虫歯や歯周病の原因
バイオフィルムを取り除くためのメンテナンス
江本歯科クリニック 代沢インプラントセンター
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
毎日きちんとブラッシングしているのに、なぜか歯周病が良くならない。検査の度に新しい虫歯が見つかってしまう。そんな悩みを抱えている人は「バイオフィルム」の存在を疑ってみたほうがいいかもしれない。バイオフィルムは細菌が集まって形成する膜で、この膜があると、中で虫歯菌や歯周病菌が活発に活動し、症状を悪くするという。まだ一般にはそれほど知られていないこの膜について、「江本歯科クリニック 代沢インプラントセンター」では早いうちから学び治療に取り入れている。どのようにすればバイオフィルムを取り除けるのか。口腔内の環境を整えるにはどうしたらいいのか。相内紘子院長に話を聞いた。
(取材日2016年10月5日)
目次
虫歯菌や歯周病菌を増殖させる「バイオフィルム」。メンテナンスで口腔環境の改善を図る
- Q虫歯や歯周病の原因は何ですか。
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A
▲継続して通うことが早期発見、早期治療の近道
お口の中にはたくさんの細菌が住んでいて、その中に虫歯や歯周病の原因となる細菌があります。この細菌は浮遊しているだけでは悪さをしないのですが、歯の表面で細菌同士がスクラムを組んで歯の表面から離れようとしない「バイオフィルム」という状況を作り出すと、その中で虫歯を作り、毒素を出して歯茎を傷めます(=歯周病)。つまり、虫歯も歯周病もそもそもの原因はバイオフィルムにあるのです。厄介なことにバイオフィルムが形成されてしまうと、その上からではフッ素などの薬剤が歯に届かなくなってしまいます。また歯垢(プラーク)と異なり、洗口剤でもブラッシングでも取り除くことができません。
- Q「バイオフィルム」はどうしたら取り除くことができますか。
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A
▲設備を整えているクリニックでメンテナンスを受けることが重要
お話したように、ご自分で歯磨きをしたり洗口剤でうがいをしたりしても取り除けません。そこで歯科医院で使う専門器具で表面から剝がしていきます。これは通常「PMCT(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」の一環で行われているクリーニングですが、当院のイメージとしてはバイオフィルムを取り除くためのメンテナンスという意識です。バイオフィルムは目には見えませんが、約90日でまた形成されてしまいます。ですから当院では、通常3ヵ月から半年に1回と言われているクリーニングを、1、2ヵ月に1回行うことをお勧めしています。これが何よりも虫歯や歯周病の予防につながります。
- Q「バイオフィルム」を放置するとどのようになりますか。
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A
▲着飾らない雰囲気は同院が地域に根づいている秘訣の一つ
水道管のヌメリのようなものと考えてください。一見何もついていないようでも触るとぬめっとする、そういうイメージです。お口の中では唾液が分泌されているので歯もぬるっとしていると思いがちですが、ぬるっとしているのはバイオフィルムでその中に虫歯菌や歯周病菌がたくさんいて活動しているのです。お掃除してヌルヌルが取れつるっとした状態を保てれば虫歯、歯周病、口臭の予防にも期待できます。その後、お口の環境に応じて、フッ化物などの薬剤を歯の表面に塗布していきます。でもそのまま放っておけば、水道管同様ヌルヌルがどんどん増して汚れて、虫歯や歯周病が進んでしまいます。
- Q口腔内環境を整えることが大事なのでしょうか。
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A
▲口腔環境の診断も予防には大事なことだ
虫歯も歯周病も細菌に感染して発生します。赤ちゃんの時には細菌を持っていないため、その後両親やパートナーとの接触で感染します。よく妊婦さんに「お子さんのためにも虫歯は治しましょう」とお話しするのはそのためです。ご自身だけでなく、家族やパートナーと一緒にケアをすると、より高い相乗効果が期待できます。ぜひ大事な方と一緒にメンテナンスをしてください。細菌の有無は唾液検査ですぐにわかります。腸内環境を整えるためのプロバイオティクス(善玉菌)があるように、お口の環境を整えるためのプロバイオティクスがあるのです。メンテナンス後もタブレットなどでプロバイオティクスの摂取を心がけ、お口の環境を維持しましょう。
- Qさらに詳しく検査をしたい場合には?
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A
▲「まずは何事もお気軽にご相談いただきたい」と話す相内先生
毎週土曜日に予防の専門家である鶴見大学歯学部の岡田彩子先生が診察に来てくださるので、直接相談することができます。岡田先生だけでなく、クリニックの皆が勉強しているのでいつでもメンテナンスは行っていますが、より専門的に診てくださいます。大学病院では口の中の検査だけでなく、全身の状態(血圧、体組成、血管年齢など)も検査して、お口と全身の健康増進を図っているそうです。お口の中の健康は全身の健康ともつながっているということですね。