クリニックで行う健康ワークショップ
「ありのまま会」の活動とは
芦屋三戸岡クリニック
(芦屋市/芦屋駅)
最終更新日:2022/05/11
胃や大腸などの消化器内視鏡検査を専門に、人々の健康と安心に向けて注力する「芦屋三戸岡クリニック」。その院内において2020年にスタートしたのが「ありのまま会」と名づけられたユニークな活動だ。現在は「体の養生」「食の養生」「響きで養生」の3つの柱を中心に、それぞれのエキスパートが講師を担当。講演会や勉強会、体験ワークショップなどを通じ、楽しみながら本来の健康というものに気づきをもたらしていく取り組みとなっている。そのコンセプトや活動内容の一端を、クリニックの院長である三戸岡英樹先生、食養生研究家の田辺佳子さん、ボイストレーナーの有田亜希子さんの3人にじっくり聞いてみた。
(取材日2022年1月20日)
目次
食生活や声の響きなどに関する学びを深め、さまざまな体験を通じて健やかな生活につなげる
- Q「ありのまま会」とは、どのような取り組みですか?
-
A
【三戸岡院長】医師として現代の医療に携わっていると、多くの生活習慣病は薬によって一時的に対処しているに過ぎず、体そのものが本質的には治っていないことに気づかされます。根本から健やかな体を得るためにはどうすればいいか、そう考えていた折にさまざまな専門家の方と出会って始めたのがこのワークショップです。人間には1分1秒でも健康に生きようという生まれながらの本能があり、その本能に抗うことなく肩の力を抜いてありのままの自分に向き合うこと。それがこの活動のテーマです。単なる自然回帰ではなく、食や声などをテーマに、現代の生活とマッチした形でさまざまに実践しながら本来の自分に出会い直す作業とお考えください。
- Qさまざまなエキスパートが協力して取り組んでおられるのですね。
-
A
【三戸岡院長】私は合気道をやっているのですが、そもそも合気道は体や心を整えながら生きる力を高めていくというもので、道場には同じ価値感の仲間が大勢います。その中で特にコンセプトの近い専門家の方々と共鳴し合い、「体の養生」「心の養生」「食の養生」という勉強会を展開してきました。昨年「心の養生」の講師は渡米されましたが、代わって声の専門家である有田さんの「響きで養生」が加わり、これまでどおりの奥行きのある活動が続いています。講師は全員が合気道有段者で、活動もクリニック併設の道場にて行います。道場も合気道家である建築家が手がけたものなんですよ。
- Qまずは「体の養生」について教えてください。
-
A
【三戸岡院長】断食と体の健康に着目して始めたのが「体の養生」です。断食の目的は自身を一時的な飢餓状態に置くことによって心や体を浄化することで、現代でも世界中で研究が続けられています。当院では、そのメカニズムやスケジュールなどをよくご理解いただくために、事前にリモートなどを通じて適切な食生活や断食の講義を受けていただくことが条件となります。断食中、何か体調の変化や不安なことがありましたら、私が電話で対応をさせていただきますので、安心して取り組んでいただきたいです。
- Q「食の養生」について教えてください。
-
A
【田辺さん】私はかつて放送局で番組制作の仕事をしていたのですが、重度の障害のある次女が生まれたのをきっかけに食の大切さを痛感し、以来、野菜ソムリエを筆頭に、だしソムリエ、分子栄養学のカウンセラーとして活動するようになりました。生命力を高めるための食事、舌先だけでなく全身が喜ぶような食事が「食の養生」のテーマです。講習では栄養の基礎知識に始まり、どこでも手に入る旬の野菜を使いながら、誰もがシンプルに毎日無理なく続けられるような食事や、旬の野菜をおいしく食べるための「重ね煮」をご紹介しています。健やかな生活は毎日の食卓から始まります。自分の直感を信じて「ありのまま」の食生活を楽しんでみてください。
- Q「響きで養生」では、どのようなことが学べますか。
-
A
【有田さん】私は声楽が専門ですが、「響きで養生」は歌手や俳優といったプロの方だけに向けたものではありません。自分の声にコンプレックスがあって、コミュニケーションに悩みがある方は少なくないでしょう。声が伝わるためには、喉だけで頑張るのではなく、全身がよく機能している状態が必要です。頑張らなくても相手に伝わっていく、健やかな声を育てる過程で、体も健やかになっていくことを実感しています。ワークショップでは簡単な童謡を歌いながらいろいろな声を出したり、ペアで響きを確かめたりして、楽しく体験することができます。体や空間に響かせ、他の方と響き合いながら、体の中に眠る声を見つけていただければと思います。