進化する緑内障治療
点眼薬とSLTレーザーの併用で効果の向上を
大宮七里眼科
(さいたま市見沼区/七里駅)
最終更新日:2024/09/10


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40歳以上の20人に1人がかかるといわれ、患者数も多い緑内障だが「初期は自覚症状に乏しく、10〜20年かけて静かに進行するため、本人が症状に気づく頃にはかなり進行しているケースも」と「大宮七里眼科」の山﨑健一朗院長は言う。現在は治療用の目薬の開発が進み、適切に治療を受ければ失明リスクも高くはないという。それだけに早く見つけて軽い症状のうちに治療を始めることが大切。さらに目薬で治療の効果が見込めないときはレーザー治療という選択肢も考えられる。また、高齢になると緑内障と白内障を併発する患者も多く、両方の病気をどう治療するかも課題になっている。そこで白内障を併発したケースにも豊富な治療経験を持つ山﨑院長に、緑内障の検査や治療に加え、緑内障患者の白内障治療についても取材した。
(取材日2024年6月14日)
目次
一般の健康診断で受けることが少ない眼底検査やOCT検査が緑内障の早期発見の鍵に
- Q緑内障ではどんな症状やリスクがあるのでしょうか?
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A
▲早期での検査と治療介入が重要であると山﨑院長は話す
視野が欠けたり狭くなったりする進行性の目の病気で、高齢になるほどかかる人は増え、日本では40歳以上の20人に1人が緑内障と考えられています。高くなった眼圧が視神経を傷めることが主な原因といわれますが、眼圧が高くないタイプの緑内障も多く見られます。一般的には10〜20年といった長い時間をかけて病気が進行し、何となく見づらい、かすむなどの症状から始まり、次第に周辺から視野が欠けて見えなくなる部分が広がります。ただ、両目で見ていると見づらさが補われるため視野の変化には気づきにくいでしょう。失明のリスクもありますが、これには糖尿病網膜症から緑内障を起こして急速に悪化したケースなども含まれます。
- Q受診のタイミングと検査内容などを教えてください。
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A
▲初期症状が乏しいため、定期的な検査が肝要
緑内障になっても初めは自覚症状に乏しく、患者さん自身が気づいて受診したときにはかなり進行している可能性が高いと考えられます。緑内障で障害された視野は元に戻らないため、症状がない初期のうちに検査で見つけることが望ましいですね。診断に必要な検査は視野検査、眼圧検査、眼底検査で、特に眼底検査は目の奥(眼底)にある視神経乳頭のへこみの大きさで視神経の傷み具合を判断する重要な検査です。一般的な健康診断では行わないことも多く、40歳以上の方は眼底検査を含む健康診断を受けるか、眼科の定期受診をお勧めします。また、最近は網膜や視神経乳頭の断面を見るOCT(光干渉断層計)で詳細な検査を行うクリニックもあります。
- Q視野が元に戻らないのなら治療法もないのでしょうか?
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A
▲適切な治療を継続し、症状が悪化しないようにしていく
緑内障の進行を抑えるための第一選択の治療法は、眼圧を下げることをめざす緑内障点眼です。現在では複数の薬を組み合わせた緑内障点眼薬もあり、より少ない回数の点眼で高い効果を得ることが期待できます。さらに近年は当院でも行っているSLT緑内障レーザー治療(選択的レーザー線維柱帯形成術)という治療法があります。SLT緑内障レーザー治療は、点眼薬と併行して行うことで、点眼だけで治療した場合よりもさらに眼圧を下げることが期待できます。また、一定の期間をおいて繰り返し照射することができます。そのため、SLT緑内障レーザー治療の経験豊富な眼科医師に、症状に適した治療法について相談してください。
- Q緑内障になると白内障にもかかりやすいのですか?
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A
▲白内障を併発している場合は、視力改善のために手術の検討を
他院で緑内障と診断され、緑内障の治療だけを受けてきたが、見え方が改善されず当院を受診される方がいます。そのうち、白内障手術を受けていない場合には白内障手術を受けることで視力の改善が望めることがあります。緑内障治療は見え方の悪化の進行を抑えるのが目的です。それに対し白内障手術では濁った水晶体を人工眼内レンズに置き換えることで夜の道や薄暗い階段などが見やすくなることが期待できます。当院では緑内障の患者に対しても白内障治療を積極的に行ったほうがよいと考えています。さらに重症の緑内障を併発している場合を除き、複数の距離にピントが合う多焦点眼内レンズも適応可能と考え、そうした手術も数多く行ってきました。
- Q緑内障などの検査・治療でこちらの強みをお聞かせください。
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A
▲精密な検査とその人に合った治療を心がけて診療している
眼底検査に広い範囲を一度に見られる超広角走査レーザー検眼鏡を用い、緑内障の診断で重要な視神経乳頭のほか網膜を広範囲に撮影できるため、病気の見落としが少なくなることが期待できます。また、網膜や視神経の断面図を観察できるOCT検査も導入し、緑内障はもちろん加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など視神経・網膜に関係したさまざまな病気の診断に役立てています。治療は20年以上にわたる診療経験をもとに適切な目薬の処方に努めているほか、SLT緑内障レーザー治療も得意としています。さらに前述した白内障の治療では、精度の高い手術をめざしてフェムトセカンドレーザーを用い、多焦点眼内レンズでの手術をご提供しています。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズを使ったフェムトセカンドレーザーによる白内障手術/片眼で110万円~