実は人知れず悩んでいる人が多い
気軽に相談したい痔の治療とは
成子クリニック
(目黒区/中目黒駅)
最終更新日:2022/02/16
- 保険診療
肛門に痛みや出血、腫れなどが表れる痔は、人知れず悩む人の多い疾患だそう。肛門外科や肛門内科を掲げている医院が多くない上、「恥ずかしい」という感情が先に立ち、実際に症状を抱えてもなかなか病院へ足を運ぶことができないケースが多いというのだ。中目黒駅近くで消化器内科、内科とともに肛門外科の診療を展開している「成子クリニック」の成子浩院長は、開業当初に想像を超える件数の痔の相談を受けて驚いたという。「痔は意外に多い病気であることに加え、話を聞くと受診前に長く一人で悩んできたというケースも。壮年の男性に多いというイメージがあるようですが、赤ちゃんからお年寄りまで、男女問わずいらっしゃいます」と話す成子院長に、痔を中心とする肛門の病気についてや治療法、予防法などを聞いた。
(取材日2021年9月6日/更新日2022年2月15日)
目次
痔は薬で対応していくケースがほとんど。食事などの生活習慣を見直すことも有用
- Q痔とはどんな病気ですか?
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A
痔には、大きく分けて「痔核(じかく)」、「裂肛(れっこう)」、「痔ろう」の3種類があります。一番多いのは痔核、いわゆるイボ痔で、肛門周辺の静脈のうっ血によって起こります。裂肛はいわゆる切れ痔で、硬い便を無理に排せつしようとし、肛門部が切れることによって生じます。肛門の周辺に膿みがたまる痔ろうは、肛門周囲に膿がたまることで起こります。「壮年の男性に多い」と思われがちですが、実際は女性も多数。特に、イボ痔は妊娠出産に伴う胎児の圧迫や出産時のいきみが原因となるケースが多いため、20〜40代の女性患者も多くなっています。
- Q痔の主な原因は何ですか?
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A
痔の種類によって異なります。イボ痔はうっ血が原因です。座りっぱなしで仕事をしている人、あるいは便秘のためトイレでいきむことが多い人は要注意です。また、女性の場合は妊娠や出産が原因となることもあります。切れ痔の主な原因は便秘と便が硬いこと。どうしても排便時にいきむため、肛門部が切れやすくなるのです。また、ストレスや疲労でお尻が緊張するのも、切れ痔を招く一因に。最後に痔ろうですが、多くの場合先天的な体質が原因だとされています。その一方で、ストレスや疲労などで肛門の免疫力が落ち、細菌の侵入を防げず、化膿してしまうというケースも見られます。
- Qどのように治療を行うのでしょうか?
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A
イボ痔は塗り薬や坐薬などを使用して炎症を抑えていきますが、痛みが強い場合や出血が止まらない場合、指などで押し込んでも繰り返し出てきてしまう場合には手術が必要です。切れ痔の治療では軟膏を使用しますが、薬以上に気をつけていただきたいのが食事。食事を見直さなければ、症状を繰り返すことにもなりますので、治療と並行して便秘にならない食事のアドバイスをします。痔ろうは抗生物質の服用で済む場合もありますが、繰り返す方では手術が必要となることも。抵抗を感じる方も多いでしょうが、手術に至る方はそこまで多くありません。症状が悪化すると治療が難しくなることもありますから、できるだけ早めに受診していただきたいですね。
- Q食事で気をつけることは何でしょうか?
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A
便の量を増やし、便をやわらかくする働きがある繊維質と水分を十分に取ることです。繊維質を豊富に含む野菜や海藻、きのこ類などを積極的に取り入れていただきたいですね。発酵食品もお勧めで、ヨーグルト、チーズ、納豆、漬け物などがいいでしょう。しかし、ヨーグルトはコレステロール値を高くすることがありますし、高血圧の方が漬け物をたくさん食べるのも好ましくありません。体調に合わせ、上手に取るようにしましょう。もう一つ大切なのが、排便習慣。まずは、意識してトイレに座る時間をつくり、気持良く排便するよう心がけましょう。また、適度な運動も必要です。毎日、少しの心がけで便の状態や体調も大きく変わると思いますよ。