将来の病気のリスクにもつながる
小児の口腔機能発達不全症
オリーブ歯科こども歯科クリニック
(名古屋市港区/港北駅)
最終更新日:2024/11/20
- 自由診療
口腔機能発達不全症とは、食べる・話す・呼吸するための機能が十分に発達していない、もしくは正常に機能できていない状態のこと。食べ物をうまく食べられない、滑舌が悪くなる、口呼吸になる、不正咬合につながるといったリスクが増え、日常生活に支障が出ることが多い。さらにそのまま放置しておくと、将来の健康に悪影響を及ぼす可能性も高くなるため、歯科医院での専門的な診療を受ける必要がある。「いつものことだからと楽観視する親御さんも多いですが、思っているよりも深刻な症状です」と警鐘を鳴らすのは、「オリーブ歯科こども歯科クリニック」の荒川大輔院長。そこで口腔機能発達不全症の特徴やその対処法などについて話を聞いた。
(取材日2023年8月31日)
目次
口腔機能発達不全症は生活に支障を来すだけでなく、将来別の病気につながるリスクもある。早めの対策が肝心
- Q口腔機能発達不全症について教えてください。
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A
ひと昔前から、硬いものを食べなくなったことで、子どもの歯並びが問題視されるようになりました。さらに近年はスマホなどの普及により、昔に比べてうつむく姿勢が多く、会話も少なくなりました。口を使わなくなったことで筋力が衰え、基本的な口腔機能が低下しやすくなっているのです。口腔機能発達不全症では、主に食べる・話す・呼吸するという3つの機能に支障が出ます。姿勢が悪い場合には鼻で息をするのが苦しく、口呼吸になりやすくなります。あまり話さないと舌の筋肉が衰え、やわらかい食べ物は噛む機能がうまく発達せず、噛む力も弱くなります。もし、お子さんにこういった症状の心当たりがあれば、口腔機能発達不全かもしれません。
- Q口腔機能が弱いと、具体的にどのような悪影響がありますか?
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A
まず、発育への影響です。顎の発育が十分でないため歯並びが悪くなり、見た目だけでなく、将来の虫歯や歯周病のリスクが高まります。重症なケースですと、顔自体が歪んでしまうこともあります。よく噛んで食事ができないため、偏食になったり、消化吸収が悪いため、背が伸びないなど発育への影響がでます。また、口呼吸をしてしまうことで、本来フィルターの役目をする鼻を通さないため感染症にかかりやすく、扁桃腺炎や慢性鼻炎になることも多いです。いびきの原因にもなるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まり、日中の集中力が低下し学力への悪影響も考えられます。
- Q改善するにはどのような方法がありますか。
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A
口腔筋機能療法(MFT)というトレーニングを行います。これは口腔周囲筋の機能を改善するための訓練法です。いわばお口の筋力トレーニングで、主に3つの訓練によって口周りの筋肉にアプローチします。まずは、個々の筋肉の訓練で舌や唇、咀嚼筋などの機能改善を図ります。2つ目は、適切な咀嚼・嚥下・発音・呼吸ができるように訓練します。3つ目は、唇と舌がいつも適切な位置にあることをめざします。具体的には、舌で音を鳴らす、頬を膨らます、うがいをしてピタッと止める、運動して負荷をかけても口呼吸しないようにするなど、いろいろなメニューがあります。当院では保育士の資格を持った歯科衛生士がマンツーマンで指導しています。
- Qマウスピース型装置を使用したアプローチも教えてください。
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A
お口周りの筋肉を訓練し、舌の位置を正すことをめざします。そこには歯並びも深く関係しているためマウスピース型装置を用いて咬合誘導も行います。マウスピース型装置は発育の力を利用するので、トレーニングをしながら咬合改善を図ります。また、日中の1~2時間と睡眠時に装着するだけですので始めやすいと思います。
- Q親御さんが普段の生活で気をつけるべきことは?
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A
姿勢を正すことと、よく噛んで食べる食生活を意識してください。姿勢が悪いと気道が狭まり呼吸が苦しくなるので、より息の吸いやすい口呼吸になりやすくなります。姿勢が良いと鼻呼吸しやすくなりますから、正しい姿勢を意識してください。特にスマホやタブレットで動画を見る時、勉強する時に姿勢が乱れることが多いので気をつけましょう。また、やわらかいものや小さな食材ばかりを食べていると、咀嚼が少なくなり顎が適切に発達しません。お料理やおやつには噛み応えのあるものを選ぶと良いでしょう。お口周りの筋力トレーニングになり、自然と口を閉じやすくなると思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置/2万2000円