加齢やストレスで発症する帯状疱疹
予防接種と治療で後遺症防止を
鈴木内科クリニック
(みよし市/黒笹駅)
最終更新日:2024/05/08
- 保険診療
80歳までに3人に1人は発症するといわれる帯状疱疹。特に50代以降の発症率は高い。またストレスや疲労で免疫機能が低下し、発症を繰り返す人も少なくない。非常に身近な疾患だが、症状は発疹や痛みだけだと考えている人も多く、神経を損傷したり、痛みが長期化したり、顔面まひなどが起こる危険性のある病気だということはあまり知られていない。「鈴木内科クリニック」の鈴木高造院長はこうした点を踏まえ、患者への啓蒙活動や50代以上の予防接種に力を入れている。知っているようで知らない帯状疱疹の実態と、治療や予防、予防接種の詳細について聞いた。
(取材日2023年12月13日)
目次
発疹と痛みから、神経損傷に至る場合も。リスクの高まる50代になったら予防接種を
- Q帯状疱疹とはどんな疾患ですか。
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A
水ぼうそうを引き起こす水痘ウイルスによって、皮膚の痛みや発疹が現れる疾患です。水痘ウイルスは、日本人の90%が1度は罹患しているといわれており、生涯にわたって体内に潜伏しています。普段は症状を引き起こすことはありませんが、加齢やストレスなどで免疫機能が低下すると、ウイルスが活性化し帯状疱疹を引き起こします。症状が悪化すると、まれに神経損傷や顔面神経まひ、視力障害が起こることがあり、入院治療が必要になる場合もあります。3ヵ月ほど痛みが続く例も珍しくありません。また帯状疱疹の患者から、まだ水ぼうそうにかかったことのない子どもに、水痘ウイルスが感染する場合もあります。
- Qどういう症状が出たら受診すれば良いですか。
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A
皮膚にピリピリ、チクチクとした痛みを感じたら要注意です。その後神経に沿って赤い発疹が現れたら、帯状疱疹の可能性が高いと言えるでしょう。発疹は、胸や背中、顔、下腹部、腕、脚、尻など、さまざまな場所に帯状に現れます。日中は痛みもあまりなく発疹が治まっていて、夕方から夜になると症状が現れるケースもあります。見た目は虫刺されやかぶれと見分けがつきにくいのですが、ピリピリした痛みを伴う場合、速やかに内科や皮膚科を受診したほうが良いでしょう。
- Q治療や予防について教えてください。
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A
治療は抗ウイルス剤による薬物治療です。発疹が出てから3日以内に治療を開始するのが理想です。薬によって新たな発疹が出るのを防ぐことを図り、徐々に発疹を治めていくことをめざします。痛みが強い場合には、鎮痛剤も使用します。顔面や頭部に発疹が生じた場合には、顔面神経まひを伴うことがあるため、入院の上で治療を受けることが望ましいです。そもそも帯状疱疹は、ストレスや疲労による免疫機能の低下が原因の一つなので、ストレスをためずによく休息を取ることが一つの予防につながります。また、ワクチンの予防接種によって発症リスクを抑えることも期待できます。
- Qどういう人がかかりやすいのですか。
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A
ストレスや疲労によって免疫機能が低下している人はもちろん、加齢によって抵抗力が落ちると、発症しやすくなります。80歳までに3人に1人が発症するといわれており、特に50代から発症率が高くなるため、中高年は注意が必要です。糖尿病やがんなどの免疫力が低下する病気が原因になることもあります。
- Q予防接種について教えてください。
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A
50歳以上であれば予防接種が受けられます。病原体の毒性をなくした不活化ワクチンと、毒性を弱めた生ワクチンがあります。不活化ワクチンは2回の接種が必要ですが、接種後の発症を抑えるための高い効果が期待できます。一方生ワクチンは接種が一度で済みますが、期待される効果は不活化ワクチンに劣ると考えられます。また接種費用にも差があります。時間や費用面の違いはありますが、できれば不活化ワクチンの接種がお勧めです。筋肉注射なので接種時に多少痛みがあり、副反応が起こる場合もありますが、ほとんどが2〜3日で治まっていくと思います。誰もが発症する恐れがあるため、50歳を過ぎたらワクチン接種を検討しましょう。