本多 孝行 先生の独自取材記事
兵庫整形外科
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/09/09
診断から手術、入院、リハビリまで一貫して行える環境が整っている、佐賀市巨勢町の「兵庫整形外科」。非常勤として毎週月曜日に同院で診療を行っている本多孝行先生は、同院の院長・本多弘一先生の弟だ。股関節の疾患を専門に幅広く研鑽を積んできた医師で、同院と同じ法人の本多整形外科で院長を務めている。「ここでの診療を行うことで、気づきを得ることも多いです」と、同院での診療を日々の診療にも生かしているとほほ笑む。孝行先生が今、注力しているのは、足裏の当たり方や体重のかかり方を調整して、痛みの軽減や歩行機能の改善を図る、オーダーメイドの医療用インソールを用いた治療だ。診療の根底にあるのは、「患者の笑顔を見たい」という医師としての想い。そのために、日々奮闘する孝行先生に診療内容を中心に詳しく話を聞いた。
(取材日2026年8月10日)
股関節の疾患を専門にインソールを用いた治療にも注力
先生は2024年から非常勤として御院で週1回診療を行っているそうですね。

ええ、私は当院と同じ法人のクリニックで院長を務めていまして、診療自体はそちらがメインになるため、ここでの診療は毎週月曜日の週1回担当させていただいています。私自身の経歴については、久留米大学医学部卒業後、昭和医科大学藤が丘病院整形外科に入局。関連病院での勤務を経て、1年ほど北海道のえにわ病院で研鑽を積み、手術をはじめとする股関節分野を学ばせてもらいました。そして2024年に本多整形外科の院長に就任し、当院での勤務も開始した、というのがこれまでの経緯になります。私は小さい頃からスポーツが大好きで、高校の頃はバスケットボール、大学ではラグビーをやっていたので、ケガも経験しましたし、競技に復帰するまでのプロセスも体験していますので、その経験も生かせたらと思い、数ある診療科の中から整形外科を選択しました。
では、股関節に関する不調を訴えられている方をご担当なさっているのですか?
股関節に関する不調を抱えている方は、私がいる月曜日に来院いただくことが多いですね。年齢層でいうと、軟骨がすり減るのが原因の変形性股関節症は、どうしても不調が出てきやすい中高年が多くなってくるのですが、股関節の受け皿が浅いために将来すり減りやすくなる状態の臼蓋形成不全、スポーツをされる方に多い鼠径部痛症候群などは年齢問わず股関節の痛みを訴えて来られますので、幅広い年齢層を担当させていただいています。股関節の痛みに対するアプローチとしては、骨盤の動きなどをしっかりと診た上で、リハビリテーションを行うのが基本になります。これまでのキャリアの中で手術も数多く携わらせてもらいましたが、手術まで至らない症例も多いため、ここでは将来手術をせずに済むための策を講じることにも注力しています。
孝行先生は医療用インソールを用いた診療にも力を入れていると伺いました。

これは、靴の中に入れる中敷きのことですが、単なる中敷きではありません。足裏の当たり方や体重のかかり方を調整して、痛みの軽減や歩きやすさの改善、運動能力の向上を目的として使用します。そのため、各患者さんに適したオーダーメイドのインソールを作製しています。足の外側、あるいは内側に体重がかかっていたり、片足だけ靴底の減り方が違うなど、10人いたら10通りの癖や歩き方がありますので、その方に合ったインソールを作成して日々使用することで症状の改善をめざします。
医師として喜びを感じる瞬間は患者の笑顔を見られた時
対象となる方についても詳しく教えていただけますか?

医療用インソールの対象は、足や歩行に問題を抱えている方。例えば、足の変形や歩行障害の治療や、術後の補助、痛みの軽減などを目的に使用することが多いです。インソールの使用は正しい姿勢を保つことにもつながりますので、歩き方の改善に非常に有用であると考えます。リハビリを併用することでさらなる改善をめざすことも多々あります。また、正しく筋肉が使えるようになることでジャンプがしやすくなる、踏ん張りが強くなるなど、スポーツをしている方に向けた運動能力の向上の効果も期待ができます。医師として日々の診療で思うのは「患者さんの笑顔を見たい」、そこに尽きるんですよね。痛みを訴えて来られる方が大半ですので、皆さんつらそうな表情をされていらっしゃいます。「どうにかして笑顔にしてあげたい」という気持ちが常にありますので、インソールもそのアプローチの一つ。今後も力を入れて取り組んでいきたいです。
診療を行う上で大切にされていることを教えてください。
同じ痛みであっても、人それぞれ感じ方が異なりますので、まずは患者さんの声にしっかりと耳を傾け寄り添うことを大切にしています。私が正しいと思う治療を患者さんが望んでいないこともありますからね。そのすり合わせは治療計画を立てる上で重要になるため、何を望まれているのかというのを間違って受け取らないようにというのをいつも心がけています。患者さんの年齢や生活背景によっても希望されることは異なってきますので、その方を知ることが一番大事だと考えます。
これまで多くの患者さんを診てこられていますが、医師として喜びを感じるのはどのような瞬間でしょう。

やはり患者さんが笑顔になることですね。患者さんが喜ばれる姿を見ると、自然とこちらも笑顔になりますし、医師冥利に尽きます。整形外科は特に予期せぬケガなどで来られるケースが多いので、いかに以前と同じ状態に戻すことにつなげられるかが医師に求められるところ。そこにはスタッフたちの力も大きいです。私一人ではなく、看護師、リハビリスタッフなど、皆で一人の患者さんを支えていきますので、情報共有の徹底にも努めています。医師には言いづらいこともスタッフには言えるといったこともあるでしょうし、スタッフの接遇にも支えてもらっている部分が大きいと感謝しています。
診療で重視するのは患者にとって身近な存在になること
診断から手術、入院、リハビリまで一貫して行える環境が構築されている点も御院の強みですね。

一人の患者さんを切れ目なく見守っていけるのは、患者さんだけでなく医師にとっても安心できる環境だと思っています。私が院長を務めているクリニックでは手術を行えないので、膝・肩などの手術が必要な場合はこちらに紹介するケースも多々ありますし、股関節の手術に関しては立ち会うこともあります。ご紹介したとしても、私が週1回こちらで診療を行っていますので、患者さんの様子を把握できるのも今の診療スタイルならではだと思いますし、患者さんの安心感にもつながっているように感じています。そこは当法人の強みと言えるかもしれませんね。
今後、先生が新たに取り入れていきたい分野などはありますか?
もちろん新しい分野にも興味はあるのですが、私の考え方としては常に新しいものを取り入れていくというよりも、町医者として当たり前のことを当たり前に行っていくことです。普段なかなか言えないようなことも、気軽に相談できるような存在になりたいと思っています。それが町医者の役割だと思っているので、新しいものを追い求めるよりも、患者さんにとって「身近な存在になること」に重きを置く診療を大事にしたいなと思っています。そのためにも、さらに地域に根差した診療を行っていけたらと思っています。2世代、3世代と、見守っていけたらうれしいですね。
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

週1回の診療ではありますが、ここでの診療で得られる気づきも多く、メインで診療を行っているクリニックでも生かせているのは、今の診療スタイルだからこそだと思います。また、当院は婦人科の医師もいますので、月経などに関する女性のスポーツの外来など、必要に応じて連携しながら診療を進めていけるのも大きな特徴です。今後も地域の皆さんとさらなる関係性を築いていけるように、診療にも取り組んでいけたらと考えています。股関節に関するお悩みや気になることなども、気軽にご相談ください。どうしても年齢を重ねると関節の痛みが生じる方は増えますので、予防に関するアドバイスなどもお伝えしております。生活スタイルを少し変えたり、日々の生活でちょっと注意するだけで、今の機能を長持ちさせることも期待できます。痛みに関しても放置せずに早めに策を講じることが、その先の機能維持につながりますので、ご遠慮なく来院ください。

