本多 弘一 院長の独自取材記事
兵庫整形外科
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/09/14
佐賀市巨勢町の住宅街に立つ「兵庫整形外科」。院長の本多弘一先生は、学生時代のスポーツ経験を原点に、肩関節・肘関節を中心としたスポーツ整形へ力を注いできた。強みは、被ばくの心配がなく筋肉や腱の動きをリアルタイムに映し出すエコー(超音波)を用いた診療だ。注射やリハビリテーションにも生かし、状態をこまやかに見極める。診断から手術、入院、リハビリまでを院内で一貫して手がけ、回復までを切れ目なく支える。診るのはスポーツに励む学生から高齢者まで全世代だが、骨粗しょう症の診療にも注力。同院に在籍する婦人科を専門とする妻の本多加珠美先生と連携し、女性や女性アスリート特有の悩みにも応えている。「その人に合った治療を選び、少しでも楽しい人生に関われたら」と語る本多院長に、これまでの歩みと診療への想いを聞いた。
(取材日2026年7月16日)
スポーツの経験を礎に、人を見る診療を追求
医師、そしてスポーツ整形の道を志したのは、どのような想いからでしょうか?

もともと私自身がスポーツに打ち込んでいて、ケガも多く、足首の靱帯を損傷するなど苦労してきました。だからこそ、痛みや不調で困っている人に力を貸したいという気持ちが、自然と芽生えたのだと思います。整形外科の魅力は、関わった人が回復したら、また前を向いて頑張ってくれる姿を見られること。治療を通じて相手が良い結果を出してくれると、自分のことのようにうれしくなります。自分がケガで苦しんだ経験も、その気持ちの根っこにあるように思います。そうした手応えややりがいに惹かれて、スポーツ整形の道を選びました。競技に打ち込む人の力になりたいという気持ちが、今も診療の原点になっています。
これまでどのような環境で研鑽を積み、どのように専門性を深めてきたか、お聞かせください。
大学病院などで研鑽を積む中で、早い時期から力を入れてきたのが運動器エコーを用いた診療です。エックス線では見えない筋肉や靱帯を、動かしながら観察できることに惹かれ、スポーツの現場にも持ち込んで学びを重ねました。何より現場に出たことで、選手が競技をどこまで続けたいのか、その想いや立場は一人ひとり違うと知りました。最後の試合に懸ける人もいれば、次を見据えて治療に専念したい人もいる。医療だけにとどまらない関わり方の大切さを学び、オーダーメイドの治療をめざすようになりました。
オーダーメイドの治療とは、どのような診療でしょうか?

整形外科に決まりきった治療はなく、その人に合わせたオーダーメイドで組み立てるものだと考えています。痛みの感じ方一つとっても、強い人もいれば弱い人もいて、本当にさまざまです。私は実家である当院を継ぎ、地域に戻ってきました。スポーツに励む人だけでなく、高齢者から小さな子どもまで、それぞれに合った治療を選べるようにしたいという思いでいます。完治が難しい場合でも、温かい気持ちで、少しでも痛みを和らげて帰っていただきたい。関わった一人ひとりが、できるだけ満足し、うれしい気持ちになれるほうへ近づけたいと思っています。
運動器エコーを軸に、機能の回復まで見据える診療を
力を入れている運動器エコーを用いた診療について教えてください。

運動器エコーは手軽で、放射線を浴びる心配もなく、体への負担に配慮された検査機器です。エックス線が基本的に骨を映すのに対し、エコーは筋肉や腱、神経、靱帯まで詳しく、しかもリアルタイムで動きが見られます。痛みの原因が骨折であることは少なく、腱や筋肉、靱帯にあるケースが多いので、多くの場面でエコーが役立ちます。注射でも、針先が目的の位置にあるか、薬がどう広がるかを見ながら行えます。効果が期待できていないなと感じたら、別の原因を考える判断もできます。画面を患者さんと一緒に見て、左右を見比べながら炎症の有無を説明できるので、患者さんの安心にもつながると思っています。
スポーツをする人の診療では、エコーはどのように役立つのでしょうか?
スポーツをする方は、筋肉の損傷がわかりやすいことが利点でしょうか。その都度、手軽にさっと当てて状態を確認でき、MRIほど時間も費用もかかりません。何度も撮ることが難しいMRIと違い、エコーなら繰り返し確認できますし、そろそろ復帰できそうかといった判断にも役立ちます。肩や肘のスポーツ障害では、骨が折れている・靭帯が切れているといった構造の破綻よりも、筋肉が硬い・柔軟性が足りないといった機能の問題が原因のことが多いものです。従来は骨に異常がなければ痛み止めで様子を見ることも多かったのですが、当院ではリハビリ時もエコーで筋肉や神経の動きを見ながら、機能がきちんと働くように導いていきます。
検査から手術、入院、リハビリまで院内で行える体制とお聞きしました。どのような利点がありますか?

一番の利点は、治療が途切れずシームレスに続けられることです。大規模病院では、患者さんは手術を終えると、転院や別の施設への入院となることが多いです。また、医療機関側も、一から患者さんの特性や経過を把握し直さなければならず、どうしても負担やロスが生まれます。当院なら最初から最後まで一貫して診られるので、どう良くなってきたのかも明確です。私はいつも、治療は一つの物語だと考えています。全体を通して診るからこそ、見えてくるものがある。転院が必要なときも、できるだけ早く受診し、最初の状態を診てもらうようお勧めしています。院内にMRIや入院設備も備え、検査からリハビリまで切れ目なく支えられる体制を大切にしています。
全世代を支え、婦人科の医師と連携して地域に寄り添う
骨粗しょう症など、高齢の方の診療で大切にしていることは何でしょうか。

骨粗しょう症は自覚症状がほとんどないため、つい軽く捉えて治療をやめてしまう方が少なくありません。しかし放っておくと、将来的に骨折を繰り返し、動けなくなって寝たきり状態に近づいてしまうこともあります。症状がなくても、少しずつ治療を続けていただくことが何より大切です。面倒に感じられがちなのですが、患者さんが途中で治療をやめてしまわないよう、言葉を尽くして継続を促すよう心がけています。そして気長に向き合っていただけるよう、寄り添うことを大切にしています。骨粗しょう症は女性に多い病気でもあるので、婦人科の医師とも連携していく必要があると思っています。
女性や女性アスリートの悩みにも力を入れていると伺いました。
女性には、月経や更年期など特有の悩みがあり、その部分は婦人科の医師である妻の加珠美先生が担当しています。加珠美先生はこれまで女性のヘルスケアを専門的に診てきて、月経に関する症状から更年期の不調まで幅広く診てきた医師です。特に力を入れているのが、スポーツをする女性のサポートです。過度な運動や無理な食事制限でエネルギーが不足すると、無月経や骨粗しょう症、疲労骨折が女性アスリートには起こりやすくなります。そのためコンディションづくりや障害予防の後押しにつながるような診療に努めています。スポーツをするかどうかに関わらず、婦人科領域のお悩みについても相談可能です。整形外科領域とも併せて、女性の健康を支えていきたいですね。
今後、どのようなクリニックにしていきたいかお聞かせください。また、読者へメッセージをお願いします。

関わってくださった方に、少しでも喜びを感じてもらえる場所にしたいですね。腰痛などで完全には治りきらない方にも、温かい気持ちで帰っていただけるように、とスタッフにも伝えています。例えば、検査をした上でただ「骨折はありません」で終えるのではなく、どう安静にし、いつ復帰するのか、その人なりの考えに寄り添い、伝え方も工夫していきたいと思っています。私たちは、その人に合った治療を提供できればと常に考えています。もし、ご自身の体のことで気になることがあれば、どうか気軽に足を運んでください。一人ひとりの歩みに寄り添える、身近な存在でありたいです。皆さんのより楽しい人生に、少しでも関わっていけたらと思っています。

