勅使川原 剛 先生の独自取材記事
横浜鶴見中央眼科
(横浜市鶴見区/鶴見駅)
最終更新日:2024/08/09
先進的な医療も含め幅広い治療の選択肢を提供する「横浜鶴見中央眼科」。同院をはじめ中央眼科グループで多くの白内障手術を行ってきた勅使川原剛先生は、「白内障の手術ではフェムトセカンドレーザーを用いて安全性と精度の向上をめざすなど、患者さんが希望される先進的な治療をこの地域で受けられるようにしたいのです」と話す。このほか眼内コンタクトレンズの手術、子どもの近視矯正、緑内障の早期発見と治療などにも取り組む同院。その特徴や強みについて勅使川原先生に詳しく聞いた。
(取材日2024年1月18日)
地域に先進的な眼科医療を提供するクリニックに
このクリニックの特徴や診療面の強みをお聞かせください。
当院は「地域に先進的な医療を提供する」を目標の一つに掲げ、患者さんが東京都内まで行かなくても、身近な場所で幅広い治療が受けられる診療体制をめざしています。フェムトセカンドレーザーによる白内障手術はその代表例ですが、ほかにも眼内コンタクトレンズの手術、オルソケラトロジーによる近視矯正、緑内障の早期発見と治療などにも注力しています。また、患者さんが納得して治療法を選んでいただけるよう、適切な情報提供に努めている点も特徴です。例えば診療室のモニターには患者さんの目の画像、検査で得た網膜の状態などを映し、わかりやすく説明しています。また、独自デザインのかわいらしい人形劇で、白内障の治療について紹介するオリジナル映像も制作したのですが、これは患者さんにもたいへん好評ですね。
レーザーによる白内障手術とはどのようなものですか?
白内障は眼内でレンズの役割を果たす水晶体が白く濁り、目がかすむ、物がダブって見える・ぼやける、光がまぶしいなど、見え方に異常を来す病気です。一般的な治療法として、病気の進行抑制のための目薬と人工眼内レンズを挿入する手術があり、レーザーによる白内障手術は後者に含まれます。レーザー手術とは、これまで医師がメスで行っていた角膜の切開、水晶体を包む水晶体嚢の切開、濁った水晶体を取り出すための分割という3つの重要な手術過程をレーザーに置き換えるもの。この場合、検査などで得た目の状態をもとに作成した手術計画に沿って、コンピューター制御によるレーザー照射で手術を進めるため、安全性と手術精度の向上が期待できます。しかも当院では、1000兆分の1秒というごく短時間の照射が可能なフェムトセカンドレーザーを導入し、より精度の高さにこだわった手術に取り組んでいます。
眼内コンタクトレンズ手術はレーシックとは何が違うのでしょうか?
眼内コンタクトレンズ手術とレーシックはどちらも近視・乱視にアプローチする手術ですが、眼内コンタクトレンズが眼内に小さく薄いレンズを埋め込むのに対し、レーシックは角膜を削ってしまう点に違いがあります。このため、眼内コンタクトレンズは何か不具合が起きたら、レンズを取り出したり取り換えたりして対応できる点が特徴です。また、レーシックでは矯正が難しいとされるレベルの強度近視も、眼内コンタクトレンズで対応できるケースもあるなど、より幅広い患者さんに対応可能なこともメリットでしょう。一方、眼内コンタクトレンズでは患者さんごとの目の大きさに合ったレンズ選びが大切で、当院では角膜や網膜の詳細な検査と併せて、精密にサイズを計測して適応可能かどうかを確認します。
患者の生活の質を向上させる治療をめざす
白内障手術によって、見え方はどう変わることが期待できますか?
人工眼内レンズを入れることでかすみやぼやけの少ない見え方が期待できますが、ピントの合い方は眼内レンズの焦点により異なります。例えば、保険診療で使用する単焦点レンズは遠近など1ヵ所にピントが合うタイプで、合わない距離を見るには眼鏡で矯正が必要。選定療養の多焦点レンズは遠中近など複数の箇所にピントが合うため、眼鏡を使う機会は大幅に減るでしょう。多焦点レンズには全体が明るく見えやすいタイプなども登場しています。なお、こうした多焦点レンズの手術では眼内レンズの固定位置の精度などにより見え方の質に差が出る場合もあります。フェムトセカンドレーザーによる手術では角膜切開の位置・水晶体嚢切開の大きさ、レンズ装着眼内レンズ固定の位置などを精密に管理しながら処置を進めることができるので、当院ではこのレーザーを活用するようにしています。
白内障手術では事前の検査も重要だと伺いました。
検査で目の状態を適切に捉え、適した治療計画を作成する必要があるためです。このため、当院では事前の検査にも多数の先進的な機器を用います。例えば、多くの角膜のデータを測定する前眼部形状解析装置で検査をすると術後視力がある程度予測できるため、精度の高いレンズ選びにつなげることが可能です。また、乱視軸などを測定する角膜トポグラフィーシステムによる乱視測定の結果が手術顕微鏡と連動していて、乱視矯正用の眼内レンズを使った乱視矯正をより正確に精密に行うことができます。当院では、こうした検査を検査のスペシャリストである視能訓練士が担当しています。手術当日は来院して手術を受けてクリニックを出られるまで2時間ほどしかかかりません。基本的に手術自体は約15~20分で終了しますし、手術後も少し院内でお休みいただければ眼帯なしでお帰りいただけます。
では緑内障の検査や治療についてお聞かせください。
緑内障をはじめとした各種の網膜視神経疾患には、眼底を精密に検査するOCTと呼ばれる光干渉断層撮影装置を使用して早期発見・治療に努めています。眼底カメラは網膜表面の状態しか確認できませんが、OCTは網膜・視神経の断層撮影や網膜・視神経の厚さの測定が可能で、表面からではわからない異常も見つけやすくなります。これにより緑内障や黄斑疾患などの診断が迅速にでき、適切な治療を早く始められるようになりました。初期~中期の緑内障は目薬による治療では対応できない場合、レーザーを使った治療や低侵襲の緑内障手術が選択できます。当院ではすべての治療方法が選択可能です。なお緑内障手術や網膜硝子体手術は、当院が所属する中央眼科グループの本院である横須賀中央眼科と連携しての対応も可能です。
患者との関係を深めることが早期対応につながる
小児の外来ではどのような症例が多いでしょうか?
当院ではお子さんの近視の診断と矯正が中心です。お子さんの近視は、将来的に緑内障や網膜剝離といった病気にかかるリスクが高まるとされているため、近視の矯正は非常に重要です。当院では近視矯正専用のコンタクトレンズを使うオルソケラトロジーも提供しています。オルソケラトロジーは就寝中のみレンズを装用するため日中は裸眼で過ごすことができ、レンズで角膜の形を一時的に変形させることで近視矯正をめざすものなので、レーシックなどの手術と違い装用を中止すれば元の状態に戻るので安心です。ただ、近視の根本的な改善には前述の眼内コンタクトレンズなどのほうが有用とされているため、お子さんの場合はそうした手術を検討できるまでの手段の一つとして考えるといいでしょう。
先生がやりがいを感じられるのはどんな時でしょうか。
手術などの治療を行った後、患者さんに喜んでいただけたらやはりやりがいを感じると思いますね。また、慢性疾患で長く通われている方と信頼関係を築ける点もやりがいの一つです。例えば、最初の通院のきっかけがものもらいであっても、医師やスタッフとの関係性によっては「せっかくだから緑内障の検査も受けてみよう」と思っていただけるようになり、疾患の芽を早期に摘むことにもつながると思います。これからもっと関係性を深めて、皆さんに一生頼りにしていただけるクリニックへと成長していきたいですね。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。
当院は先進的な医療も含め、さまざまな治療の選択肢をご提供することで、この地域にお住まいの方が希望される治療を選べるクリニックをめざしています。必要な情報はできる限りわかりやすくお伝えし、ご自分でしっかりと腹落ちしてから治療を選ぶことが、お互いに満足度の高い治療につながるはずです。白内障や緑内障とその治療についてオリジナルの人形劇を企画して映像化したのも、レーザーによる手術のメリットや眼内レンズの選び方などをより簡単にわかりやすく伝えたいと考えたからです。今後も情報提供には工夫を重ねていきますが、皆さんからも目の病気や治療について気軽にご相談いただき、ご自分に適した治療について考えていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはフェムトセカンドレーザーによる白内障手術(多焦点眼内レンズ)/38万円~(選定療養対象)、眼内コンタクトレンズの手術/62万7000円(乱視なし)・69万8500円(乱視あり)、オルソケラトロジーによる近視矯正/12万4850円~