健康保険で白いかぶせ物が作れる
デジタル印象によるかぶせ物治療
歯科てらかどクリニック
(和泉市/和泉府中駅)
最終更新日:2023/12/12
- 保険診療
虫歯の治療などで歯のかぶせ物が必要となったとき、以前なら保険診療で選べるのはいわゆる“銀歯”だけだった。白いかぶせ物にしたいと思いながら、費用の問題などで諦めたという人もいるだろう。しかし、技術や素材の開発が進み、健康保険の適用範囲も広がり、今ではほとんどのケースで保険でもCAD/CAM冠と呼ばれる白いかぶせ物が作れるようになった。かぶせ物や入れ歯を扱う補綴(ほてつ)に強い「歯科てらかどクリニック」の内田昌範院長によると、口腔内スキャナーで歯形を読み取るデジタル印象を使うことで、より精密なかぶせ物が作製できるそうだ。内田先生に、デジタル印象によるかぶせ物治療のメリットや実際の治療の進め方などについて教えてもらった。
(取材日2023年10月21日)
目次
基本的に一番奥の歯以外は健康保険の適用範囲。銀歯をCAD/CAM冠の白い歯に変える要望にも対応
- Q詰め物やかぶせ物の治療に力を入れていると聞きました。
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A
虫歯治療で削った部分を補う詰め物やかぶせ物などの補綴治療は、とても基本的な歯科治療の一つで、噛み合わせにも関わってくる重要な領域でもあると思います。当院の場合、歯の型採りの際に粘土のような印象剤を使わずに、口腔内スキャナーで歯形を読み取るデジタル印象を採用しています。読み取った歯型のデータをもとに、コンピューター制御でかぶせ物などを削り出す機器を使ってかぶせ物などを作製します。印象剤による型採りでは、材料の変形による誤差が生じてしまいますが、デジタル印象なら変形の心配がなく、設計通りの補綴物を作製できるのが強みです。実際に患者さんのお口に装着する際も、ほとんど調整不要でぴったりはまります。
- Q保険診療でも白いかぶせ物にできるのですか?
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A
健康保険で作れるのは、ハイブリットレジンという、歯科用プラスチックとセラミックを混ぜた白い素材で作るCAD/CAM冠というかぶせ物です。現在では、適用範囲もかなり広くなり、基本的に前歯から数えて6番目の奥歯までは健康保険で対応できます。健康保険の適用が開始された当時から、ハイブリッドレジンのかぶせ物を提供していますが、壊れやすいといった声もなく、耐久性についてはほぼ問題ないと言えます。作製する際は、何種類かの素材から患者さんの歯に近い色合いのものを選びますが、自由診療のセラミックのかぶせ物に比べると微妙な調整は難しい部分があると思います。
- Qデジタル印象にはいろいろなメリットがあるそうですね。
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A
型採り剤をお口に入れると吐きそうになるなど、従来の型採りが苦手な方の負担軽減にも役立ちます。印象剤は一定時間入れておく必要がありますが、スキャナーなら型採りの途中での休憩も可能です。また、従来の方法は歯科技工士がかぶせ物などの模型を作る必要があり、かなりの負担となっていました。当院では立体物が作れる3Dプリンターも導入しており、口腔内スキャナーのデータからかぶせ物の型を作製可能です。歯科技工士の負担が軽減でき、模型に使う石膏(せっこう)なども不要で環境にも優しい方法です。デジタルデータを使用することで、歯科技工士の技術に依存することなく、一定水準以上のかぶせ物などを常に提供できるのも利点です。
- Q実際の治療の流れを教えてください。
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A
虫歯や歯周病、歯の根っこの治療など、必要な治療が終了した時点で、口腔内スキャナーで歯型を採り、そのデータをクリニック内の技工所に送ってかぶせ物を作製してもらいます。場合によっては、技工士からかぶせ物の形状などについて相談を受けることもあります。かぶせ物の完成までの期間は1週間です。院内技工所なので、例えば、明日海外に行かなくてはならないなど急を要する場合には対応可能ですが、通常は1週間の期間をいただいています。できあがったかぶせ物はデータどおりに作製されているので、調整がほぼ必要なくスムーズに装着でき、治療時間も短縮できます。その後は、他の患者さんと同様、通常の定期検診をお願いしています。
- Qどのような方がこの治療を受けていますか。
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A
当院の場合、患者さんのお口の中を診て、かぶせ物を使う治療が必要と判断した時点で、白いかぶせ物を作るのが第一選択です。患者さんに対しても、「白い材料で作れますので、白いかぶせ物にしますね」と確認する程度です。「銀歯にされるのが嫌」という患者さんは多く、その上保険で白い歯にできることをご存知ない方も多いようですね。また、今お口の中にある銀歯を外して、白いかぶせ物に変える治療も可能です。ただし、1番奥の7番目の歯がない方については、6番目の歯には保険の白い歯は適用できません。ブリッジが必要なケースにも適用できないのが現状です。