中川 裕大 院長、中川 守正 理事長の独自取材記事
中川歯科クリニック
(千代田区/秋葉原駅)
最終更新日:2024/05/24
1980年に開院し、40年以上にわたって秋葉原で歯科診療を続ける「中川歯科クリニック」。現在は初代院長を務めた中川守正理事長のサポートを受けながら、2代目となる中川裕大院長を中心に複数の歯科医師が幅広く診療を行っている。さらに歯科口腔外科、根管治療といった専門分野を持つ歯科医師を非常勤として迎え、総合力と専門性に磨きをかける一方、裕大院長は「軸にあるのは、父が追求してきた全身の健康度を高める歯科医療です」と変わらぬ診療方針を貫く。そんな裕大院長と守正理事長に、同院での診療の特徴やそれぞれの思いについて聞いた。
(取材日2024年3月19日)
総合力と専門性の両立を図る充実した診療体制
2022年の院長継承後、現在の診療体制を教えてください。
【裕大院長】私が中心となって診療し、昔からの患者さんは理事長である父が診るなど、2人で協力して対応しています。加えて、専門性の高い歯科医師が非常勤として在籍しているのも当院の特徴でしょう。例えばクラウンと呼ばれるかぶせ物やブリッジを得意とする歯科医師が1人、根管治療は4人、歯科口腔外科は3人と多く、総合力と専門性の両立を図っています。大きな病院に行かなくても身近なクリニックで高度な治療が受けられる、充実した診療体制が当院の目標です。
【守正理事長】近年は患者さんのニーズも多様化していると感じます。こうした専門性の高い歯科医師の協力も得ながら、今まで以上に多くの患者さんに愛されるクリニックとして成長していきたいですね。
専門性はどんな治療に生かされていますか?
【裕大院長】クラウンやブリッジは患者さんの希望により審美面に配慮し、セラミック素材の人工歯を使って自然な見た目に仕上げる治療ができ、これは私や専門の歯科医師が中心に行っています。歯科口腔外科は親知らずの抜歯、特に一般的には困難とされる症例にも対応可能で、他の医療機関からのご紹介も増えていますね。また、根管治療は歯の内側または根っこの奥といった外側からは見えない部分の治療で、私や専門の歯科医師がCTやマイクロスコープも使い、内部の状況を把握しながら治療を進めることで安全性や精度の向上に努めています。しかも、当院では父の代から患者さんの口腔内を治療前・治療中・治療後などに撮影しているため、画像を使って患者さんに症状や治療の状況説明がしやすく、複数の歯科医師が同じ患者さんを診ても情報共有しやすいなどのメリットがあります。
裕大院長ご自身の専門分野や強みをお聞かせください。
【裕大院長】当院で本格的に勤務する前から、歯髄温存治療をはじめとした高度な歯科治療に携わってきました。強みは、そうした経験を生かした精緻な歯科治療ですね。天然歯も技工物も、患者さんにできる限り長く使っていただけるよう、3Dスキャナーで口腔内を3Dデータ化するなど、歯科技工士に出す指示を含めて常に精度を意識しています。歯髄温存治療は虫歯を完全に除去した上で神経を残す治療法で、マイクロスコープなどを駆使して天然歯を長く維持するための治療を行っています。虫歯が悪化して神経にまで達してしまった場合など、痛みを早く取り除くために神経を抜く治療が広く行われていますが、神経を抜いた歯は寿命が短くなる可能性も高まります。しかも神経がない分、虫歯が再発しても痛みに気づかず進行してしまい、結果的に歯を失ってしまうケースも珍しくありません。
症状の改善はもちろん患者の将来も見据えた治療を
守正理事長は診療でどんな点を重視されますか?
【守正理事長】40年にわたる歯科診療の中で、口腔環境の改善が患者さんの全身の健康に寄与することを実感し、10年後、20年後の口腔環境を見据えた歯科診療を行ってきました。目先の歯並びや痛みの除去で終わらせず、先々を見据えた歯科治療計画を立てるとともに、近年は生活習慣や栄養の面からのアプローチも重視し、栄養学の知識も習得しています。裕大院長が話したとおり、削った歯は二度と元に戻らず、神経を抜いた歯は栄養分が届かずに寿命が短くなると考えられます。すると、天然歯で噛むことによって促されていた血流が滞り、全身の健康にも大きな影響が出る可能性があるんですよ。このため「疑わしきは抜歯」ではなく、できる限り抜歯を避けて天然歯を残す治療を当院では大切にしています。抜歯をせず、取り外し可能な装置で歯並びの自己修復を促して健康度向上につなげる歯列矯正も得意分野ですね。
矯正も、抜歯をしない方法を検討されるのですね。
【守正理事長】その方の状態に合った矯正を提案できるよう、ワイヤーやマウスピース型装置を用いる従来の矯正に加え、基本的に抜歯を必要としない矯正も取り入れています。患者さんの年齢や症状によっては、取り外し式の装置を1日8時間、就寝時に装着し、顎を広げて歯が動きやすい状態をつくっていく方法もご提案します。然るべきスペースができれば、歯は本来あるべき場所に自ら動くと考えられます。顎が正常な大きさになることで、骨格が変わって気道が広がり、舌が正しい場所に収まりますから、いびきや睡眠時無呼吸症候群のほか、鼻炎などの緩和も期待できます。
インプラント治療はどのような場合に選択されるのでしょうか?
【裕大院長】すでに失った歯に対してはインプラント治療も有力な選択肢で、残っている歯をこれ以上失わないようにするためにも有用です。父はインプラント治療も得意ですから、昔からの患者さんや紹介の患者さんに加え、インプラント治療が必要な方の治療も受け持ってくれています。ただ、まだ残っている歯を抜いて、すぐにインプラント治療を行うことは当院では考えていません。まずは保存を前提とした治療の可能性を必ず検討しますから。
【守正理事長】長く良い状態で歯を残すには、不要な噛み込みを防ぎ、一本一本の歯にかかる圧力のバランスを整えることが重要です。インプラント治療でも、患者さんの口腔環境全体を診ながら、その方にとって最善の提案ができるよう努力しています。
何かあったときに頼れるクリニックをめざして
改めてこちらの診療方針をご紹介ください。
【裕大院長】父は以前からできるだけ歯を削らず神経を残すための治療を行ってきました。私もそれを踏襲し、歯の機能と見た目を可能な限り元通りに治すことをめざして、さまざまな治療法を検討するよう心がけています。この場合、保険診療では難しいことも多く、当院では患者さんのご希望により自由診療での治療も広く行っています。一方で、保険診療を中心とする歯科医師も配置して、保険診療で治療したいという患者さんのご希望にも応えています。
【守正理事長】先ほどお伝えしたように、歯を残す目的の一つに全身の健康維持があります。これからますます重要になる歯と全身の健康との関係に着目して、栄養の観点からのアドバイスも含め患者さんの健康をトータルに守りたいと考えています。
今後の展望などをお聞かせください。
【裕大院長】治療の安全性と精度、患者さんの利便性を高めるような設備・院内環境の整備は引き続き進めるつもりです。以前に導入した3Dスキャナーを新たな機種に替えたことで、口腔内のさらに精度の高い3Dデータが取得可能になりました。またはテーマ、セラミックを使った詰め物・かぶせ物の型採りから設計・削り出しまで、コンピューター上で行う流れがよりスピーディーになっています。加えて、矯正用の3Dスキャナーも設置し、マウスピース型装置を用いた矯正などに用いています。治療を何度も繰り返すと歯に対するダメージは大きくなりますから、こうした設備も生かしながら精度の高い治療、長持ちする詰め物・かぶせ物の使用を心がけ、治療後の適切なメンテナンスにより再治療にならない治療をめざしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
【守正理事長】「きれいになって良かった」という喜びよりも、治療の数年後に「あの時治療して良かった」と思ってもらえる治療を行いたいと思っています。今後も変わらず、口元から患者さんの全身の健康を高めることに力を入れていきたいですね。
【裕大院長】患者さんの一生を診ていく思いで診療しています。もちろん私も勉強会などで新たな知識や技術を習得して、「何かあったときに頼れる」クリニックをめざして常にアップデートしていきますので、何かお困りごとのある方はぜひ来ていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/49万5000円~(治療時のガイド装置含む)、プレート型拡大矯正装置を用いた矯正/66万円~、マウスピース型の装置を用いた矯正/77万円~、歯髄温存治療/5万5000円~、セラミックを用いた補綴治療/7万7000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。