腰痛の原因を全身から探り
適切なリハビリテーションで悪化防止へ
医療法人 平針かとう整形外科
(日進市/平針駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
体質などの先天的要因、激しい運動やケガなどによる後天的要因などによって生じる腰の痛み。加齢、歩き方の癖、姿勢などが複合的に影響して椎間板に負担がかかることから痛みが生じ、放置するとヘルニアなど手術が必要な状態になる場合もあるが、腰痛の予防には日常生活での姿勢や体の使い方に気をつけたり、柔軟性や筋肉を強化したりすることなどが有用だという。「平針かとう整形外科」の加藤哲弘院長は、長きにわたり一人ひとりの患者の状態に応じたリハビリを重視した診療を行ってきた。今回は、腰痛の原因を局所的に捉えず、全身を考慮しながら治療やリハビリを行う加藤院長に、腰痛症の原因、診断や治療の実際、セルフケア、理学療法士によるリハビリなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年3月28日)
目次
さまざまな要因が考えられ、誰にでも起こり得る腰痛。適切な診断に基づいた治療・リハビリで改善をめざす
- Q腰痛を引き起こす原因について教えてください。
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A
▲腰痛にはさまざまな要因があると話す加藤院長
腰痛の原因には、体質などによる先天的な要因と、激しい運動やケガなどによる後天的な要因があります。椎間板の丈夫さや構造など素因的なものに左右される部分もありますが、加齢、歩き方の癖、姿勢などの複合的な要因によってクッションのような働きをしている椎間板に負担がかかって弱くなり、炎症などが起こることで痛みが生じます。高齢になると腰痛に悩まされることも多いことから、誰にでも起こる可能性があり避けようがないものでもあります。先天的な素因や老化は改善できませんが、改善が見込める要因を少しずつ解消したり、体の使い方や姿勢、柔軟性や筋力などの改善を図ったりすることで、良い方向へつながることが期待できます。
- Q隠れている疾患、放置により生じる疾患などはありますか?
-
A
▲早い時期にケアをしていくことが大切だという
命に関わる疾患は特殊なケースであり、それほど頻繁に起こるものではありませんが、がんの転移や膵臓・腎臓・脾臓などの疾患は腰に症状が出やすいとされています。整形外科分野の原因と考えられる場合は、命に関わる重篤な状態を引き起こすケースはほとんどありません。腰痛を我慢して放置し続けると将来的により悪化して、ヘルニアなど手術を要するまでに至ったり、改善が難しくなったりする可能性もあります。完全に元に戻すのは難しくても、できるだけ良い状態を保ち続けることができれば、将来的な生活がより良いものになるでしょう。自覚症状だけでは判断は難しいため、気になる痛みなどがある場合は早めに診察を受けることをお勧めします。
- Qどのように診断や治療が行われるのでしょうか?
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A
▲診察室で動き方や状態を確認していくのだという
まず、目視で通常の動き、腰の前後屈をした時の状態などを確認します。状態によりますが、寝た状態での動き、手で押さえた場合の痛みの出現具合なども診断の指標になります。痛みが生じる原因の有無、原因が発生した時期、痛みが出る時間帯や動作・姿勢・作業など、わかる範囲で医師に伝えるとより適切な診断につながります。治療の手順として、リハビリやセルフケアで改善しない場合、また強い痛みのためにリハビリが難しい場合は内服薬や注射を使用します。さまざまな種類の薬があり、注射もいろいろな方法がありますので、状態に応じて選択しながら治療を進めます。それでも改善が見られない場合は、最終的に手術を考えます。
- Q日常生活でできるセルフケアについて教えてください。
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A
▲理学療法士も複数人在籍している
姿勢に気をつけたり、負荷をかけるような過度な使い方を避けたりすることが大切です。また、筋力や柔軟性を高めるために、ストレッチや体操などに取り組むこともいいでしょう。腰痛といっても、腰そのものに要因がある場合もあれば、足首の硬さや指の使い方、膝の問題など腰以外の負担から生じているものもありますので、全身のバランスを考慮したケアが重要です。当院のリハビリでは理学療法士が全身の状態を確認した上で、一人ひとりに合ったセルフケアをお伝えしています。通院で行うリハビリだけではなく、リハビリの最終的な目標はセルフケアです。十分なセルフケアができて、状態の確認のために来院するというのが理想ですね。
- Qリハビリについても教えていただけますか?
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A
▲それぞれに合ったリハビリを提供している
リハビリを必要とする原因は患者さんごとに違いますので、一人ひとりに合ったプランを設計することが重要です。誰にでも歩き方や姿勢、体の使い方に癖があり、それによって偏った負担、機能障害が生じてきますので、リハビリではその癖や使い方などを改善することで負担の軽減を図ります。また、症状は局所に現れますが、もとの原因は違う部位の可能性がありますので、その原因を探り、それに基づいてリハビリを行います。当院の理学療法士は日々研鑽を重ね、良質なリハビリを提供できるよう力を尽くしています。リハビリスタッフからの詳細なフィードバックがより良い診断、治療につながりますので、当院では連携をとても大切にしています。