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糖質の役割と糖質制限の効果を正しく知る
無理の少ない体質改善

かしわばらクリニック

(春日井市/勝川駅)

最終更新日:2021/10/12

かしわばらクリニック 糖質の役割と糖質制限の効果を正しく知る 無理の少ない体質改善 かしわばらクリニック 糖質の役割と糖質制限の効果を正しく知る 無理の少ない体質改善
  • 保険診療

糖尿病や肥満に悩む患者が取り組む方法としても知られる糖質制限。炭水化物などの糖質を控えるという比較的取り組みやすいことから、近年ではメディアでも取り上げられ、ダイエットのために取り組み始める人も多いという。しかしなぜ、体に必要なものである糖質を控えなければいけないのだろうか。また、やみくもに白米など炭水化物を取らなければ大丈夫、という考え方で良いのだろうか。糖尿病患者の不調の声をきっかけに糖質制限に取り組み始めた「かしわばらクリニック」の市川篤院長は、正しい糖質制限の方法の指導や啓発に尽力するドクター。今回はそんな市川院長に、糖質の役割から糖質制限の考え方や得られる効果、同院の得意とする漢方治療との併用について、ふんだんに語ってもらった。

(取材日2017年9月11日)

患者一人ひとりの好みやライフスタイルに合わせた適切な糖質量を知り、楽しく体質改善に取り組もう

Q体の中での糖質の役割を教えてください。
A
かしわばらクリニック 子どもから高齢者まで幅広く受診できる町のクリニック

▲子どもから高齢者まで幅広く受診できる町のクリニック

糖質は人間が活動するために不可欠な主要なエネルギー源で、これがないと人間は生きていけません。ところが糖質は取りすぎてしまうと、反対に体へ害を及ぼします。その最たるものが糖尿病です。もともと糖質は頻繁に摂取できるものではなかったことから、体は燃料切れを防ぐために摂取した糖質を中性脂肪に変え、脂肪細胞に貯蔵するという「糖質が足りなくなった時」を前提とした仕組みを持ち合わせています。しかし現代は体を動かす頻度が少なくなっているにも関わらず糖質を摂取する機会が多く、貯蔵量を上回る供給が続いている状態にあります。そんな過剰な供給が繰り返されることで、さまざまなトラブルの原因となってしまうのです。

Q具体的にどのようなトラブルが起こってしまうのでしょうか?
A
かしわばらクリニック 市川院長は漢方治療を得意とする

▲市川院長は漢方治療を得意とする

糖尿病に限らず、動脈硬化やアレルギー症状、がんやうつ病など、トラブルの形はさまざまです。脂肪細胞の中に貯蔵できる中性脂肪の上限をオーバーしてしまうことで、脂肪細胞に炎症が起こり、トラブルを引き起こす“火種”となってしまいます。最近では心臓にも中性脂肪が蓄積し、心機能に障害が起こるという報告もあります。レントゲンなどで心臓の状態を診れば、予見することも不可能ではないですが、血管の障害と異なり前兆もなく不整脈などを発症することもあるため、最悪の場合、突然死につながることも。だからこそトラブルの根源である炎症を予防するために、適正な量の糖質を摂取する習慣を身につけることが大切だと言えます。

Q自分に合った糖質制限を知るためにはどうすれば良いですか?
A
かしわばらクリニック 院内は木の爽やかさに満ち、ゆったりと過ごせる空間になっている

▲院内は木の爽やかさに満ち、ゆったりと過ごせる空間になっている

必要な糖質の量は人によって異なります。同じような体型であっても、活発に頭や体を動かす人とそうでない人で、必要な糖質の量に差があるのは当然ですから。指導では、1日に70g以上、1食当たり20~40g程度という指標をベースに、必要な量を日々の生活を通して探っていき、その内容を評価していきます。指導の際は糖質量だけでなく、1日の中での摂取バランスや頭の働き具合もチェックします。糖質は脳が働くために不可欠なもの。でも1日の中での摂取バランスが崩れることで血糖値の上下が激しくなり、だるさや眠気などの頭の働きの不調につながります。体調だけでなく、頭の働き具合も大切な指標の一つですね。

Qカロリー制限をはじめとした食事療法との違いは何でしょうか?
A
かしわばらクリニック 体質改善においても漢方を用いる

▲体質改善においても漢方を用いる

基準となるカロリー量の中で糖質、タンパク質、脂質を決められた割合で摂取していくカロリー制限は、食事のバランスを常にチェックする必要があり、なおかつタンパク質や脂質を控える食事となるため、満足感を得にくく長続きしづらい印象を受けます。また人によっては、基準となる割合だと糖質の取りすぎとなってしまうこともあるんです。糖質制限はいわば、糖質の量“だけ”に目を向ければいい方法です。食事療法は多々ありますが、血糖値のコントロールという観点では糖質制限は有効な方法の一つと言えるでしょう。

Q糖質制限を指導する際の心がけや取り組みを教えてください。
A
かしわばらクリニック 診療では患者との会話を重視し、情報提供も熱心な市川先生

▲診療では患者との会話を重視し、情報提供も熱心な市川先生

糖質を控えなければいけない理由、病気になってしまった原因を丁寧に説明し、その上で無理のない形で実践してもらうことを大切にしています。糖質制限は糖質を禁止することではありません。量を控えたり置き換えたりすればいいのですから。また当院で力を入れている漢方治療を併用すれば基礎代謝が上がるケースもあり、相乗効果も期待できます。実は当院で糖質制限に取り組むようになったのも、だるさや倦怠感などの不調の解消で漢方治療を求める患者さんの声がきっかけなんです。原因である糖の改善と漢方治療は密接な関わりがあると熟知しているからこそ、不調の根元である糖の改善が欠かせないと自信を持ってお話しできるのだと思います。

ドクターからのメッセージ

市川 篤院長

糖質制限は手軽に取り組める上に、糖尿病だけでなく、高血圧や高脂血症などさまざまな疾患の改善にも効果が期待できる方法です。糖質を取りがちな現代の食生活。今は顕著な悩みがなかったとしても、糖質について正しい知識を持ち、日々の生活に生かしていくことは、健康を維持していく手立てとしても有効です。糖質は体にとって欠かせないものだからこそ、正しい付き合い方を身につけることは、これからの健康のためにも大切なことなのではないでしょうか。

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