要介護状態になっても受診可能
自宅で受けられる歯科診療
本山歯科医院
(名古屋市千種区/本山駅)
最終更新日:2024/04/18


- 保険診療
超高齢社会の日本。高齢者の中には何らかの疾患により、外出できない人もいる。病床や介護施設も数に限りがあるため、近年、在宅医療や在宅ケアの重要性が叫ばれている。しかし、自宅で受けられる歯科治療である「訪問歯科診療」は知名度や認知度が低いのが実情である。名古屋市および大府市に拠点を持つ「本山歯科医院」は愛知県の西部、尾張地域の広範囲で訪問歯科診療を行っている。診療は歯科医師、歯科衛生士、コーディネーターの3人が1チームとなって訪問。自らも訪問診療を続ける竹内俊充理事長に、訪問歯科診療の有用性や価値、口腔ケアの重要性について聞き、歯科衛生士の古橋真紀子氏、コーディネーターの神崎誠氏には訪問歯科診療の様子やそれぞれの役割について聞いた。
(取材日2022年9月27日)
目次
「通院が難しい」「全身疾患がある」だからこそ大切な口腔ケアを、訪問歯科診療で解決したい
- Qまずは、訪問歯科診療の大切さについて、教えてください。
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A
▲訪問歯科診療について知り、便利に利用してほしいと話す理事長
【竹内理事長】昨今、外出や通院が難しい高齢者や障害者が増えています。そのため、自宅にいながら医療ケアが受けられる「在宅医療」の利用者が増えているといわれています。一方で、「訪問歯科診療」については、全身の疾患などと比べ受診する人が少なく、「口腔ケア」がおろそかになっている状況が見られます。訪問歯科診療は、「自分たちが利用できるかどうか知らなかった」や、「利用負担が多くかかりそう」などの情報不足や良くないイメージが先行している傾向があると思うので、もっと身近に利用できることをお伝えしたいですね。
- Q具体的にはどのような治療が受けられるのでしょう?
-
A
▲在宅で口腔ケアや入れ歯調整などの外来同様の治療が受けられる
【竹内理事長】私たちが常にめざしているところは、「歯科医院で受けられる治療と遜色のない治療」の提供です。よほど特殊な処置が必要な治療以外でしたら対応できますので、まずはお電話で相談してほしいです。私たちが訪問先でお目にかかる患者さんの多くは、ご自身での口腔ケアが難しかったり、ご家族がブラッシングを手伝ったりされていますが、なかなかうまくいっていないことが多く、半ば口腔ケアを諦めていらっしゃったりします。しかし、他に疾患がある患者さんだからこそ、適切な口腔ケアを受けることで、口内細菌が原因などで起こるさまざまな疾患リスクを下げることがめざせます。
- Q口腔ケアが滞ると、どのようなリスクが考えられますか?
-
A
▲口腔ケアのみならず、全身的な疾患を防ぐことも大切な役割だ
【竹内理事長】代表的な疾患のリスクについては、「誤嚥性肺炎」が挙げられます。食べ物を飲み込む力が減退することで、唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に、誤って気道に細菌を吸引することにより発症するのですが、命に関わる疾患であり、要介護の方に多い死因の一つとされています。細菌は主に口腔内にいることが多く、これらを予防する意味においても、日頃の口腔ケアが重要です。訪問歯科診療を受けることで、口腔内の環境の改善をめざしたり、嚥下機能(飲み込む力)の判定や、機能回復訓練を受けたりすることもできます。一度きりの訪問治療ではない、患者さんの疾患の程度や状況に応じた頻度で継続的な治療を受けていただけます。
- Q訪問先での役割や、やりがいについて教えてください。
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A
▲古橋氏は「実際の現場はやりがいが大きい」と語ってくれた
【古橋さん】実際の訪問歯科診療先で、私が大切にしているのは、歯科衛生士としての役割のほかに、患者さんの不安を少しでも和らげることができるような雰囲気づくりです。体の不自由な方が多いので、自宅に私たちが白衣を着てぞろぞろ入ってくると、不安を覚えるのも仕方ありません。でも、治療はリラックスして受けてほしいので、場の雰囲気づくりは常に意識しています。訪問先で患者さんから、「次も楽しみにしてるね」と言ってもらえるととてもうれしいと思いますし、「患者とスタッフ」だけではない、「人と人」としてつながりを感じることができる素晴らしい瞬間だと考えます。
- Qコーディネーターとはどのようなお仕事なのですか?
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A
▲チーム医療に必要不可欠なコーディネーターの神崎氏
【神崎さん】診療に同行して、チーム医療を円滑に行うことができるような環境づくりをする役割です。具体的には、診療チームの訪問ルートを決めて訪問車を運転し、訪問先では診療のお手伝いをします。一つの診療チームは、1日あたり8件から9件を訪問しますから、患者さんの介護サービスと重ならない時間帯と効率の良いルートを考えながら、診療チームの予定を立てています。余裕を持って1日の計画を立て、急患が入った場合でも事故のないよう安全運転に気を配っています。訪問先で患者さんやご家族が話しかけてくれることも多いので、良い変化があったといったお話を聞けるとうれしいと思いますね。