いびきに悩む人に知ってほしい
歯科で診る睡眠時無呼吸症候群

いびき対策のファーストステップとして利用したい。歯科医院で作るいびき用マウスピース

Qいびきはどうして起こるのですか？

A

▲約10年以上前からこの治療に取り組んでいる

喉の気道が狭くなることによって、呼吸音が共鳴していびきになります。太っている人は喉の気道が狭くなっているので、仰向けで寝ると無意識に舌が喉のほうに落ちて、ますます気道が狭くなってしまいます。肥満の人だけでなく、顎が小さい人も舌が喉の奥に落ちやすく、いびきをかきやすいといえます。舌が喉側に落ち込むことによって気道がふさがることを「舌根沈下」というのですが、それがいびきの一番多い原因です。いびきという症状の中にはいろいろな病気が隠れている場合があり、いびきをかく人の中には睡眠時無呼吸症候群という病気の患者さんがいらっしゃいます。

Q睡眠時無呼吸症候群とはどういう病気ですか？

A

▲睡眠時無呼吸症候群は今や「国民病」「現代病」ともいわれている

睡眠時無呼吸症候群は、舌根沈下によって睡眠時に何度も呼吸が止まる病気です。睡眠が阻害されるため、日中、ひどい眠気に襲われて、運転中に事故を起こすケースもありますね。睡眠中、酸素が不足することで脳や心臓にも負担がかかります。耳鼻科や呼吸器内科などでは、1泊入院して検査をするのが一般的です。医科で行う対処としては、口蓋垂を切るという外科手術もありますし、寝るときにシーパップという医療装置をつけて空気を送るという方法もあります。

Q歯科では、いびきに対してどんな対処ができますか？

A

▲アットホームなクリニックで相談もしやすい

まずは、患者さんの口の中を診ます。舌根沈下が毎晩続いていると、舌の側面に歯型の跡がつきますから、それも判断材料になります。処置としては、寝るときに装着するスリープスプリントというマウスピースを作製します。呼吸が楽になるように、強制的に下顎をほんの少し前に出す装置です。ただ、いびきは慢性的な症状なので、この装置で完治するというわけではないことは理解しておいてください。あくまでも舌根沈下を防ぎ、いびきの軽減をめざすための装置なので、手術などに踏み切る前のファーストステップと考えるのがいいかもしれません。もちろん、人によってはこの装置が合っていて、もう手放せなくなったという方もいらっしゃいます。

Qスリープスプリントによって下顎が出てしまうことはないですか？

A

▲良質の深い睡眠こそ健康の源だと話す院長

基本的に寝る時だけの装着ですし、大人の方であれば、顎の成長も止まっていますのでそこまで心配することはないと思います。また、歯科医師がきちんと噛み合わせをチェックし、矯正力と舌根沈下の微妙なバランスを考慮して作りますので、数ヵ月に一度は調整してもらうとなおよいでしょう。歯ぎしりも睡眠時無呼吸症候群につながる可能性があります。歯ぎしりによって下顎の裏側に骨隆起ができるので、舌根沈下が起きやすくなるのです。いろいろなことが舌根沈下につながっているので、生活面を見直すのも一つの方法ですね。高い枕も気道が狭くなるのでよくないですよ。寝姿勢も、仰向けよりも横向きのほうがお勧めです。

Qスリープスプリントの長所と短所を教えてください。

A

▲先生自身でもスリープスプリントを使用しているそう

長所は、シーパップのような大きな装置とは違って持ち運びが手軽なことです。出張や旅行の際、同室の人に迷惑をかけず、安心してぐっすり眠ることができますね。3～5回程度の通院で完成し、半永久的に使用できるのも手軽です。あまりそういったことはないかもしれませんが、炎天下で放置すると変形してしまうので、注意してください。他の診療科の検査で睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、保険適用にもなります。当院からも検査のできる病院を紹介しています。短所というか、意外と固い装置なので、最初は違和感がありますが、次第に慣れてくるでしょう。