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矢嶋 茂裕 院長の独自取材記事

矢嶋小児科小児循環器クリニック

(岐阜市/岐阜駅)

最終更新日:2024/04/08

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック main

岐阜市日野南の国道156号沿いに立つ「矢嶋小児科小児循環器クリニック」は、道路の向かいに山の緑を臨む住宅街の一角にある。2001年に小児循環器を専門とする矢嶋茂裕院長が開業して以来、堅実な医療でファミリー層から頼りにされてきたクリニックだ。玄関で靴を脱いで入る院内は、木製のフローリングで、子どもたちが床に座って絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりと、まるで児童館のような雰囲気。矢嶋院長の診療の基本は、問診や触診を大切にし、無駄な薬を出さないこと。開業して20年以上になる現在、クリニックの2階に病児・病後児保育室を設けるなど地域医療への貢献や小児科の将来にもエネルギーを注ぐ。診療スタンスを「ホームランをめざすより、エラーをしないこと」と語る矢嶋院長の言葉からは、堅実な医療姿勢が感じられた。

(取材日2024年2月28日)

病気の予防や先天性疾患の早期発見に努める

まずは、医師を志したきっかけと開業までの経緯を教えてください。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック1

もともとは工学部志望でしたが、不合格で、願書を出していた岐阜大学の医学部受験の日の朝も大雪で半ばあきらめて寝ていました。下宿の大家さんに起こされてなんとか受験し、合格しましたが、もしあのまま大雪だったら人生が変わっていたかもしれません(笑)。卒業後に勤務した東京女子医科大学病院で小児科を選んだのは、担当の教授が後進の育成に熱意のある方だったからです。その小児循環器科での経験は、今も自分の中で大きな礎になっています。地方にいたら一生かかっても診ることができないような希少な病気の治療に関わることができたのは、貴重な経験でしたね。その後は岐阜県内の複数の病院で小児の心疾患を中心に診ていました。当時は、退院後の患者さんを紹介しようと思っても小児循環器が得意な先生は限られていて、受け皿となるクリニックが必要だと考えるようになりました。そのような経緯で開業を決意し、今年で23年目になります。

地域の受け皿をめざして開業されたのですね。どのような患者さんが来院されていますか?

先天性心疾患のお子さんが病院から紹介されて来られることもありますが、風邪や発熱のお子さんの割合が高いですね。予防接種の方も多いです。感染症にかからないようにするために予防接種のメリットは大きいと考えており、力を入れているんです。また、海外渡航者のためのワクチン接種も行っています。そのためインターネットで調べて遠方から来られる大人の方もいます。当院で準備しているワクチンは、狂犬病や髄膜炎菌、A型肝炎とB型肝炎など。留学のご相談も受けているので、留学先の感染症の情報を調べたり、ワクチン接種のスケジュールを立てたりもしています。また、オンライン診療も可能な体制を取っているので、事前にオンライン上で相談をして、必要なワクチンの接種だけに来院するということも可能です。

予防接種だけでなく、乳幼児健診にも注力されているそうですね。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック2

開業した頃は、岐阜市で生まれた子は岐阜市でしか予防接種が受けられないという状況で、予防接種の広域化が進んでいませんでした。私は予防接種は重要だと考えていましたので、行政や医師会の方々に働きかけ、2013年に広域化が実現しました。乳幼児の健診は、発育状況の確認だけでなく先天性疾患を発見するという目的があり、詳しい検査も必要だと思っています。当院では、目の屈折検査や超音波検査も行い、見逃さないようにしています。風邪やインフルエンザなどの急性の感染症で受診するお子さんは多いですが、ワクチンの普及によって以前と比べると減ってきています。これからの小児科は、病気の予防や早期発見を重視していくべきだと考えています。

不必要な薬を出さず、必要な検査は取り入れる

乳幼児健診で超音波検査を取り入れているクリニックは少ないと思いますが。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック3

私は、日本超音波医学会超音波専門医でもあるため、当院では診察や乳幼児健診にも心臓や腎臓、股関節への超音波検査を取り入れています。超音波検査は、視診や触診だけでは見つからない所見も確認でき、先天性の心疾患や腎臓病、股関節脱臼・形成不全など、早期に治療が必要な病気の発見に役立ちます。ベッドに横になるだけで受けられる簡単な検査ですので、お子さんにも負担になりません。他にも、目の検査機器を導入し、健診でも屈折検査を行っています。写真を撮る感覚で簡単にでき、1歳程度で弱視になりそうな子を発見することもできます。視力の発達は3歳までにほぼ完成するといわれていますので、それより前に見つけてあげたいですね。

視力が弱いことを保護者が気づいた時点で眼鏡を使うのでは遅いのですか?

小さいお子さんは視力が成長段階にありますから、成長が止まった中高生や大人が近視で視力矯正するのとは異なります。幼少期に発症することの多い弱視という病気は、いわゆる脳の発達障害。生まれた時から正しく形や風景が見えていない弱視のお子さんは、脳にも正しい形や風景が認識されないまま発達が止まってしまうので、もし小学生になって弱視とわかってから眼鏡をかけたとしても、1.0の視力にはなりません。そうなると、裸眼で自動車運転免許は取れませんし、パイロットや警察官にもなれませんよね。3歳までに見つけて眼鏡で視力矯正を行うことで、1.0の獲得をめざすことができます。弱視は、発見頻度の高い、潜在的な病気ですから、私は必ず検査をしているのです。

診療のポリシーを教えてください。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック4

重視しているのは、聴診器で心臓の音を聞き、患者さんを見て、触れること。診療ではこれまでの経験が土台になっています。その上で、必要のない薬や抗菌薬は出さないことにしています。当院で薬を出すのは10人のうち3人ぐらいですね。病院やクリニックに行ったら薬をもらって帰ることが当たり前のようになっていますが、飲みきれない薬が家に残っていることも多いのではないでしょうか。診療で大事なのは、病気を見極めることであって、薬を出すことではありません。アレルギーについても、無駄な血液検査は不要と考えます。血液検査でアレルゲンを特定するよりも、よく話を聞くことで原因を推測できるので、問診をして負荷試験を行いながら段階的に除去を解除していきます。

ホームランよりエラーを減らす医療を届けたい

院内は開放的で、お子さんにとってもストレスが少なそうですね。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック5

スリッパがありませんので、子どもも大人も靴を脱いでそのまま入ってくつろいでいただけます。元気のある子は、楽しそうに遊んでいますよ。泣く子も多いですが、子どもは泣くのが仕事ですから、気になりません。2階には、院長室だったスペースを改修して病児・病後児保育室を3室造りました。院長室はなくなりましたが(笑)、親御さんたちには感謝されています。お子さんには、リラックスして自分の家のようにのびのびと過ごしていただきたいですね。

医師としてのやりがいはどんなことですか?

助けるのが困難に思われるお子さんを助けることができる、ということはもちろんやりがいにもなっていますが、私は「ああしておけばよかった」という思い出のほうがより印象に残っています。そこには、当時はやむを得なかったケースもありますが、次の医療につながっています。医師は、いわゆるホームラン的な経験をめざすべきではないと思うんですよ。それよりもエラーをしないことのほうが大事で、「ああしておけばよかった」という思いをできるだけ減らすことを考えて診療をしてきました。医師は、「助かる人を着実に助ける」ことをめざすべきだと思います。また、開業医になると、ともすれば我流になりがちで勤務医時代のレベルを保つことが難しいこともありますので、医療の進歩から取り残されないよう、アップデートにも努めています。

最後に、子どもを持つ保護者の方へメッセージをお願いします。

矢嶋茂裕院長 矢嶋小児科小児循環器クリニック6

私は、急性感染症はさほど医療を必要とするものではないと思っているので、慌てて受診して薬を飲ませることも必要ないというスタンスですが、保護者の方の中にはとにかく薬をと考える方もまだまだ多いようです。疑問に思うようであれば、遠慮なく質問してください。納得できなければ、他の医師の意見を聞いてみることも大事だと思います。医師の仕事は、野球の打率のように数字では表せませんが、医師の能力を推し量ることは必要かもしれませんね。日頃から新しい医療のためにどの程度努力しているのかを見極めるため、医師に質問を投げかけるなどしてみてもいいと思います。大切なお子さんのために、ぜひご自身が納得して信頼するかかりつけ医を見つけてください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

●海外渡航ワクチン各種
狂犬病/1万3200円~、 髄膜炎菌/1万5400円~
●予防接種
A型肝炎/7700円~、B型肝炎/10歳未満4400円、10歳以上5500円(国内ワクチン)

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