婦人科疾患や不定愁訴に強み、女性の強い味方
漢方薬治療
あやこレディースクリニック
(大阪市東成区/玉造駅)
最終更新日:2024/02/06
- 保険診療
自然由来の生薬を組み合わせ、薬効を得るために作られている漢方。古来より伝わるその独自の理論は難しく、取り入れるにはハードルが高いと感じている人も多いのではないだろうか。「あやこレディースクリニック」の金雅子院長は、大学院時代に西洋薬に加え、漢方薬を取り入れた治療を実践して以来、勉強を重ねてきた漢方薬の専門家。同院では婦人科と漢方内科を標榜し、婦人科疾患や更年期障害をはじめ、西洋薬が不得意とする不定愁訴や冷え性などの症状に漢方薬治療を提案している。服薬に抵抗がある人や若い女性にも漢方薬は効果が期待できるとか。「漢方薬を専門とする医師ならば、包括的な視点で一人ひとりに合った提案が可能です。保険適用のため、経済的な負担もあまりありません」と話す金院長に、漢方薬治療の魅力を詳しく教えてもらった。
(取材日2023年7月6日/情報更新日2023年12月21日)
目次
婦人科疾患や更年期障害、不定愁訴など、女性のさまざまな悩みに漢方薬を提案
- Q婦人科疾患には漢方薬を選択肢として提案しているそうですね。
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A
当院には月経不順や無月経、月経困難症、月経前症候群(PMS)、更年期障害をはじめ、幅広い主訴の患者さんが来院されます。一人ひとりの症状は異なるため、積極的に漢方薬のみをお勧めするわけではありません。しかし、漢方薬と婦人科疾患は親和性が高く、PMSや更年期に伴うイライラなどに効果が期待できます。月経前は下腹部痛や腹部膨満、乳房痛、肩こりなどが起こりやすく、漢方薬は頼れる存在です。「ピルやホルモン剤には抵抗がある」という10代や「なんとなく学校に行きたくない」という学生にお守り代わりに処方することも。めまいや耳鳴り、胃もたれなどの不定愁訴、頭痛や不眠、風邪、喉の痛みなどにも、漢方薬はお勧めです。
- Q 更年期障害にも漢方薬治療は有効ですか?
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A
一般的に女性は自律神経の乱れに伴い、さまざまな症状が出現します。特に更年期は女性ホルモンの分泌が減少するため、ホットフラッシュや発汗、めまい、動悸、不眠といった心身の不調が出てくることも少なくありません。また、20代から30代であっても、月経周期に関連する発汗を訴えるケースが多くあります。これらの症状はストレスや食生活の乱れ、過労、睡眠不足などの影響を受けるのが特徴です。当院では、発汗やのぼせを改善するために、漢方薬を処方することもあります。「夜間のみ寝汗がある」「日中も汗が出る」など、症状に応じて漢方薬の種類や投与量を調節し、ホルモンバランスや自律神経の乱れなどの正常化をめざしていきます。
- Q漢方薬と西洋薬の違いを教えてください。
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A
西洋薬は西洋医学に基づき、1つの成分による薬効が期待されます。一方、漢方薬は中国発祥の東洋医学のもと、植物や鉱物などから作られた生薬を組み合わせます。例えば、有機的につながる心臓・胃・肺・腎臓・肝臓の機能の乱れで体の不調が出ると考える「五臓論」、外からくる病気の原因「外邪」、人間の体を構成する「気血水」ほか、季節なども含めた独自の概念で病態を“つながり”で捉えるのが特徴です。症候を表す「証」をもとに処方される漢方薬は、養生のために服用するものや、急性の症状に対して短期間服用するものも。一般的には西洋薬よりも体への負担が少なく、便秘や冷え性、不眠など幅広い症状に豊富な種類の漢方薬があります。
- Q市販の漢方薬とクリニックで処方される漢方薬の違いは?
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A
先ほど申し上げたように、体の「証」を診るなど独自の考えに基づく東洋医学・漢方は高い専門性が必要です。婦人科疾患などのご自身の症状に対して、適切な漢方薬の判断は難しいのではないでしょうか。また、漢方薬は単剤で使用することもあれば、パズルのように複数の方剤を組み合わせて用いることもあります。漢方薬治療を短期的に行うのか、中長期的に取り組むのかなども含め、専門家の判断を要する場面も多いです。さらに、市販薬は承認基準内の最大量を配合している「満量処方」の製品は少なく、保険も適用されず高価なものが多いです。適切な漢方薬治療が受けられることや費用面でも、クリニックなどでの処方にメリットがあると考えます。
- Q漢方薬に副作用はありますか?
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A
漢方薬は体への負担は少ないですが、合う・合わないがあります。長期服用に注意が必要なものなど、副作用がないわけではありません。特に誤った飲み方が副作用につながるケースもあるため、注意が必要です。例えば、穏やかに作用するものだからと規定量を超えた服用は避けてください。自らの判断で複数の漢方薬を組み合わせたり、生薬を含む市販薬やサプリメントと併用したりすることも注意が必要です。