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青木 宏明 院長の独自取材記事

青木産婦人科医院

(世田谷区/下高井戸駅)

最終更新日:2020/04/01

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京王線下高井戸駅から徒歩3分。「青木産婦人科医院」は赤堤で80年続く地域に根差した産婦人科医院だ。2019年に青木宏明先生が3代目院長に就任。病院施設もリニューアルオープンした。自然分娩を行う医院だが、3代目院長は緊急の事態に備えることも視野に入れ、そのための設備も整えた。受付横の吹き抜けには初代院長が2代目の院長に贈った母子の屏風絵が飾られ、温かな医院の象徴にもなっている。木のぬくもりを感じる明るいクリニックで、院長に先代から受け継ぐ思いと新たな取り組みについて聞いた。
(取材日2020年2月4日)

なるべく自然な形での分娩を

80年も続く産婦人科医院で、院長は3代目だそうですね。

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小さい頃から親の背中を見て育ったので、特に何も言われなくても、自然に医師の道に進み、産婦人科を選んでいました。いつかは後を継ぎたいと思っていましたので、ごく自然な流れですね。大学病院などの仕事も楽しかったので、迷いがなくはなかったのですが、教育や研究がメインになり、あまり臨床ができなくなったのも地域に戻った理由のひとつかもしれません。妊婦さんとじっくり向き合い、お産をしたいという気持ちが大きくなったんです。

たいへんきれいで気持ちのいいクリニックですが、リニューアルに当たってこだわったところは?

設計自体は高校の同級生にお願いしました。私から希望したのは、温かな雰囲気で、お母さんたちが診療以外でも集まってこられるような場所にしたいということでした。例えば1階のコミュニティルームは母親学級や子育て相談などいろいろなことに使用できるよう広くとってあります。 2階のラウンジスペースでは外の緑を見ながら面会に来た方との団らんやお食事にも使っていただけます。また木のぬくもりにこだわって、受付のカウンターなどは危なくないよう角を丸く作っています。2階の病室も天窓を設けたりして外からは見えないけれど光がたっぷり差し込むよう工夫がしてあるんですよ。患者さんからも好評で、先日「先生の雰囲気に合った病院ですね」と言われたのはうれしかったですね。

先代から受け継ぎたいこと、新しくしていきたいことを教えてください。

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父が院長の時代から少しずつ一緒に働くようになったのですが、父の代には帝王切開を行わず、経腟分娩だけ行ってました。大学病院で働いていると、ハイリスクの分娩が多く帝王切開もたくさん行ってきたため、経腟分娩だけで大丈夫なのかと思っていたのですが、継いでみると多くの方が経腟分娩で産まれるんです。自然な形での分娩はこれからも受け継いでいきたいところですね。ただ一方でまったく帝王切開をしないというのも妊婦さんは不安だと思いますし、安全のために帝王切開による分娩が必要になることはあります。緊急の事態を含め帝王切開もクリニック内できちんと対応できるように設備も整えました。

お母さんの産む力を大事にしていらっしゃると聞きました。

これまでたくさんの妊婦さんを診てきましたが、お母さんには産む力があるんです。お母さんは強いなと思います。私たちの役割はその力を引き出してあげること。決して私たちが産ませるのではなく、お母さんたちが自分の力で産むんです。それをサポートして差し上げたい。お産にはいろいろな医療介入がありますが、介入するのは本当に必要なときだけにしたいですね。

助産師による外来で不安や疑問の解消へつなげたい

妊婦健診で大切にしているのはどのようなことですか。

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異常を見つけるだけでなく、妊婦さんを不安にさせないことも医師の大事な仕事だと思っています。例えば胎児に少し気になるところがあっても、2週間後の健診まで経過観察でいいという場合は、あえてお話しないこともあります。そのままお伝えすると、妊婦さんは心配な気持ちを抱えたまま2週間を過ごさなければならないからです。自分が若いときは何か見つけたらすぐにお伝えしなければと思っていましたが、そうすることでお母さんが感じる不安はとても大きいんですね。今はよほどの場合以外は、すぐ言わずに注意して見守るようにしています。また、おなかに張りがあるからといって仕事を休ませたり、「ベッドの上で安静に」などの指示を出しても早産を防げるというデータはありません。妊婦さんのQOLを保つことも産婦人科の医師の仕事だと思うので、ダメなものはダメといいますが、過剰に大事をとりすぎず大丈夫なことは大丈夫だと言ってあげたいですね。

分娩時に気を配っているのはどのような点でしょうか。

分娩そのものには助産師さんがメインで関わることになり、医師としては助産師さんを信頼して、分娩を管理してもらっています。何かおかしなこと、気になるところがあり、必要であれば医療の介入を行うようにしていますが、基本的にはなるべく自然な分娩を行えるよう、そういう意味では待つことも多いかもしれませんね。助産師さんによく話しているのは、なるべく妊婦さんに寄り添ってほしいということです。当院では無痛分娩を行っていませんので、自然分娩で頑張っているお母さんたちにとって助産師さんがそばにつき添ってくれるのはすごく大きなことですから。

助産師による外来ではどのようなことを行っていますか。

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分娩のことを何も知らないままそのときを迎えるのは非常に不安で、痛みを2倍にも3倍にも増強させてしまいます。ですからその痛みがいつまで続くのかといったことを前もって知ることはたいへん大事です。当院では助産師による外来を行い、母親学級や両親学級を開いてそれらをお伝えしています。出産にむけての体づくりや心構えなどお話し、少しずつ準備をしてもらっています。妊娠した時点で自然分娩で産みたいとおいでになっても、実際に自然分娩がどういうものかは詳しくご存じないわけで、そういったところをお1人30分とじっくり時間をとって助産師からお話をしています。診療の際にはなかなか長くお話できませんし、医師には聞きにくいことも(笑)、ざっくばらんにお尋ねいただければと思います。

「お産」は素晴らしいこと、快適なマタニティライフを

こちらで行っている「子育て相談室」について教えてください。

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一般に産婦人科では産後の1ヵ月健診までお母さんと赤ちゃんを診ることが多いのですが、実際にはその後、里帰りから帰ってきたり、逆に手伝いに来ていたお母さんが帰ってしまったり、赤ちゃんと2人残されて、お母さんが孤立してしまうことも少なくありません。中には産後うつに陥る人もいます。そういったとき、1ヵ月健診の後も、この青木産婦人科を通じてお手伝いができればと、もう15年前から「子育て相談」の場を設けています。2ヵ月目は助産師さんを中心に、3ヵ月目からは保育士がお母さんのご相談に乗っています。いろいろな月齢の赤ちゃんがいるので、もう少ししたらこんな感じになるのかななどとお母さん同士がコミュニケーションをとる最初の場としても大事にしたいですね。

院長に就任なさって半年たちますが、クリニックでの診療をどのように感じていらっしゃいますか。

何より分娩と向き合える時間が増えました。大学病院では外来は週1~2回ですし、ずっと診ていたお母さんの分娩に立ち会えないことも多かったのですが、ここでずっと見守ってきた妊婦さんの出産まで立ち会えるのはうれしいことです。同じ一人の医師が継続して診ることは、妊婦さんの細かい変化に気がつけるなど医療的なメリットもあります。これからもできる限り自然な形での分娩を行っていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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長い間この仕事をしていますが、今でも出産のたびに感動をもらっています。お産は怖いもの、心配なものではなく、喜びにあふれた本当に素晴らしいものです。私たちも妊婦さんたちが快適な妊娠生活を送っていただけるよう、出産がすばらしいものとなるよう、力を尽くしてサポートしていきたいと思っています。

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