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柴垣 圭吾 理事長の独自取材記事

柴垣医院 自由が丘

(目黒区/自由が丘駅)

最終更新日:2021/10/12

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自由が丘駅東口すぐの「柴垣医院 自由が丘」は、まだ通所での人工透析が少なかった1975年に、その道のエキスパートである先代の柴垣昌功(まさかつ)先生が開院した人工透析専門のクリニック。現在は息子の柴垣圭吾先生が理事長を務め、さまざまな工夫で「患者目線」の医療を実現している。一般的に透析患者は週3回、クリニックや病院に通い治療を受けるという。つまり年間にして150日もの日々を患者と向き合い、信頼関係を築いていく柴垣理事長。楽しくもあり、興味深くもある言葉の数々で、周囲の人々をたちまち虜にしてしまうその人柄に迫った。

(取材日2017年11月2日)

紆余曲折を経てようやく築いた患者目線の理想的な医院

こちらのクリニックは40年以上の歴史があるそうですね。

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父が1975年に開院した当時は、透析専門の通所施設というのは少なかったようですね。父は高齢になり引退しましたが、国内で早くから透析治療を行った医師の一人で、以前は一緒に診療をしていました。その時に父から学んだ「患者さん目線の医療」を、僕なりの方法で追求していくことが使命だと感じています。僕が院長に就任してからは、3つの理念を掲げています。「患者さんから信頼・感謝をいただける」「近隣の医療機関から信頼をいただける」、そして「スタッフのやりがいや自己価値向上の場を提供できる」クリニックであること。この理念の下、試行錯誤しながらより良い医院づくりをめざしています。

理想の医院をめざす中、壁にぶつかることはありましたか?

大学病院や基幹病院での勤務が長かったので、引き継いだ頃は戸惑うことも多かったですね。院内で不手際があり、患者さんに「お前、これどうなってるんだ?!」と呼び出されたこともありました。「まだスタッフが落ち着かないので、すみません……」と謝ると、「ふざけるな、俺たちは毎日生きるか死ぬかの戦いなんだ!」とお叱りを受けて。ごもっともですよね。そうした患者さんの言葉を真摯に受け止め、どうすべきかを必死に考えたものです。そこから患者さんに不定期でアンケートを取ったりして、率直なご意見を医院づくりに反映していきました。同時に、患者さんの信頼や安心感、満足度を上げるためにはまず優秀なスタッフに来てもらって、組織マネジメントをしっかりと行わなければ何も始まらないと気づき、スタッフの充実にも力を入れるようになりましたね。

組織マネジメントについて詳しく教えてください。

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意気込むあまりすべて自分一人で抱え込んだ時期がありました。しかしそれでは物事はうまく回らない。あれもこれもと手をかけて結局消化し切れず、スタッフに不満を抱かせてしまっていたようです。それである時、“委員会”を立ち上げました。各部門に代表者を立てて役割と権限を与えたら、今まで滞っていたことが円滑に回り出したんですよね。1委員会に1人の委員という小さな組織が、今では人数も増えて教育、災害、接遇、感染予防などテーマもさまざま。各会で3つのクリニックを横断して活動しています。委員会ごとにミーティングの場を設けるとそこが意思決定の場になりますから、決定事項や意見が各医院の全体会議に上がってきて、常に業務改善を行えるシステムが出来上がりました。

外食産業が手本。独自にIT化を進め患者満足度向上へ

戸越と久が原にもクリニックがあるそうですね。

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複数開院していると医院間で意思疎通を図れず、意思決定者がいないためバラバラになりがち。何か問題が生じても解決しないまま、ということにもなりかねない。そうならないよう当院では委員会活動をはじめ、あらゆる方法でコミュニケーションを取っています。数年前からは電子システムの導入も進め、システムを独自開発するなどしてIT化を進めています。医師やコメディカルスタッフ全員にタブレット端末を支給し、データベースに随時、患者さんの検査結果やカルテの内容などを入力してもらっています。「○○さんは昨日熱が出た」「今日はこういうフットケアを行った」といった情報が非番の日でも確認できるので、全員が患者さんの状態を把握でき、突発的なヒヤリ・ハットにも素早く対応できるのがメリットです。結果、患者さんの安心感や満足感につながると考えています。

IT化の進み具合は、患者さんがクリニックを選ぶ基準にはならないのでは?

患者さんにとっては、効率化を追求すること=僕たち医療スタッフの手間が省けるだけだと思われるかもしれませんね。でも効率化の先に僕が見ているのは、スタッフの負担軽減だけではありません。「質のいい医療を提供するのに大事なことは何か」ということです。例えば久が原や戸越で会議があると、その日の議事録がすぐにデータとして飛んできますから、各医院でその日にどんなことがあったかをすべて把握し、すぐに対応できるんですね。トラブルがあったことを知らずに患者さんと接していたら、不信感にもつながりかねません。患者さんに寄り添い、常に安心して通える場所であるために、IT化が役立つ場面は実際とても多いんです。

効率化を意識するようになった経緯を教えてください。

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僕がベンチマークしているのは外食産業です。僕は若い頃に寄り道をし、同級生より5年遅く医師になりました。しかしその間に、外食産業に関わる友人がたくさんできたことが自分にとって大きな財産になっています。彼らはよく「医者は待っていれば患者さんが来ると思っている」なんて言っていましたが、僕自身クリニックを運営する立場になって初めてその意味を理解しました。外食産業では早くから一気通貫のITシステムを導入し、競うように新システムが開発されています。これは質の高いサービスの提供を目的としたものですが、接客力や業務効率をどうやって上げていくかを考えるのは、医療も同じはず。しかし医療業界はそこに目を向けるのが遅く、当然システムの開発も遅れている。このままでは質のいい医療なんて提供できない。そう肌で感じ、組織マネジメントやIT化について考え始めました。

ニーズが高まる腹膜透析も早くから導入

腹膜透析にも対応しているそうですね。

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はい。外来で腹膜透析を行っているクリニックは、都内でも少ないそうですね。血液透析では一般的に、週3回ほど通院して治療を受ける必要がありますが、腹膜透析は経過観察のために月1回程度の受診で済みます。おなかの中に透析液を入れるための管を挿入する手術などをして準備すれば、あとは基本的に在宅でできる治療法なんです。患者さんによって向き、不向きはありますがメリットは多いですよ。今後も高齢化が進み、今は自分で通院できている方や、送迎サービスを使えば来られる方も、送迎サービスを使ってでも通うのがたいへんになります。そこで腹膜透析が選択肢に上がる可能性は大いにあり、ニーズは増えていくでしょう。

ニーズが高まっているのに導入しているクリニックが少ないのは不思議です。

当院が腹膜透析の導入を考え始めてから、実現するまでにかかったのが7、8年。それもたくさんの方のご協力、ご縁のおかげで実現しました。つまり、腹膜透析は簡単に始められるものではないんです。腹膜透析は基本的に在宅での処置になるので、まずは患者さんやご家族のご理解を得ることが重要。そして患者さんを中心に、医師はもちろん、看護師ほかコメディカルスタッフが一丸となって治療に携わるチーム医療の考え方が大事で、「PDチーム」という専門のチームが組織されていないと難しいんですね。さらに腹膜透析の外来は血液透析と比べるとカルテの記載事項が多いので、ITを生かして負担を分散・軽減しています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

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IT化はあくまで質の良い医療を届けるための手段の一つ。それ以外にも、人工透析専門のクリニックとして、患者さんのためになることはないか、常に考えています。例えば「ウルトラピュア化」。1回の透析では120リットルもの透析液を使用しますが、そこに不純物が混じっていたら栄養障害などを引き起こすことがわかっています。そこで当院では透析液の清浄性にこだわった透析機器のほか、「オンラインHDF」と呼ばれる、従来の方法よりも生体の腎臓の働きに近く、全身のかゆみやイライラ感を抑える治療機器を使うなど、患者さんの負担と安全な医療の提供にこだわっています。自由が丘は東急東横線と大井町線が交わり、お仕事帰りの患者さんも多いため、月曜から土曜まで夜間透析にも対応しています。今後も「患者さん目線」を大切に、理想のクリニックを追求してまいります。

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