保育と連携する小児医療
多角的にこどもの成長や子育てを支える
こどもクリニック・パパ
(豊田市/梅坪駅)
最終更新日:2024/09/27


- 保険診療
子育てに励む家族にとって最も喜ばしいこと。それは、こどもがすくすくと元気に育つことだろう。しかし共働きや核家族化による子育ての孤立化などにより、将来への不安や現状の不自由さを感じながら、子育てと向き合う家庭は少なくない。医療者として、そんな家庭に寄り添い、こどもの健やかな成長のサポートを追求してきたのが「こどもクリニック・パパ」の木全貴久院長である。院長とそれぞれの役割を担うスタッフが専門性を生かしながら「こどもの成長を支えるためにできること」を実践している。医療従事者とともに保育士が常勤する同院の体制やめざす医療について語ってもらった。
(取材日2024年7月2日)
目次
医療だけでなく、保育の観点も踏まえてこどもの成長を見守り、子育てに励む家族を支える
- Qクリニックの体制について教えてください。
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A
▲幅広い知識を取得することが患者のためになる
【木全院長】当院では医師、看護師、保育士、公認心理師、事務スタッフが専門性を生かして連携しています。「心身両面からの小児医療」を実現するために、チーム医療は欠かせません。限られた時間の中で、医師がすべてを把握することはできないからです。それに、「医師には話せなかったが、看護師やスタッフには伝えられる」という方も少なくありません。私はむしろ、普段の会話の中に患者さんの本音が隠れていると思います。そのため当院では、保育士も活躍してくれています。多方面から情報共有することで、こどもが過ごしやすい環境づくりの手助けをしていきたいですね。
- Qそのように考えるようになったのは、なぜでしょうか。
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A
▲通いやすいようさまざまな工夫がされている
20年間、大阪の大学病院やこども病院で小児医療に携わった経験が根本にあります。商人の街である大阪には夜遅くまで働く方が多いですが、こどもが病気でも仕事を休めるとは限りません。私のいた小児科医局の大先輩は、病気の子を預かる病児保育を早くも1969年に開設し、大阪の子育てに貢献なさいました。まだ十分ではないものの、近年、病児保育は各地域に浸透してきていますよね。今に至る病児保育の歩みが始まったのは、先輩が日本の病児保育の黎明期に多大な尽力をされたから、と思っています。こうした環境で小児医療を学んだ私にとって、医療と保育の連携は、安心して子育てができる理想的な状態だと考えています。
- Q看護師として、保育士がいることは心強いものですか?
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A
▲親も安心できる環境づくりにやりがいを感じる、と横山氏
【看護師・横山幸恵さん】とても心強いと感じています。例えば保育士との何げない会話の中で、「些細なことだけど、こどもの病気や発達のことなどを聞いておきたい」という親御さんがいらっしゃったとき、それをすぐに医療現場につなぐことができることなどは、頼りになる点ではないでしょうか。医療の現場に保育士がいるからこそできることだと思います。私も以前、保育所にこどもを預けながら働いていましたが、やはり保育所でのこどもの様子は気になるものでした。お子さんを預ける親御さんの気持ちがわかるからこそ、医療と保育が手を取り合える環境になっていることに、看護師としてもやりがいを感じています。
- Q保育士の立場からはいかがですか?
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A
▲医療に対するアンテナも感度を高く持つ、と小野田氏
【保育士・小野田圭子さん】私は、待合室で診療を待つお子さんに対して読み聞かせを行うときなどに、医療に対するアンテナの感度が高くなっていることを感じます。インフルエンザなどの感染症が流行する時期には、当然私たちも指導を受けますが、予防を心がける上でも、「保育の観点」を持ち、保育士としてどう対処できるのかを考える素地があるんですね。もちろん、感染症がはやったり、ケガが起こったりすることはあってはいけませんが、常にアンテナを張っておくことで、院内ではもちろん、読み聞かせを行うボランティア先の小学校でも、万が一に備えられるような体制になっています。
- Q今後の展望について教えてください。
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A
▲こどもが健やかに発育していくためのサポートを欠かさない
【木全院長】内科は循環器、呼吸器など細分化されていますが、小児科というのは、いわば総合診療科。感染症やアレルギーの診療だけでなく、「こどもの困っていることを一番最初に相談できる場所」をめざしています。また、思春期に多い、頭痛、めまい、腹痛などの悩み、幼児学童期に多い、お漏らしや便秘などの排尿や排便のトラブルは、こどもにとって重要な問題です。いじめのきっかけになったり、不登校の原因になってしまう可能性もあるからです。熱が出ると受診しますが、お漏らしなどは「いつものことだから」と放置されがちです。こどもの成長に悪影響となる問題を見つけだし「心身両面からの医療」を続けていきたいと思っています。