自覚症状がない緑内障
定期的な検査・治療で正確な対応を
おかだ眼科
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
40歳以上の20人に1人が罹患するともいわれる緑内障。主に眼圧の上昇により視神経がダメージを受けて発症する疾患とされるが、ほとんど自覚症状がないことが緑内障の怖いところ。リスクの高まる40代以降になっても「一度も検査を受けたことがない」という人は多いのではないだろうか。検査・治療の重要性を理解してもらうため、患者と医師の信頼関係を何よりも大切にしている「おかだ眼科」の岡田明院長は、正確な眼圧データをそろえるべく「無治療時の平均眼圧」を確認することを重要視している。治療の必要性を慎重に判断し、正しい診断と丁寧な説明で患者の納得を引き出せるよう全力を尽くす。同院で行われている診療の詳細、検査・治療で大切なこと、診断に大きく関わる視神経乳頭の基礎知識などを聞いた。
(取材日2020年5月29日)
目次
患者との信頼関係構築に注力。緑内障治療の必要性を適切に判断し、無治療時平均眼圧を調べ、治療効果を確認
- Q緑内障とはどのような病気なのでしょうか?
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A
緑内障は目の奥にある視神経が傷み、視野が狭くなって「視野障害」が進む病気です。しかし人間の脳は優秀で、視野が狭くなり欠けた部分の映像を作り出して補うため、自分では視野障害に気がつきにくいです。視力の良しあしは関係なく、重度の緑内障でも「視力1.5」という人も。気づきにくいため自覚した時点では手遅れというケースが多い病気なので、自覚する前に発見することが大切です。40歳以上の20人に1人が緑内障といわれますが、私は「40歳以上のすべての人が緑内障」であると考え、別疾患で受診された人であっても必ず視神経を観察します。基本はゆっくり症状が進みますが、ごくまれに急激に進行するタイプの緑内障もあります。
- Q診断・治療で最も重要なことを教えてください。
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A
まずは眼底検査で目の奥の中心付近にある、視神経乳頭と呼ばれる白い円の凹み方を診ます。緑内障の所見があれば視野検査に進みます。視神経乳頭の凹み方と、そこから推測される視野障害の場所や程度の一致を確認し、初めて緑内障だと診断がつきます。なぜなら視野障害イコール緑内障ではなく、視神経乳頭の形と視野の欠けた部分が一致しない場合は、網膜剥離や脳梗塞など別疾患の可能性もあるからです。また治療で一番大切なことは、患者さんとの人間関係です。複数回かけて行う「無治療時平均眼圧」のデータ集めも含め、緑内障の診断・経過観察・治療継続の重要性をご理解いただくために、信頼関係の構築に努めなければならないと考えています。
- Q視神経乳頭の大きさには個人差があるとお聞きしました。
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A
そのとおりです。一般的な大きさの乳頭を持つ方に加え、生まれつき乳頭が大きい「大乳頭」、もともと小さい「小乳頭」の人がそれぞれいて、すべての人の乳頭に最初から凹みが存在します。「大乳頭」の人は健常でも凹みが大きいため、凹みの大きさだけで見ると緑内障だと思われがち。逆に「小乳頭」の人は生まれつき凹みが小さく、仮に緑内障であっても受診につながらず進行してしまっているケースも多いですね。重要なのは視神経乳頭の凹み自体の大きさではなく、乳頭に対しての凹みの割合とその形です。眼底検査で視神経乳頭の凹みを正しく観察し、その診断から予想される結果を見据えて検査をオーダーし確認する。それが私の診療スタイルです。
- Q「無治療時平均眼圧」を調べることの必要性を教えてください。
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A
緑内障は、目の硬さである眼圧を下げるための治療が基本ですが、それも正確な判断があってこそ。「眼圧が高いから即治療」ではなく、まずは治療せず3~4回ほど眼圧を測って、もとの平均値、つまり「無治療時平均眼圧」を調べることが重要です。走ったり緊張したりすると血圧が高くなるように、何らかの理由でそのときだけたまたま眼圧が高い可能性もあり、1回の眼圧計測だけで確定するのは尚早だからです。月1回、時には測定時間帯も変えながら眼圧のベースラインを計測しデータをそろえ、治療開始後の、治療効果妥当性の判断基準とします。つまり治療の継続や追加、変更を決定する際に重要な要素となり、効果的な眼圧下降につながるのです。
- Q緑内障の治療方法を教えてください。
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A
緑内障の治療は、眼圧を下げるために目薬をさすことが基本で、一部には手術もあります。しかし現在は、治療に役立つ点眼液がたくさんあるので、手術の割合はとても低くなっています。ただし、間違った目薬のさし方をすれば目の周辺に悪影響が出たり、保管方法を誤ると目薬の効能が失われてしまったりすることもあります。来院時には目薬の使用量を確認し、正しい量・回数をきちんとさせているかを判断して、もし問題があれば患者さんにご納得いただけるよう、丁寧に説明させていただいています。点眼治療においては、患者さんが「医師を信頼しているかどうか」が、目薬の必要性・重要性への理解、治療の継続につながっていくものと考えています。