小さい方はいびきをかきやすい傾向があり、若くて痩せ形だからといって油断は禁物です。お子さんでも扁桃腺が腫れやすい4〜6歳頃、いびきをかいて寝不足になるケースがあるほどです。近年は独身や独居で誰からも指摘されずに自覚のない方や、自覚はあるものの恥ずかしいという理由で受診をためらっている女性も多いようです。いびきが夫婦間の問題にまで発展してしまう懸念もありますから、もし症状があれば、ためらわずに治療を受けることをお勧めします。
- Q具体的には、歯科でどのような治療を行うのでしょうか?
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A
まず、歯科では睡眠時無呼吸の診断は行えないため、疑いのある方はまず耳鼻咽喉科や内科などで検査を行い、診断してもらう必要があります。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、筆頭に挙がる治療法はCPAP(持続陽圧呼吸療法)ですが、こちらは比較的重い症例に適応します。歯科ではスリープスプリントという透明なマウスピース器具を上下の顎に装着する方法で気道への舌の落ち込みを防ぐことを図ります。器具の装着は睡眠時のみで、CPAPのように夜間トイレの度に装置を外す必要はありません。通院も型採りと完成品装着の最低2回。保険適用で、丁寧に扱えば何年でも使えますから、開始時以外のランニングコストはほとんどかかりません。
- Q「かわい歯科」で治療を受けるメリットを教えてください。
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A
当院では障害のある方や精神疾患のある方、車いすの方などにバリアフリーな歯科診療を提供しています。普段から地域性を重視していることもあって、近隣エリアでいびきや睡眠時無呼吸症候群を扱っているすべての医療機関と連携し、数多くの症例に携わってきました。当院での治療にとどまらず、さまざまな相談窓口になることも私たちの仕事。CPAP治療を検討している方も、気軽にご相談いただければと思います。また、いびき治療の満足度から歯科への関心も深まり、歯のメンテナンスのためにリピート受診してくれる患者さんが増えればうれしいです。こうした相乗効果が期待できるのも、歯科ならではのメリットかもしれませんね。