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羽賀 達也 院長の独自取材記事

羽賀糖尿病内科

(愛西市/五ノ三駅)

最終更新日:2019/08/28

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五ノ三駅から徒歩10分。住宅と農地が広がるのどかな地域にある「羽賀糖尿病内科」は、開院して10年となる糖尿病治療の専門クリニックだ。院長の羽賀達也先生は、海南病院などで30年以上糖尿病と向き合ってきたベテランドクター。日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医であり、東海地区の1型糖尿病患者の会の相談役を務め、2型糖尿病はもちろん1型糖尿病の治療や糖尿病の合併症などの予防・治療にも詳しい。患者と信頼関係を築きながら、患者の生活の質を高めるために新しい治療も取り入れている羽賀先生に、診療のモットーや治療への意欲を高めてもらうために心がけていることなどを聞いた。
(取材日2017年5月2日)

治療によって大きく変わる、患者の人生を支えたい

開院10周年を迎えられたそうですね。

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この4月で開院してちょうど10年になりました。開院前は海南病院に20年以上勤務しており、診療部長や副院長の職に就いていたのですが、管理的な仕事量が増えるに従い、じっくり最新治療を勉強することが少なくなってしまいました。医師としての活動する年月に限りがあることを考えたとき、患者さんの生活も踏まえたじっくりと考える医療を行いたい。そのためには開業するしかないと思い決断しました。50歳を越えていましたが、納得して医師としての生涯を終えたいという気持ちでした。

患者さんはどのような方が多いですか?

この周辺にお住まいの方が多いです。ただ、糖尿病専門と謳っているので結構遠い所からも来られます。年齢層は一番若い方で高校生、多いのは中年からご高齢の方です。現在、1500人ほどの患者さんに通っていただいており、1型糖尿病の方も60~70人程度いらっしゃいます。1型糖尿病の患者さんの比率は多いほうだと思います。この辺りの方は人柄がよく、すごくクリニックのことを信頼してもらっているのでありがたいです。

糖尿病治療を専門とされている先生のやりがいは何ですか?

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糖尿病はずっと付き合っていかなくてはいけない病気なので、状態を良くすることでその方の一生が変わってきます。治療によって患者さんのこれから先の人生を大きく変えることができるところが、一番のやりがいですね。もう一つは、日々進歩する医学の中でも、特に治療が急激に進歩した病気の一つが糖尿病であることです。非常に良い薬が次から次に登場してきて、同時に合併症が起こりやすい状態が解明されてきて、どうすれば合併症や死亡率を減らすことができるかがわかってきたんです。早期から飲み薬で良いコントロールができるようになったことで、インスリン治療になる人は激減しました。

生活習慣の改善にも前向きに取り組めるようサポート

糖尿病といえばインスリンというイメージでしたが、今はそれだけではないのですね。

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飲み薬も昔はSU薬という1種類の飲み薬しか使われていませんでした。SU薬は膵臓を刺激して血糖値を下げるので、SU薬のみの治療では、膵臓が早く弱ってしまいました。次にインスリンを使わざるを得なかった。それもぎりぎりのタイミングで使うために、急激にインスリンで血糖値を下げるとそれまで表面に出てこなかった合併症が一気に出てきて、インスリンが命を縮めたような印象を与えることも。ですが今は、血糖値を上げず、低血糖にならず、体重を増やさないような薬を使ってコントロールすれば、合併症や死亡率を少なくできることがわかったので、まずはその類の薬を使っています。数種類の飲み薬を組み合わせても血糖値が高ければ、早期にインスリンを使用します。膵臓が元気なうちにインスリンを使うと、膵臓の負担が減り、膵臓も再び元気になり、飲み薬の治療に戻ることも。そうならなくても長く膵臓を良い状態を保つことができるようになりました。

診療で心がけていらっしゃることは?

開業してからは特に、患者さんの仕事や家族など生活背景を聞くようにしています。仕事の内容は糖尿病の状態にすごく影響するんですよ。食事を摂るタイミングや、いつも手料理なのか外食が多いのかコンビニ弁当で済ましてしまうのかインスタントラーメンを食べているのか……。それに応じてコントロールのしやすさや、気を付けなければいけないことがかなり違ってくるんですね。あとは運動できる環境にあるか。深夜に帰宅して早朝に出勤するお仕事の方に、家に帰ってから運動してくださいなんて言えないですからね。

糖尿病の治療では、生活改善も大切なのでしょうか?

私たちは薬の専門家でもあるので、どうしてもお薬を出してしまいますが、生活の改善のほうが効果が強いのです。血糖値が高くてたくさんお薬を飲んでいる人が生活習慣を改善する努力をせずにクリニックに来られたときは、お薬は少し減らし気味にして食事や運動をもう一回見直してもらいます。するとどんどん良くなって、お薬がほとんどなくなった方もいらっしゃいます。そうなると最高ですよね。

患者さんが生活習慣を改善するためのサポートはどのようにされていますか?

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糖尿病は生活=治療ですから、やはり力を入れずに普段何げなしにできることを継続してもらえるよう、多くのことは望まないようにしています。例えば1時間歩けなくても寝る前に10回腹筋をするとか。それで、「ちょっとおなかの脂肪が減ってきた」など、何かいいところ、少しでも頑張ったところを見つけて患者さんの努力されたことを認めます。そうすると患者さんも、今度会うときに「これだけやったよ」と言いたくなってもらえるんじゃないかなと。気持ちが前向きになって自分に自信が持てると、自然とやっていることが楽しくなる。そうすると体重計に乗ることも多くなって、ちょっとでも体重が減ると「やっぱり頑張るとこれだけ減るのかな」とまた頑張れる。患者さんがそういういいサイクルに乗れるように、診療では気持ちが前向きになる声かけを心がけています。

スタッフとともに、まず患者との信頼関係を大切に

先生以外のスタッフはどのような体制ですか?

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診療室が2つあり、うち1つは外部から5人の先生に診察をお願いしています。最近は患者さんが多く、1人だとなかなか会話する時間がとれないためありがたいです。それに「初めて会った先生から本当に危ないと強く言われたものだから、食事を見直しました」とすごく頑張って良くなった方もいらっしゃいました。スタッフは管理栄養士1人、看護師5人、事務員5人、臨床検査技師1人です。こういうふうにしなさいというのは設けていませんが、なるべく治療の話をする前にコミュニケーションをとって、患者さんと信頼関係を築いてもらいたいと思っています。私にしてもスタッフにしても、信頼があれば伝えたいことがすんなり患者さんの心の中に入ると思うんです。スタッフはすべて学会に出たり専門的な雑誌を読んで勉強していますので知識はありますが、やはり信頼関係が前提にないと伝わりませんからね。

先生は最初から糖尿病を専門にしようと思っていたのですか?

学生時代は陸上競技をずっとやっており、けがも多かったので、最初はスポーツ整形をやろうと考えていました。僕は800mや1500mといった中距離の選手でした。実はオリンピックにも出た有名なマラソン選手が僕の1年後輩で、一緒に走っていたこともあるんです。当時は同じ中距離選手でしたので一緒に競技会に出ていましたが、勝てませんでしたね。内科に転向したのは、全身を診る東洋医学に興味を持ち、漢方に一番多く関わるのが内科だったからです。それから再び大学に帰って研究生活をしたときに入ったのが糖尿病内科でした。

患者さんとのエピソードで印象に残っていることはありますか?

たくさんあるのですが、「GLP-1受容体作動薬」という新しいお薬で良くなった方が大勢いることがとても印象的です。このお薬は、血糖値は下げるけれども低血糖は起こさないという、とても良い薬なんです。私自身は糖尿病治療を大きく変えたと思っている薬なんですが、残念ながら日本ではそれほど一般的ではありません。でも、これから広まっていくのではないかと思っています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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なかなか自分の健康にまで気を配ることができないのですが、まずは自分自身が患者さんに負けず健康でいることが大事でしょうね。当院に通ってくださっている患者の皆さんに、これからも末永く健康を維持していただくためにも、あまり頑張りすぎず、時々休みをもらいながら、地道に日々の診療にあたっていきたいと思います。

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