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市川 篤 院長の独自取材記事

かしわばらクリニック

(春日井市/勝川駅)

最終更新日:2021/11/09

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黄色の外壁と深緑の屋根が特徴的な「かしわばらクリニック」。内装には木がふんだんに使われ、院内は森の中にいるような爽やかな空気に満ちている。待合室の8メートルにも及ぶアーチ状の天井は圧巻で「初めて来院される方は天井を見上げて驚かれますね」と市川篤院長。同院の基本理念は「自発的治癒力を導く医療」。患者に対し、人間が本来持つ治癒力を高めるためのサポートを治療のメインとし、糖尿病などの生活習慣病の改善や、糖質制限へのアプローチに力を注ぐ。取材では漢方治療の特長や、治療を提供する上で心がけていることなどを聞いた。

(取材日2016年10月4日/再取材日2021年9月10日)

対話重視の診察と漢方薬を用いた包括的な医療を実践

こちらのクリニックの診療方針を教えてください。

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当院では、漢方薬を用いた「自発的治癒力を導く治療」を提供をモットーとしています。具体的には、漢方医学特有の診察方法と、血液検査やエックス線画像検査などの西洋医学的なアプローチを組み合わせた診療によって、適した漢方薬を選び出し、服用を続けてもらうことで現れている症状の改善をめざします。さらに診療では、表面に顔を出していない隠れた不調にも踏み込んでいきます。そうして、不調が起こりにくいように自然治癒力を高めて全身の健康状態を底上げするお手伝いもめざしていくのです。

漢方医学にはどのような特徴があるのですか?

漢方医学では「四診」という独自の方法で診察し、治療方針と処方内容を検討します。「四診」は患者さんの姿勢や表情を観察する「望診」、口調、声量などを観察する「聞診」、病歴や症状を聞き取る「問診」、患者さんの腹部に触れたり脈を取ったりして反応を診る「切診」に分類され、診察中は五感をフル活用して不調の原因となる体の「ゆがみ」を見定めていくのです。歩き方などの動作も大事な情報源なので、診察室に入る瞬間から診察をスタートしています。他にも、自覚症状を詳細に把握することも非常に重視しています。例えば鼻水にしても、「さらさらとした透明な鼻水」と「黄色っぽい粘りけのある鼻水」では、用いる漢方薬も異なってくるため、いつ、どんなときにどんな症状があるのか、どのくらい続いているのかは丁寧に聞き取っています。併せて、家族構成や生活背景なども綿密にヒアリング。診察時間のほとんどは会話に費やされるといってよいでしょう。

西洋薬と漢方薬の違いを教えてください。

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端的に言えば、西洋薬は「一つの症状や病気に対するダイレクトなアプローチ」、漢方薬は「複数の病気や慢性的な症状、全身の病気への働きかけ」を得意とします。多くの人にとってなじみ深い西洋医学では、臓器や症状をパーツで捉えて診断を下します。そのため西洋薬の効能も「熱や痛みをとる」「血圧を下げる」とパッケージ化されています。数値の改善には有用ですが、許容される範囲内で副作用が生じやすい一面も。一方漢方医学では、全身を一つのシステムと捉えるのが特徴。診療を通じて体質や癖などの「ゆがみ」がシステムにどのように影響しているか見定め、漢方薬を活用して整えていくのです。できるだけ患者さん自身が本来持つ治癒力を高めていきたいという考えから、当院では漢方薬の処方をメインとしていますが、症状に合わせ西洋薬も柔軟に取り入れています。

患者を第一に考え、より良い診療の追求に力を尽くす

漢方医学を専門にされたきっかけは?

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大学卒業後、名古屋医療センターでの研修を経て、名古屋記念病院の腫瘍内科にてがん治療を、大学病院や県外の病院にて血液内科を専門に学びました。1992年には悪性リンパ腫に関する血液内科の分野で出した論文が認められ、医学博士号を習得しています。西洋医学の領域で研鑽を積んでいた私が漢方医学と出会ったのは、父親の病気がきっかけです。勤務医時代、父親が喘息になり入院が必要な状態になってしまって。入院準備の時、参考になればと呼吸器が専門のドクターに相談した際「漢方薬を使ってみてはどうか」とアドバイスをいただいたんです。そうして、少しでも良くなるのならと漢方薬を飲んでもらうことに。当時の私は漢方薬についての知識がほとんどなく、父親の様子を通じて漢方薬の働きにとても驚かされました。この経験から「自分の患者さんにも勧めたい」と思うようになったのです。

患者層についても伺います。また、相談で多い悩みは何でしょうか?

乳幼児から高齢者まで幅広い患者さんにお越しいただいています。実は父親も開業医で、この近くで病院を営んでいました。開業の場所にこの町を選んだのも、私にとってとてもなじみ深い場所だったからです。父親の病院に通われていた患者さんのお孫さんが当院にいらっしゃることもあるんですよ。2世代にわたって地域医療に貢献できる喜びは大きいです。症状としては、体のだるさや頭痛などの不定愁訴、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状、女性は更年期障害が多い印象です。私が過去にがん治療に携わっていたこともあり、がんを治療中、あるいは治療後の患者さんが相談にいらっしゃることもあります。他にも、糖尿病などの生活習慣病の相談も少なくありませんね。

診療空間も特徴がありますが、どのようなコンセプトなのですか?

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患者さんが本来持つ自発的な治癒力をアシストする上で、診察を受ける環境やクリニックから受ける印象はとても重要です。症状を抱える患者さんが心安らぐ、心身がリフレッシュするような空間にしたいと考え、森林をテーマにしました。床材には傷に強いカリンが、壁やドアにはヒノキなどの木材が使われています。冬場には床暖房を入れていますので、足元からリラックスしていただければ幸いですね。また、白い壁材に使っているのはホタテの貝殻ともみ殻です。化学物質を含まない自然素材で、刺激臭や有害物質の発散の心配がないので、アレルギーが不安な方でも安心して過ごしていただけると思います。私の要望をこまやかに聞き取り、設計に反映してくださった設計士さんにはとても感謝しています。

培った経験を生かし漢方医学の可能性を広げる

他にも、糖質制限などにも力を入れているそうですね。

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もともと運動習慣や生活改善に関するアドバイスなどは行っていて、糖質制限に関するアプローチは糖尿病患者さんからの相談をきっかけに注力するようになりました。基礎代謝を高めるような漢方薬を併用すればさらなる効果も期待できますし、これまでの経験も生かされていると感じます。医師の使命は病気を治療することですが、それ以上に私は患者さんが幸福な人生を送るためのお手伝いがしたいと思っています。幸福な人生とは、人それぞれが達成したい目標に向かって取り組み、その時間を満喫し、楽しむことと、私は考えます。そのためには何より健康が第一。患者さんには「体は動かせるうちに動かしておいてください」とお伝えしています。体を動かせているうちはご高齢でも元気な証拠。私も自由な時間があるときは体を動かすようにしています。

今後の目標は何ですか?

今なお「こんな使い方があったのか」と驚かされることがあるほど、漢方医学はたいへん奥深く、いろいろな場面で活用できる可能性があると感じています。最近では、新型コロナウイルス感染症の後遺症の改善にも、漢方薬が活用できるのではないかと考えているところです。現段階で確認されている後遺症には、息苦しさやめまい、倦怠感、動悸、不安感、不眠、抜け毛などがあり、漢方医学が得意とする不定愁訴の症状とも重なる部分が大きいんです。加えて、漢方薬は複数の症状の改善にも役立つとされています。漢方薬を用いることで、後遺症の改善の選択肢を広げられたら、今後増加の一途をたどるであろう、後遺症患者さんの希望にもつながるのでは、と考えます。

読者へのメッセージをお願いいたします。

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不定愁訴のような、原因のはっきりしない症状は、ストレスにも影響されるとされています。新型コロナウイルス感染症の流行により、日常生活の在り方が大きく様変わりしたことで強いストレスを感じ、今まで何となく気になっていた程度の不調が強くなったり、原因のはっきりしない症状が現れたりした人も少なくないでしょう。このような不調の解決に、漢方医学は貢献できると考えています。患者さんをとりまく家庭環境や仕事の状況などまで踏み込んでお話しすることで、ご自身も気づいていなかった心身の不調を発見することもあるでしょう。ご自身の体を知るきっかけとして、些細なことでも気になればお気軽にご相談ください。

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