「まだ大丈夫」と我慢しない
心の「未病」に気づき、早めのケアを
フィールファインクリニック
(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)
最終更新日:2026/09/04
- 保険診療
「何となくやる気が出ない」「眠れない」「集中できない」。そんな不調を感じても、「疲れているだけ」「まだ大丈夫」とやり過ごしてしまいがちなのが現代人。しかし、病気とは診断されない段階でも、心身は少しずつSOSを発していることがある。地域に根差した精神科・心療内科として20年にわたり診療を続ける「フィールファインクリニック」の岡本浩一院長は、こうした病気になる前の「未病」に目を向けることが大切だと話す。では、心の不調にはどのようなサインがあり、どの段階で医療機関に相談すれば良いのだろうか。未病という考え方から日々のメンタルヘルスケアまで、岡本院長に詳しく聞いた。
(取材日2026年8月21日)
目次
「まだ頑張れる」と抱え込まず、自分らしい毎日を取り戻すために
- Qやる気が出ない、眠れないなどの不調は、何かのサインですか?
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A
▲心の未病に着目し、早めの相談を呼びかけている
単純に「疲労がたまっている」というケースも多いですが、適応障害やうつ病など、精神疾患の入り口である可能性も否定できないため、放置しないことが大事です。その見極めは難しいのですが、私が診療で特に重視しているのが睡眠の状態です。寝つけない、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めて眠れないといった状態が続いている場合は、メンタル不調が背景にあることが比較的多いと感じています。また、理由もなく不安や焦りが続く、入浴など普段できていたことがおっくうになるといった変化も一つのサインです。診察ではこうした自覚症状に加え、人間関係や自己評価など、解消されないストレスを抱えていないかも含めて話を聞いています。
- Q近年注目されている「未病」、先生はどのように考えていますか?
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A
▲小さな心身の変化にも寄り添った丁寧なカウンセリングを行う
未病の定義は複数ありますが、精神科領域では、例えば「病気と診断されるほどではないものの、つらさや困り事を抱えながら生活している状態」を指します。私は、精神疾患と診断されてからではなく、できるだけ未病の段階で対応することが大切だと考えています。精神疾患は治療を始めてもスムーズな改善が見込めるとは限らず、数ヵ月、場合によっては数年かかることもあり、その間、仕事などの社会的活動から離れざるを得ないケースも少なくありません。だからこそ、あれ? と思ったらすぐに相談してほしいのです。限界になって受診するのではなく、ちょっとした心身の不調でも気軽に医療機関に相談することが当たり前の社会がくるといいですね。
- Qどのような人が心の未病になりやすいのでしょうか?
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A
▲「頑張りすぎる人ほど早めの相談が大切」と話す岡本院長
責任感が強く頑張りすぎてしまう人や、「これくらいは我慢しなければ」と不調を後回しにしがちな人は、未病の状態になりやすいだけでなく、なっても気づきにくい傾向があります。特に、仕事と家庭の両方でストレスを抱えているなど、複数の要因が重なると不調につながりやすくなります。また、もともと自己肯定感が低い人、発達障害の特性があり、生きづらさを感じている人も注意が必要です。ライフステージで考えると、社会に出て間もない時期や責任が増える働き盛りの世代、女性では更年期の時期なども心身のバランスを崩しやすいので、「以前はできていたことがつらい」などの変化を感じたら、心身からのSOSサインと捉えてほしいです。
- Q未病の段階でできるメンタルヘルスケアを教えてください。
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A
▲患者が落ち着いて過ごせるよう院内環境にも配慮
メンタルヘルスケアの基本は、睡眠を土台に、食事や運動などの生活習慣を整えることです。睡眠については、朝日を浴びる、夕方以降はカフェインを控える、就寝の1時間ほど前に入浴する、寝る前はスマートフォンなどから離れるなどを意識し、できれば7時間程度の睡眠を確保してほしいですね。食事では、タンパク質やビタミンB群・C、鉄やマグネシウムなどの栄養素をバランス良く取ることが大切です。運動は、軽いウォーキングや自宅でできるスクワットなど、無理なく続けられるものから始めましょう。また、ストレスの多い人は、深呼吸もお勧めです。短めに息を吸い、ゆっくりと吐くことを意識してみてください。
- Q心療内科や精神科に相談するタイミングの目安を教えてください。
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A
▲薬だけに頼らず、患者の思いを尊重した診療を重視
一般的には、2週間以上続く不調が目安とされていますが、それ以前でも「いつもと違う」と感じたら受診してほしいですね。医療機関を受診したからといって、必ず薬を飲まなければならないわけではありません。薬を希望しない場合は、その意向をできるだけ尊重し、まずは環境調整から始めたり、必要な時だけ服用する頓服薬を検討したりと、その方に合った方法を一緒に考えていきます。また、抱えている悩みを誰かに話し、理解してもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。頭の中で絡まっている問題を一緒に整理することも、診療やカウンセリングの大切な役割です。「受診するほどではない」と迷っている方も、気軽に相談してください。

