町野 哲 院長の独自取材記事
町野皮ふ科
(坂戸市/北坂戸駅)
最終更新日:2021/10/12

飲食チェーン店が道路沿いに並ぶにっさい花みず木の県道39号線に近い「町野皮ふ科」。患者目線を第一に考えるのが診療方針の医院だ。埼玉医科大学病院で、皮膚科の診療も非常勤医師として担当する町野哲(さとし)先生は、自身が病弱だったことからさまざまな医療施設にかかり、「こうしてもらえたらうれしい」という患者目線をベースに2010年に開業。皮膚に関する新しい医療を地域住民に提供することに生きがいを感じているという。医院のキャラクターとなっているモモンガから、小さな子どもや母親層から親しみを込めて「モモンガ先生」と呼ばれている町野院長に、現在の取り組みや、皮膚トラブルの注意点など、さまざまなことを聞いた。
(取材日2019年10月3日)
皮膚で起こるトラブルには何にでも対応していきたい
まずは現在の患者層や主訴について伺います。

生まれたての赤ちゃんから学童年齢までのお子さんが多く、主訴は乳児湿疹やアトピー性皮膚炎、小さなお子さんですとけが、やけど、水イボなど。お母さんと一緒に来院されているので、お母さんの肌トラブルも同時に診ることもあります。あとは思春期の学生さんのニキビ、会社勤めの方の水虫など。地域柄、高齢な方も多いです。とにかく皮膚の表面で見えるところのトラブルは何でも診ようという姿勢ですね。来院されるエリアとしては、坂戸・鶴ヶ島・鳩山・毛呂山・越生・日高でして、それらのちょうど中間にある医院です。車で通われる方も多いので、駐車場は追加で10台増やし、現在は合計で20台分のスペースを用意しています。
非常勤の先生などスタッフ数も多いようですね。
当院にはたくさんの患者さんが来院されていますからね。非常勤の先生は6人で外来手術や往診も担当してもらっています。医院のスタッフは日々15人が出勤する体制で、患者さんに治療の説明や日常生活で気をつけることなどは、看護師さんが処置室などでわかりやすく伝えてくれています。もちろん私もどんなに忙しくても大切なことはお伝えしていますが、それをさらにわかりやすく伝えてくれていますね。私自身は子どもの頃から病弱で何度も医者にかかっていたので、「こうされたらいいのにな」というのと「しないでほしい」ことをこの医院で実践するようにしています。メディカルクラークさんに働いてもらっているのも、その場でカルテを打ち込んでくれるので、私は患者さんと目を合わせて話ができるからです。スタッフは皆、笑顔で接するようにしているのも、自分だったらやはり笑顔で接遇されたほうがうれしいという理由からです。
日常生活で気をつけたいのは、どんなことでしょうか?

当院では治療が終わった後も、私たちからお伝えした知識を生かしてもらうことで、健やかな皮膚を長く維持してもらうことを大切にしています。まずは皮膚に関する理解を深めてもらえるように私もスタッフも頑張っています。例えば爪の切り方やお勧めのボディーソープ、シャンプー、靴の選び方など、日常生活で何に気をつければ肌を健康に保てるかを治療の中でお伝えしています。しみはこすると増えて濃くなるので泡をつぶさないように顔を洗うこと、ニキビはいじらないのが大切で頬杖さえつかないようになどは毎日お話しています。手荒れにしても、お薬を塗るだけでは良くならないことも多く、使っている洗剤やハンドソープさらにはスマホのカバーが悪化の原因のこともあるので原因を突き止めるために、パッチテストも徹底して行っています。
通えなくなった患者の往診にもやりがいを持って実施
特に力を入れている疾患は何でしょうか?

円形脱毛症の治療に力を入れています。ほかには、最近始まったのがアトピー性皮膚炎の注射薬です。免疫の過剰な反応を抑えるものですが保険適用でも費用が高いため、これまでの治療ではなかなか効果が出なくて数十年悩んできたような方に、「試してみては」と選択肢の一つとしてご紹介をしています。また、乾癬についても新薬が出ていますし、ニキビ薬も10年前とはまったく違っていますから、患者さんのメリットになり、医学的な根拠があるものであれば積極的に治療に使っていこうと考えています。新しい知識を吸収し、早めに診療に取り入れることで患者さんに早く良くなってもらいたい、そのためにいつもアンテナを張っています。
院内の手術についてもお聞きしたいと思います。
埼玉医科大学病院の形成外科から先生に来てもらっていまして、大学病院で行っているような手術を当院でも提供しています。当院でしたら、何ヵ月先まで待つこともなく、ご希望があれば、長期間お待たせせずに対応することが可能かと思います。できものなどの切除でも、傷痕を残さないよう努力しています。実は形成外科の先生の中には美容整形外科にも非常勤で勤めている先生もいまして、そういう技術もここで取り入れています。私自身も埼玉医科大学病院に月2回、新患担当の医師として診察していますから、超音波を使った検査などが必要な時には大学病院を受診していただき、そこでも私が診ています。クリニックでも大学病院でも私が診察するので患者さんも安心なようです。
往診もされているのですね。

とてもやりがいのある仕事だと思っています。高齢な患者さんが受診したいけれど行けないという声を聞いたのがきっかけで、いざ始めてみると寝たきりの方の床ずれの治療など、皮膚科医師の活躍の場はたくさんありますし、患者さんやご家族から「本当に助かりました」との声もたくさんいただいています。訪問先は当院に通われていた方が足腰を悪くされて通院は無理という場合ですが、ご自宅のほか、介護老人ホームなどの施設にも往診に出かけています。ハンディーの顕微鏡も持参していますので、その場で疥癬なのか水虫なのかの診断もつきますし、あとは液体窒素などの治療道具一式も持っていきますので、治療もできます。現在の往診エリアは車で10分~20分の範囲になります。
皮膚トラブルに悩む場合は一度パッチテストの受診を
医師となった理由を教えてください。

一つは祖父が愛媛県の田舎で診療所を開設していまして、地域の方々に医療を提供する姿を見てきたこと。また私自身、幼少時にアトピー性皮膚炎で、親に聞くと小さな頃は包帯でぐるぐる巻きだったそうです。そんな自分を治してくれた医師の存在に憧れ、いずれ自分がその役割を果たせればいいなと思っていたことですね。本当に虚弱な体質でしたので、困った時に助けてもらったこと、また「こうしてもらってうれしい」、「それは嫌だな」と思ったことを医師となった今は実践したいと思っています。その意味では、当院は開業当時から患者さん目線でスタートしたと言えるかもしれないですね。
医院の看板などにキャラクターのモモンガが描かれていますが、その理由は?
開業するにあたってキャラクターの動物は何がいいかをうちの子どもと一緒に考えました。子どもが小さな頃にモモンガのアニメをよく観ていたことに加え、マイノリティーを大事にするという考え方もありますし、私は昔パラグライダーをやっていましたので、空とか高いところが好きなんですね。それもモモンガにつながる(笑)。でも一番はモモンガが、すごく毛並みが美しいこと。もともと「毛美(もみ)」が変じて「モモンガ」になったという説もあるくらいでして、毛並みの美しさは肌艶の良さにも通じるので皮膚科にもぴったりだと。ちなみに「M」というイニシャルもつけているので「ムササビですか?」と言われることもありますが、正しくは「モモンガ」です。
地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

手荒れ、肌荒れなど、皮膚のトラブルはその原因を除去しない限り、どんなにいい薬を出しても治りません。その原因には意外な要素が関係していることもあります。シャンプーや食器用洗剤、金属、ゴムなどがよくある例です。そのために当院ではパッチテストを行っています。ただ、これは面倒な作業が必要になります。それでも患者さんが持ち込んできた物を一つずつ調剤してテストしています。患者さんが笑顔で過ごすためには、それをする必要がある、避けて通れない道だと考えてやっています。「私が患者さんだとしたら何をしてほしいか」を忘れずにいたいです。皮膚の悩みがありましたら、ちょっとしたことでも構いません、何でもご相談ください。 当院がきっと力になれるはずです。