阿部 充伯 院長、藤枝 裕之 副院長の独自取材記事
よつば循環器科クリニック
(松山市/JR松山駅前駅)
最終更新日:2026/05/19
JR予讃線の松山駅から車で約10分、新空港通りにある「よつば循環器科クリニック」は、循環器内科が専門の阿部充伯院長と藤枝裕之副院長が、2006年に開業した。緊急性を要する心疾患に機動力ある診療を実践するために、循環器内科と心臓血管外科を併設し、カテーテルや投薬などの内科的治療と、外科的手術の両面から検討する体制を整えている。同時に、地域のかかりつけ医として、生活習慣病の治療なども担う。クリニック名には、四つ葉のクローバーのように患者・医師・医療従事者・社会環境がつながり、患者に元気で幸せになってもらいたいという想いが込められている。開業から20年、新たに訪問看護ステーションを開設し、在宅医療体制を拡充するなど地域医療への取り組みや、今後の展望などについて、話を聞いた。
(取材日2025年12月10日/情報更新日2026年5月15日)
循環器内科と心臓血管外科が連携し、高度な医療を提供
クリニックの特徴や強みをお聞かせください。

【阿部院長】心臓の専門的な検査や処置を迅速に行える設備や、機動力を備えているところです。当院では、心電図や心エコー、320列のマルチスライスCTといった先進の検査機器を備え、心臓血管外科による心臓カテーテル検査、手術にも対応し、入院病床もある。ワンストップで初診から検査、治療へとスピーディーに行うことが可能です。一般的なクリニックでは、受診して心臓の検査が必要と判断されてから、紹介された病院を予約をし、検査を受けるのは1ヵ月後、2ヵ月後になることも珍しくありませんが、当院では、受診当日に検査を行い、確定診断に至るケースもあり得ます。こうした診療が可能なのは、充実した設備に加え、経験豊富で熟練した放射線技師や臨床検査技師をはじめとするマンパワーによるところも大きいですね。
ワンストップで検査、診断、治療が受けられるのは患者側に大きなメリットになりますね。
【阿部院長】急性期の病気の診察では早期診断・早期治療が何より大切です。愛媛県は、心不全や心筋梗塞で亡くなる人が多く、心疾患の後進県といえます。検査や診断まで時間を要するのが一因だと思うので、当院では、精度の高い検査を迅速に行う体制を整え、心疾患に特化した検診も実施しています。採尿・採血、胸部エックス線撮影、安静時心電図、動脈硬化検査、超音波検査、さらにオプションで、トレッドミル運動負荷心電図、マルチスライスCT、ホルター心電図も受けることが可能です。また、ホルター心電図は、通常は24時間測定しますが、1週間継続する機器も導入し、異変を発見しやすくなっています。
早期発見・早期治療には、患者側の病気に関する知識や健康への意識を高めることも大切ですよね。

【阿部院長】コロナ禍で中断はありましたが、2006年から毎年、4月に地域のデパートのホールにて、心疾患や生活習慣病などをテーマに、一般の方向けに「よつばの日健康セミナー」を企画しています。今年、2026年も4月29日水曜日・祝日に開催します。当院の患者さんがお友達と一緒に来場されたり、質疑応答では、持病で他の医療機関にかかっている方が熱心に質問を投げかけてくださったりもします。
【藤枝副院長】セミナーは、狭心症がテーマの場合、「狭心症ってこんな病気なんだ」と知っていただくだけでなく、狭心症の患者さんも、ご自身の病気について再認識し、見つめ直す契機になるのではないでしょうか。特に、この5年ほどは、来場された方は、とても真剣に話を聞いてくださり、健康への関心の高まりを肌で感じます。寄せられる質問も、かなり専門的な内容もありますよ。
生活習慣病治療からカテーテル手術まで幅広く対応
心臓の病気は高齢者に多いイメージですが、働き盛りの方の受診も多いそうですね。

【藤枝副院長】心房細動という不整脈を訴える方が若年化していると感じます。スマートウォッチで計測された心電図で気づいて相談にみえる方もおられます。不整脈の治療には、カテーテルアブレーションという治療を行います。心電図を計測する電極がついたカテーテルを足の付け根や首から挿入し、血管を伝って心臓の中まで通し、心臓の内側の壁に接触させて心電図を計測し、不整脈の原因となっている部位を特定して、高周波電流を流して焼き切ります。3時間程度で完了しますが、3、4日程度の入院が必要になり、術後も検査や経過観察で通院が必要です。
心疾患の治療で、これから力を入れたい分野はありますか。
【阿部院長】心臓リハビリを提供することです。心疾患の患者さんには入退院を繰り返す方も多く、何度も入院しているうちに、心機能が悪くなり、体力も低下して、日常生活に支障を来してしまう。そのような方に、医師、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床心理士、臨床検査技師、作業療法士などが関与し、心機能や体力の回復を図し、日常生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止するために、運動指導や生活指導などを行うというものです。患者さんのQOLを向上し、健康寿命の延伸にもつながるので、2026年度開設をする予定です。
生活習慣病の治療など、地域のかかりつけ医としての役割も担っておられますね。

【阿部院長】高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病をコントロールすることは、心臓の病気を防ぐことにもなります。当院では、かかりつけ医としてこれらの基礎疾患について、投薬治療、専属の栄養士が生活習慣病の患者さん一人ひとりに栄養指導、適度な運動などの生活指導を行い、定期的な検査により数値の変動を見ていくことで、取り組みの変化を実感していただけるようにしています。さらに、難治性の高血圧に対し、カテーテルを用いて腎臓周辺の交感神経を焼いて遮断し、血圧を下げることを目的とした治療の導入を視野に入れ、スキルアップを図っています。
入院病床を備え、訪問診療でも地域医療に貢献
訪問診療を始められたそうですね。

【阿部院長】開業から20年がたち、患者さんの高齢化に伴い、通院が難しい方も増えてきました。施設ではなく住み慣れた自宅での療養や、ご自宅での看取りを望む声を受け、2025年から訪問診療受け入れ枠を拡張しました。同年度には訪問看護ステーションも開設し、在宅医療体制の整備強化を図っています。これまで診てきた患者さんを最期まで支えたいという想いも、その背景にあります。他の医師に紹介するよりも、これまでの経過を把握している医師が診療を担うメリットも大きいですからね。さらに、心疾患をお持ちの方を他の医療機関から紹介されたり、新規の患者さんが訪問診療を利用されるケースも多い。専任スタッフも増員して体制を強化し、ニーズに応えていきます。
開業から20年の積み重ねが、地域医療に生かされているのですね。
【藤枝副院長】医療のDX化が叫ばれていますが、当院では、開業当初からSEを入れて、予約システムの開発や、診察データの蓄積などを行ってきました。通常、診察データは5年分の保存が義務づけられているところ、当院は20年分のデータを持っています。そのため、10年ぶりに受診した患者さんのデータをすぐに呼び出せたり、検査結果を経時的に確認し、患者さんにお見せすることも可能です。さらに続けていけば、患者さんの経年変化の蓄積をビッグデータとしてAI解析を行って活用し、社会貢献もできるかもしれません。一方、いくらAIが進歩して、手術の補助システムなどが発達したとしても、手術の技術は経験によって磨かれるものです。長年、多くの症例を手がけ、積み重ねた経験から得た技術や知見を、患者さんに還元することでも貢献していきたいですね。
最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

【阿部院長】地方では特に、人材不足で医療が危機的な状況にあるといわれますが、当院は、100人以上の従業員が「患者さんのために頑張ろう」という共通認識で奮闘しています。19床の入院病床も、在宅での療養が困難で、かといって大きな急性期病院では紹介も難しいような患者さんにとっては、大きな助けになると思うので、維持し続けていきたいですね。
【藤枝副院長】当院には、健康診断で問題があると言われた方、動悸がするけれど心臓の問題か自律神経から来るものなのかわからずに来院する方など、さまざまなお悩みを持つ多くの患者さんが訪れます。混雑していることが多く、受診をためらう方もおられるようですが、頼っていただいた方には、お役に立ちたいという想いでいますので、早期発見のためにも、遠慮せずに相談にいらしてください。

