嘔吐反射が起こりにくく会話も可能
苦痛の少ない経鼻内視鏡検査
天下堂医院
(世田谷区/芦花公園駅)
最終更新日:2025/11/27
- 保険診療
食道から胃、十二指腸までを体の中から確認し、胃がんや逆流性食道炎などの病気の早期発見につながる上部内視鏡検査。毎年の検査が推奨されているが、広く普及している経口による検査を過去に受け、苦しい思いをしたことが原因で苦手となってしまった人も少なくないと聞く。「天下堂医院」の雨宮明文院長は「痛みに配慮することで、内視鏡検査に対するハードルを下げたい」との思いから経鼻内視鏡検査に注力。この検査が国内で始まった当初から取り組んできた雨宮院長は、自らを実験台として研究を重ね、苦痛の少ない経鼻内視鏡検査の提供に努めている。内視鏡検査の経口と経鼻の違い、また同院ならではの工夫について、雨宮院長に教えてもらった。
(取材日2025年9月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q経鼻内視鏡検査とはどのような検査ですか?
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A
鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸にがんなどの病変がないかを調べる検査です。経口の検査と比べて嘔吐反射が起こりにくく、それほどの苦痛を感じずに受けていただけるかと思います。またモニター画面でご自身の体内の状態を直接確認したり、医師と会話したりしながら検査を受けることも可能です。当院では従来の約半分の細さの直径5.9mmの極細スコープを用いており、狭い空間でもスムーズに動かして消化管内を詳細に観察しています。過去に経口の内視鏡検査で苦しい思いをしたことのある方も、「内視鏡検査は苦しい、痛い」などと思い込まずに、ぜひ一度経鼻での内視鏡検査を検討してみてください。
- Q経鼻内視鏡検査が受けられない人はいますか?
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A
「鼻の穴が狭いと挿入できないのでは?」と心配する方もいらっしゃいますが、私の経験上、そういった方はごくまれで、多くの方に安心して受けていただける検査だと思います。ただし、鼻腔が極端に狭いと内視鏡が通りにくかったり、痛みや出血が生じたりすることがあります。そのような場合、当院では経鼻の検査で使用する細い内視鏡を口から挿入して行うなど、できるだけ苦痛の少ない検査を心がけています。そのほかに、血が止まりにくい病気のある方や、抗血小板薬や抗凝固剤などを服用している方は、鼻から出血するリスクがあるので注意が必要です。
- Q胃の内視鏡検査を受けるべきタイミングを教えてください。
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A
胃痛・胸焼け・胃もたれなどの自覚症状のある方はもちろん、胃のバリウム検査やピロリ菌検査が陽性だった場合にも、必ず内視鏡検査を受けてください。胃の病気は胃がんだけでなく、胃炎や逆流性食道炎、またストレスなどによる胃酸過多の可能性もあり、これらは若い方にも無関係なことではありません。病気を早期発見して適切な治療につなげるためにも、放置せずに積極的に検査や治療を受けましょう。当院は芦花公園駅から徒歩2分の場所で水・木曜以外の平日は20時まで、また土曜午前も診察を行っており、忙しい方でも通いやすい環境づくりを心がけています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と検査前後・当日の流れの説明
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問診では既往歴や服用中の薬などについて確認が行われる。医師が内視鏡検査の必要性を判断し、検査を受けることになったら検査日を決定。併せて、検査前日の食事は21時までに済ませること、水分は24時頃まで摂取可能だが乳製品は避けることなど、検査前後の注意点や当日の流れなどの説明を受ける。
- 2当日の朝食は取らずに来院、血管収縮剤の投与
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検査当日の朝食は取らずに来院した後、まずは鼻腔粘膜の血管を収縮させるための薬がスプレーされる。この薬は鼻の通りを良くするのに有用で、内視鏡がスムーズに挿入できるようになることから、痛みや出血も抑えることが見込めるそうだ。
- 3鼻腔に麻酔を施す
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次に、内視鏡が通る際の鼻腔の痛みを和らげるため、鼻に麻酔薬を注入。局所麻酔なので、眠くなることはほとんどないという。同院ではカテーテルつき注入器を使用して患者の不安軽減とスムーズな投与に努めている。
- 4鼻から内視鏡を挿入して検査を行う
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鼻から喉、食道、胃、十二指腸と管を通して医師が内部を観察。患者は起きている状態のため、モニターを見ながら医師の説明を受けることも可能だ。同院では患者が苦痛を感じないように、内視鏡の挿入や動きにも工夫を凝らしている。内視鏡の挿入時間は5~10分程度。疑わしい病変があれば、精密検査のために組織を採取する。
- 5検査結果と今後の治療についての説明
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実際の画像を見ながら、医師より検査結果や治療の必要性について詳しく説明。特に問題がなければすぐに帰宅できるそうだ。組織の採取をした場合には、その検査の結果が出る2週間後以降に再度来院。より専門的な検査や治療が必要な場合などは、対応する医療機関への紹介となる。

