本多 加珠美 先生の独自取材記事
兵庫整形外科
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/09/10
住宅地が広がり生活利便性にも恵まれた佐賀市巨勢町。その一角にある「兵庫整形外科」は、白を基調とした建物に、ブルーの院名とエントランスの屋根が印象的なクリニックだ。スポーツ整形外科を専門とする本多弘一院長が運動器エコーを駆使した診療に取り組む一方、日本産科婦人科学会産婦人科専門医の本多加珠美先生が婦人科領域を担当。それぞれが専門性を生かし、地域の健康を支えている。大学病院で女性ヘルスケアに特化した外来を担当し、産婦人科医院で産科の妊婦健診にも携わる加珠美先生。同院では婦人科診療に加えて女性アスリートの婦人科系の悩みにも対応。女性として、3人の子を持つ母親として、「私も同じですよ」と患者の不安に寄り添う。そんな加珠美先生に、同院での診療の特徴や整形外科との連携について話を聞いた。
(取材日2026年8月13日)
女性ヘルスケアを専門に幅広い女性の悩みに寄り添う
先生が医師を志したきっかけについて教えてください。

私の祖父と父はともに産婦人科の医師で、幼い頃から産婦人科医療を身近に感じて育ちました。分娩も手がけていたので、医院を離れられず、家族で旅行に行くこともなかなかありませんでしたが、医師という仕事が本当に好きなのだと伝わってきました。それだけやりがいがあり、責任感を持って取り組める仕事なのだろうと、子どもながらに感じていました。特に産婦人科は、無事に赤ちゃんを出産し、お母さんも元気になり、1ヵ月健診まで見届けるなど、出産を通して女性と長く関わることのできる診療科です。分娩だけでなく、婦人科疾患や卵巣・子宮のがんなど、女性のライフステージに合わせて幅広く診療できる点にも魅力を感じました。そうした環境で育ったこともあり、自然と産婦人科の医師をめざすようになりました。ほかの診療科を考えたことはありませんでしたね。
これまでのご経歴についてお聞かせください。
大学卒業後は、久留米大学産婦人科教室に入局し、いくつかの中核病院に勤務しました。現在も大学病院に所属し、女性ヘルスケアを専門とする外来を担当しています。女性ヘルスケアは、婦人科の中でも「がん」「お産」「不妊」以外を幅広く診る分野で、月経関連疾患やPMS(月経前症候群)、更年期障害、子宮や卵巣の病気、性感染症、骨粗しょう症など、思春期から更年期以降まで幅広い年代の女性を対象に診療しています。また、大学病院ならではの診療として、さまざまな疾患により閉経が早い方や、抗がん剤治療や先天的な病気などによって月経が来ない方といった、専門的な対応が必要な患者さんも診ています。同院では今年4月から診療に参加し、現在は週2回、予約制で診療しています。
どのような経緯で、こちらで診療を始められたのですか?

当院の整形外科を受診する女性患者さんの中には、月経で悩んでいる方もいらっしゃいます。そうした患者さんについて「こういう場合はどうしたらいい?」と院長から相談を受けることも多く、婦人科の診療を始めることになりました。思春期の若い方の中には、婦人科を受診することにハードルが高いと感じる人もいると思います。当院は整形外科と婦人科の両方を標榜しているので、婦人科だけでは受診しにくいという方にも、気軽に足を運んでいただけるのではないでしょうか。また、女性に多い骨粗しょう症は整形外科と婦人科のどちらでも診ることのできる病態です。整形外科を受診する80代の方の中にも、婦人科系の悩みを我慢している方はいらっしゃるので、年代を問わず気軽に相談していただきたいですね。
生理の痛みは、我慢せず早めの受診を
どのような患者さんが多く来られますか?

やはり月経困難や生理が重くて困っているなど、月経関連の症状で受診される方が多いですね。あとは、更年期障害の方でホルモン補充療法を希望される方、子宮脱を患った80代の方もいらっしゃいます。また、最近はフェムケアという言葉も広がっていますが、当院では尿漏れやデリケートゾーンの乾燥感が気になる、かゆみや痛み、違和感があるといった症状にも対応しています。また、お母さんがご自身の更年期障害などで来られて、その後娘さんを連れていらっしゃることも多いですね。整形外科と婦人科、両方を受診される方もおられます。
こちらでは女性アスリートのための外来にも力を入れているそうですね。
女性アスリートの外来は、スポーツをする女性に起こりやすい無月経・月経困難症・PMSなどの月経の異常や利用可能エネルギー不足、骨や靱帯への影響などを評価し、すべての女性が健康にスポーツを続けられるようサポートするためのものです。疲労骨折やケガを繰り返す、月経が来ない、試合と月経が重なる、生理痛で練習ができないといった悩みなど、アスリートの月経関連症状について、整形外科と一緒なら相談しやすいのではないでしょうか。院長も私もスポーツ医学に関する専門的な知識を備えているので、スポーツを続ける女性が抱える体の悩みについて、気軽に相談してもらえるのではないかと思っています。私自身、若い頃は部活動をしていて、月経に悩んだ経験があります。生理痛も我慢していましたが、今はピルの処方によって痛みの緩和などが図れる時代です。今はいろいろな選択肢があることを、子どもたちに伝えていきたいですね。
先生が診療で心がけていること、大事にされていることは何でしょう?

女性ヘルスケアの診療では、生活全般の悩みを抱えている人も多いので、しっかりお話を聞くことを大事にしています。限られた診療時間の中でも、できるだけ患者さんの訴えをくみ取り、それに応じたアドバイスをしています。同じ女性として、「私も一緒なんだよ」と共感を伝えることで、患者さんも落ち着かれるかもしれません。月経の問題は、自分事としてよくわかるので、そのつらさや気持ちにも寄り添えます。特に子育てについては、自身の経験を踏まえて話すことで、患者さんに安心してもらえたらうれしいです。また、若い人の中には、不調の原因が月経にあることに気づいていないケースも少なくありません。最近は予防医学が注目されていますが、そうした視点からも、早め早めの対処を心がけています。
身近なクリニックだからこそ我慢せず気軽に相談を
医師としてやりがいを感じるのはどのような時でしょうか?

そうですね。診察を楽しみに来てくださる患者さんがいらっしゃること、「先生に会えて良かった」といった言葉を頂いた時は、医師としてのやりがいを感じます。中には、引っ越しをされた後も「頑張ってここまで通います」と言ってくださる患者さんもいて、そこまでして頼っていただけることをありがたく感じます。自分の存在や言葉が、少しでも患者さんのお役に立てているのだと思えることが、医師として何よりうれしいですね。これからも、患者さんに「ここに来て良かった」と思っていただけるような診療を大切にしていきたいと思います。
今後、導入していきたい診療や取り組みがあれば教えてください。
最近、自分自身のこれからの健康や体のことを考えて、「栄養」の勉強を始めました。学べば学ぶほど、イライラや不眠などにも栄養がすごく大事だとわかります。子どもたちの精神的な不安定さについても、栄養と関連があるのではないかと考えているので、勉強を重ねて診療にも生かしていきたいですね。また、先ほどもお話ししたように、デリケートゾーンの乾燥、かゆみ、痛みなど、いわゆるマイナートラブルを抱えている方も多いので、フェムケアにも力を入れていきたいと思っています。女性の健康はもちろん、しみなどのお肌の悩みには、光治療やサプリメント等を用いて改善をめざし、健康と美容の両面から女性をサポートしていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

私には中学生になる2人の娘がいて、娘のお友達から月経の相談を受けることもあります。話を聞いていると、症状を我慢しながら生活している子が多いことを実感しますね。悩みを抱えていても、婦人科には相談しづらいと感じる方もいると思います。当院は整形外科と婦人科がタッグを組んで診療しているので、部活動などで整形外科を受診した際に、月経のことも気軽に相談していただける場でありたいですね。身近な町のクリニックだからこそ、受診ハードルの高さを感じることなく我慢せずに相談してほしいと思います。これからも、女性のヘルスケアに関する知識を生かして、月経の悩みから更年期、子宮筋腫や卵巣腫瘍まで幅広く診療し、産科での勤務経験も生かしながら、女性が抱えるさまざまな悩みに寄り添っていきたいと思います。

