水野 芳樹 院長の独自取材記事
栄エンゼルクリニック
(名古屋市中区/矢場町駅)
最終更新日:2024/10/31

矢場町駅から徒歩8分と名古屋の中心部に位置する「栄エンゼルクリニック」。今年4月にリニューアルした院内は、ホテルのようなモダンな雰囲気の中でゆったりとくつろげる。院長を務める水野院長は、救急医療をはじめ多くの臨床経験を積んできた消化器内科のエキスパート。肝臓疾患や感染症についても高い専門性を有している。MRIなど高度医療機器の導入にこだわっているのは、総合病院レベルの診療や健診を実現するため。また受診のハードルを下げるために「患者さんの生の声を、一つずつ拾い上げて対応している」という患者目線も忘れない。穏やかな口調と優しい笑顔が印象的な水野院長に、クリニックの取り組みについて話を聞いた。
(取材日2024年9月3日)
3人の専門家が幅広い症状をサポート
こちらのクリニックのコンセプトを教えてください。

総合病院に勤務していた頃は、1人でも多くの患者さんを診療することを要求されていました。しかし当院は、そのような短期集中型の治療とは反対の、患者さんと長く関わり健康の向上を図る予防医療を取り入れた、複合医療施設です。健診部門もあるため、検査を受けていただければ、病気で来院された際にその検査結果を参照することで、1回の診療だけではわからないことも明らかになります。毎年健診を受けていただければ、過去との比較もできます。このような一歩踏み込んだ診療に取り組むことで、この患者さんには、薬の処方が必要なのか、食事指導、あるいは運動が必要なのか、総合的に考えていくことができます。「あらゆる視点から健康のサポートを行える場所」、それが当院のコンセプトです。
今年4月にリニューアルされましたね。
施設だけでなく、体制も一新しました。リニューアルの大きな柱は、健診施設の拡張、内科診療の充実、婦人科外来の常設の3つ。健診は年々1~2割ずつ受診者さんが増えており、本当にありがたく思っています。このような状況から健診スペースが狭くなっていたので、今回拡張しました。当院では以前から「受けやすい健診」をめざしています。電話やホームページで予約でき、日時やコースを選ぶことができます。健診結果についてもスマホで確認できる環境づくりを3年前から進めてきました。実際に半数以上の方がスマホでの閲覧を選ばれていますね。こちらとしてはペーパーレス化につながり、受診者さんはいつでも結果を見ることができるというメリットもあります。私は患者さんのためにできることは常に変えていきたい。時代の流れを取り入れ、利便性を高めることで、健診のハードルを下げたいと思っています。
内科診療の充実とはどのようなものですか?

これまではどちらかというと、がんを発見することに重きを置いていました。2人に1人が、がんにかかる時代になり、早期発見が大切だからです。一方、世間では生活習慣病のニーズも高まっています。糖尿病や高血圧症、脂質異常症は脳梗塞や心筋梗塞、腎不全につながり、今や社会問題ともいえます。それをサポートするために、生活習慣病をはじめ、老年内科、漢方内科のスペシャリストである中村了先生を副院長としてお迎えしました。一般内科や消化器内科は専門家である私が担当し、私の経験があまりない分野を中村先生にお願いしています。さらに婦人科外来も常設し、こちらも婦人科のエキスパートである長井佐知先生に担当いただいています。「内科を受診したのだけれど、婦人科でもちょっと診てほしい」という要望にお応えできるようになりました。3人の専門家が多角的・総合的に判断し、幅広い症状をカバーできるのが当院の特徴です。
患者の負担を減らし受診のハードルを下げたい
婦人科外来を常設にされた理由を教えてください。

日本は20~60代において、特に乳がんや子宮頸がんの罹患率が高いという問題があります。例えば、乳がんの罹患率は20~30代で1度目のピークがあり、60代で再び増加するという特徴があります。子宮頸がんも同様に若年層での発生が多い。がんは早期発見が大切ですので、欧米のように中年層を対象にした健診システムでは不十分です。従って、女性が利用しやすい健診システムを整備し、すべての女性が受診できるような世の中にすることを理想としています。また、婦人科の受診は精神的なハードルが高いといわれていますが、婦人科外来を常設することで、受診の機会を増やせるのではないかと考えました。健診などで来院された「ついで」に、普段のお悩みを気軽にご相談いただきたいですね。
医療設備も充実されていますね。
以前から設備にはこだわり、大学病院レベルの高度医療機器を導入しています。迅速で正確な医療を提供していくためにも、患者さんの病気を見つけるのはクリニック、見つけた病気を治療するのは病院と、役割をシフトしなくてはならないと思います。その意味でも病院への橋渡し役として、クリニックの役割は今後さらに大きくなっていくでしょう。そこで要求されるのが精度の高い検査で、これを実現するには先進的な医療機器が必要となります。現在、高度医療機関でMRIなどの検査を受ける場合、クリニックで紹介状をもらい、総合病院へ行き、そこで受診してから検査の予約をする、といった手順を踏むため、患者さんは何度も病院に足を運ばなければなりません。当院のMRI検査は当日または翌日、遅くとも翌週には検査ができますので、患者さんの負担も軽減できると思います。
最近、気になる病気はありますか?

睡眠時無呼吸症候群ですね。運転中の眠気による事故が注目されがちですが、実際にはさまざまな生活習慣病と深く関わっています。不整脈や突然死の原因となることもあります。現在は、自宅での医療機器による検査で詳細な診断が可能です。特徴の一つである「いびき」は一人暮らしの方は自覚しづらいため、機器による検査が有用です。欧米では肥満の方に多く見られる睡眠時無呼吸症候群ですが、日本人は標準体型や痩せている方でも発症するという特徴があります。血圧が高めの方や不整脈のある方など、少しでもリスクがある方には検査をお勧めしたいですね。
消化器内科の専門家として妥協しない診療を行う
先生は胃や腸だけでなく、肝臓など幅広く専門とされていますね。

開院前は総合病院の消化器内科でさまざまな疾患の治療に関わり、がんの患者さんも多く担当しました。胃腸だけでなく肝臓系も専門ですので、肝炎など高度な治療が必要な方も他院からの紹介で来院されています。また、以前は名古屋市の感染症指定病院に10年以上在籍していましたので、感染症の知見もあります。1990年代当時は不治の病とされていたHIV対策として、アメリカの疾病対策センターに、当時の厚生省から派遣されたこともありましたね。救急医療の現場経験も長かったのですが、開院時に妥協せず高度医療機器を導入したのは、クリニックであっても救急指定病院と同じレベルでの対応がしたいと思っていたからです。
診療の際に心がけていることはありますか?
患者さんの心情をくみ取りながら、専門用語は使わず、わかりやすく話すように心がけています。これは医師になりたての時からです。当時、教授や先輩のお話を聞いている時に、「患者さんはわかるのかな?」と思うことが多々ありまして……。それに勤務医時代には、死と向き合っている方々に直接ご説明することも多く、時間を使ってでもしっかりご説明したかったんです。ただその分、どうしても時間がかかってしまいます。もう少し短縮できたらとも思うのですが、患者さんにしっかりと向き合いたいので、どうかご理解いただきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

ここ数十年で医療は大きく進歩しました。有用な薬も登場し、治療できる病気が増えたことで、病気の早期発見が重要な時代となりました。特にがんのリスクは明らかで、例えば胃がんではピロリ菌の有無で発症確率が大きく異なります。近年は、食道がんのほか、女性の子宮がんや乳がんも増加傾向にあります。これらは若い世代にも多く見られるため、中高年に限らず定期的な検査が必要です。健診の方法も見直す必要があり、リスクのある方にはその重要性を強く啓発していかなければなりません。リスクのない方が毎年胃カメラを飲む必要はありませんが、まずは一度健診を受けて、ご自身のリスクを知ることが大切です。自治体の補助制度などを活用すれば、料金的にも気軽に受けられることも伝えていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2万円程度〜(※コースによって異なります。詳しくはホームページをご覧下さい。)