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竹内 俊充 理事長の独自取材記事

本山歯科医院

(名古屋市千種区/本山駅)

最終更新日:2022/12/19

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訪問歯科診療を専門とする「本山歯科医院」は、2017年に本山駅から徒歩5分の地に開業した。同院は医療法人グループ優寿会の歯科医院だ。名古屋市全域と隣接する市町村は概ねカバー。大府市にも分院があり、より広域へも医療を提供している。訪問歯科診療では、虫歯治療はもちろん口腔ケアから入れ歯の調整、摂食・嚥下訓練まで幅広い診療内容を保険適用で治療。超高齢社会を迎え、訪問診療の需要が日々増す一方で、まだまだ対応できる歯科医師が足りていないと言われる今、若手を育てながら現場の最前線でも活躍する竹内俊充理事長に話を聞いた。

(取材日2022年9月27日)

訪問歯科診療の存在を多くの人に知ってもらいたい

訪問歯科診療を専門にする歯科医院ということですが、どんな治療が受けられますか?

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ご自分では歯科医院へ行けない人のために、診療道具を車に積んで、こちらから診療に伺っています。ポータブルユニットやポータブルエックス線撮影装置が普及し、一般の外来で受けられる治療とほぼ同じ内容の治療が可能です。虫歯治療、歯周病治療、抜歯、入れ歯作製・調整、口腔ケアなどですね。しかし、現状で歯科以外の何らかの治療を受けていらっしゃる患者さんの場合は、担当の歯科医師と相談の上、可能な範囲での治療となります。他にも、口腔ケアに関してのセミナーの実施や、摂食・嚥下に問題のある患者さんへの訓練指導も行っています。まだあまり認知されていませんが、患者さんの費用負担は保険診療となり、出張費や謝礼なども一切必要ありません。歯科治療を受けたいけれど、外来に行けず困っている患者さんが多くいらっしゃるので、告知していくのも私たちの義務だと考えています。

訪問診療と外来診療の違いはどんな点ですか?

外来の場合、健康な患者さんが多いのに対して、訪問診療を希望される患者さんは基本的にご自分で歩けないとか要介護の方になり、並行して何らかの病気治療を受けている方も多いです。歯科治療以外の病気を治療中の場合は、主治医かその病気の担当医との連携が必須になります。現在の病状から、患者さんの全身状態をきちんと把握して、どんな歯科治療が可能かを判断してから治療します。また治療の途中でもその患者さんの病状経過によっては、途中で歯科治療の計画も変更しますので、経過観察は非常に大切になりますね。

口腔衛生の管理は全身の健康との関連性も強いそうですね。

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新型コロナウイルス感染症流行時に、それまで定期的に訪問診療していた高齢者施設に3ヵ月ほど入れなくなりました。その期間に、虫歯や口腔環境がひどく悪化している可能性もあるため、高齢者にとっての口腔ケアの重要さについて考えましたね。口腔ケアが行き届かないと口の中で歯周病菌が増殖し、食事、呼吸などの際に菌を体内に取り入れてしまいます。また、飲み込みの機能が低下し、肺炎を引き起こしてしまったり、食事の経口摂取が難しくなってしまったりすることもあります。新型コロナウイルス感染症の流行により、感染症対策が問題となりましたが、口腔ケアを怠ることは感染症の重篤化にもつながります。歯科医院での口腔ケアと同時に、ご自宅でお口の体操をして唾液の分泌を促したり、患者さんのお口の中が乾かないようご家族が保湿剤で潤したりすることも有用です。保湿剤は薬局等で販売されています。

「切実な思い」に、誠実に応えていく

開業までの経緯を教えてください。

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愛知学院大学歯学部の大学院を修了後、この本山歯科医院に勤めました。大学院の頃にいくつかの歯科医院に勤務しながら臨床の勉強をしていたのですが、こちらが当時名古屋ではまだ珍しかった訪問歯科診療を行っており、興味を持ちました。こちらで勤務をして、外来と訪問診療を勉強し、一旦ここを退職して高齢者医療施設で歯科担当として勤務していました。その後こちらが閉院すると聞き、継続する必要性を感じて引き継ぐ形で開業したんです。現在は在宅訪問歯科診療専門で、施設ではなく個人を対象として運営しています。

先生にとって訪問歯科診療のやりがいは?

ご依頼いただくのは、患者さんご本人かそのご家族、もしくはケアマネジャーなど患者さんをサポートしていらっしゃる方々なんです。そして、そうした多くの方の「切実な思い」が込められたご依頼になります。歯科医院に行きたくても行けない、連れて行きたくても連れて行けないと悩み、治療を諦めかけていた方たちなので、お伺いすると本当に喜んでいただけます。また、その患者さんの診療は計画的にしっかりできますので、私たちも安心して治療にあたれます。訪問歯科診療は、外来患者さんの治療に比べて労力が必要な点もありますが、それ以上に、患者さんはもちろん、ご家族、サポートしていらっしゃる方々の笑顔からいただける喜びは大きく、それに接すると苦労は忘れてしまいます。

訪問診療の際に心がけていることは?

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とにかくコミュニケーションを大切にするということです。患者さんのご自宅へお伺いすることが多いですから、その際は「他人さまの家にお邪魔する」つもりで気を配ります。例えば玄関で靴を脱ぐときや機材を運び込むときも、その家ごとにルールのようなものがあることもありますので、事前によく伺うようにしています。また、治療に際しては自ら歯科医院に通えない患者さんなので、患者さん自身の健康状態にはとても気をつけています。事前にご本人、ご家族、担当の内科の医師やケアマネジャーなどと相談して診療の計画を立てるのですが、お邪魔した当日の調子が悪ければ延期することもあります。患者さんご本人を含めて、周りのサポートされるスタッフさんたちとのコミュニケーションは、やはり通常の外来の患者さんとのコミュニケーション以上に大切になります。

今そこに困っている患者がいることを考えて

訪問歯科診療を依頼するのはどのようなタイミングが良いのでしょうか。

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例えば、ご家族からのご依頼で、治療に伺ってみて初めて義歯があることがわかるという可能性もあります。当然、事前にご家族の方とは打ち合わせをして、口腔ケアのご依頼を承るのですが、患者さんが自らお話しできないので、ご家族も把握できていない部分入れ歯が口腔内に残っているということも考えられます。この場合、患者さん自身もそれまで不快な状態だと思いますし、義歯の汚れから残っている他の歯が虫歯になったり、細菌が発生して歯肉炎や口内炎、肺炎になる場合もあるのでたいへん危険です。おそらくここまでの状態はあまりないとは思うのですが、やはり口腔ケアが難しくなった時点で、早めにご依頼いただきたいなと思います。また、入院中に義歯を外していて合わなくなっていても、訪問診療の際の参考になりますので、できれば残しておいていただきたいです。

同じ志の仲間も増えているそうですね。

現在、こちらの名古屋本院と大府市の大府分院の2ヵ所で、チームを編成して治療にあたっています。「患者さん第一」に考えてくれるスタッフがそろっており、歯科医師、歯科衛生士、事務員、コーディネーターなど綿密なコミュニケーションが取れる、頼もしい仲間ばかりです。当院の訪問診療スタイルとしては、次々と訪問に回っていくというよりは、患者さんお一人お一人に対して長く接していくため、じっくりと患者さんやご家族と向き合っていきたい歯科医師の方には大きなやりがいを感じてもらえると思います。まだご依頼いただいた患者さんをお待たせする状況が続いているので、今後も分院を設置するなど、一人でも多くの患者さんのもとへ伺いたいと考えています。

最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお願いします。

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訪問歯科診療やその費用面について、あまり知られていないのが現状です。訪問歯科診療は、保険診療が適用され、往診の費用は医療保険と介護保険から支払われます。当院では、デンタル相談員という役割の者が、まず電話で相談内容を伺っており、費用面の説明やケアマネジャーとの連絡なども行っていますので、ぜひご相談ください。当院の患者さんの9割はケアマネジャーからの紹介ですが、直接連絡いただいても問題ありません。今後については、地域の訪問歯科診療を一緒に盛り上げていけるように、訪問歯科診療に興味のある歯科医師の先生方をはじめ、歯科医師や歯科衛生士をめざしている方々への働きかけも続けていきたいですね。また、ご依頼いただいた患者さんをお待たせする状況が続いているので、分院を設置するなどして、できるだけ多くの患者さんのもとへ伺えるようにしたいと考えています。

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