「恥ずかしいから」と我慢せず相談を
痔の日帰り手術という選択肢
大垣さくらファミリークリニック
(大垣市/大垣駅)
最終更新日:2026/03/13
- 保険診療
「恥ずかしい」「手術が怖い」といった理由から受診をためらい、痔を長く我慢してしまう人は少なくない。命に関わる病気ではないが、出血や痛み、脱肛といった症状によって日常生活の質を大きく下げる疾患である。近年では日帰り手術という選択肢が広がり、治療のハードルは以前よりも低くなっている。中でも注射によって痔核を縮めるための「内痔核硬化療法」は、切開を伴わず短時間で処置が完了する方法として注目されている。「手術という言葉に構えすぎず、まずは相談してほしい」と話すのは、「大垣さくらファミリークリニック」の平岡敬正院長だ。ただし、すべての症例に適しているわけではなく、病態の理解と適切な適応判断が重要だという。そこで平岡院長に、治療を検討する際に知っておきたいポイントと日帰り手術の流れを解説してもらった。
(取材日2026年2月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q痔の種類について教えてください。
-
A
痔は痔核(イボ痔)・裂肛(切れ痔)・痔ろうの3つに分かれ、原因と症状がそれぞれ異なります。痔核は血管がうっ血して袋状に腫れるもので、外側にできる外痔核は痛みが強く、内側の内痔核は痛みが出にくい一方で出血しやすいのが特徴です。出血があれば痔だけでなく大腸がんなどとの鑑別も必要です。裂肛は主に便秘による裂傷で強い排便時痛みを伴い、痔ろうは細菌感染により膿や発熱を起こします。痔核は妊娠や寒さ、長時間の立位などで悪化し、温めて休むことで症状は和らぎますが、根本的に治すためには手術が必要です。原因の違いを理解することが適切な治療につながります。
- Q手術は、痔核の切除をしない方法もあるのですか?
-
A
一般的な切除術は、痔核そのものを取り除く方法ですが、「内痔核硬化療法」という注射で縮めるための治療もあります。これは、痔核に薬を注入して血管の袋を固めるよう図り、血がたまりにくい状態に変えていくことをめざす方法です。日帰りで行え、体への負担や痛みが比較的少ないのが特徴です。ただし、イボを取り除くわけではないため、再発の可能性はやや高くなります。すべての痔核に適しているわけではありません。排便時に出ても自然に戻る、あるいは手で戻せる程度の状態には向いていますが、常に外に出たまま戻らない重い状態では、切除術が選ばれることが一般的です。
- Qどのような状態の場合、手術をしたほうが良いのでしょうか。
-
A
痔核は根本的には手術でしか完治は望めませんが、すべての人がすぐに手術を受ける必要があるわけではありません。手術を優先すべきなのは、出血が止まらない場合や、強い痛みが続いて日常生活に支障が出ている場合です。一方で、出てきても痛みがない、出血がほとんどない、違和感だけといった状態であれば、急いで手術をする必要はありません。痔核はがんと違い、すぐに命に関わる病気ではないため、ご本人の希望も踏まえて判断します。薬は痔核そのものを治すものではなく、症状を和らげるための補助的な手段です。基本は入浴で体を温め、しっかり睡眠を取ることです。症状の程度と本人の希望に応じて治療方針を決めていきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1初診・検査の確認と診察
-
初診では、痛みや出血、痔核の脱肛の有無、便秘や下痢などの排便状況を確認される。大腸内視鏡を受けたことがあるかも重要で、前回の検査から概ね2年以上経過している場合は再検査を勧められることもある。その後、視診と触診を受け、指で痛む位置を確認し、問診と実際の所見が一致するかを確認される。さらに肛門鏡で中を観察する。痔ではない可能性が高い場合は、必要に応じて大腸内視鏡検査を行っている医療機関を紹介される。
- 2診断と治療内容の説明
-
状態について説明を受ける。例えば、痔核の場合は「時計でいう9時の位置に内痔核があります」といったように具体的な場所を示され、症状の原因を痔の仕組みに沿って丁寧に説明を受ける。その上で治療の選択肢が示されるが、手術を行うと決めた場合は日程を決め、看護師による採血と注意事項の説明を受ける。アルタ療法では腫れが強い状態での望ましくないため、症状を落ち着かせる期間を1週間ほど設ける。
- 3手術前の準備
-
1週間後に再診し、状態が落ち着いていれば根本的な治療を行うかどうかを確認され、希望すれば日程を決めるが、様子を見る選択もできる。最終的には仕組みを理解した上で、希望を確認しながら治療方針が決まっていく。日帰り手術を行う選択をした場合は、日程を決め、注意事項の説明を受ける。簡単な血液検査も行い、手術の準備を行っていく。
- 4日帰り痔の手術
-
当日は痔核に薬を注射する処置だけが行われる。肛門鏡で中を確認しながら数箇所に薬を注入し、処置はおよそ15分程度で終わる。アルタ療法は切らない手術のため入院は不要で、その日のうちに歩いて帰ることができる。ただし、薬剤に対するまれなアレルギー反応や体調変化が起こらないかを確認するため、処置後は院内で約1時間点滴をしながら待つ。特に問題がなければ、そのまま帰宅となり、日帰りで治療が完了する。
- 5経過観察のため通院
-
翌日に状態確認があり、その後は1週間ごとに通院する。薬で炎症を起こして縮めるための治療なので、効果が見込めるまで約4週間かかる。当日から翌日にかけて腫れや痛みが出ることはあるが、多くは数日で落ち着く。4週間は、長時間立ちっぱなしや激しい運動を避け、体を温めて無理をしないように過ごす。4週間後に最終評価を受け、出血や症状の改善が図れていれば終了。必要があれば次の治療を検討するが、多くは1回で終わる。

