遠藤 為成 理事長の独自取材記事
えんどう歯科・矯正歯科クリニック
(関市/関駅)
最終更新日:2021/10/12
「稽古で泣いて、患者さまと笑うということですよ」そう言ってほほ笑む「えんどう歯科・矯正歯科クリニック」の遠藤為成理事長は、生まれも育ちも関という、根っからの関市民。この「稽古で泣いて患者さまと笑う」という思いで、いかなる要望にも全力で向き合う姿勢を貫いた結果、今のような多種多様な歯科診療に応じられる体制となったという。「地元で世界レベルの治療を提供したい」と話し、地元に対する思いが人一倍強い。そんな遠藤理事長は日々勉学に励み、鍛錬を怠らないのはもちろんのこと、後進の育成にも心血を注ぐ。穏やかな人柄とは似つかわしくないほどのあふれる情熱で歯科医療に従事する遠藤理事長に、自身の生い立ち、歯科医療に対する思い、そして人生に多大な影響を与えた父親について話を聞いた。
(取材日2021年7月12日)
柔道の精神「精力善用」「自他共栄」の心で地域に貢献
生まれも育ちも関市とのことですが、この辺りが地元なのですか?
はい、そうです。現在インプラント治療の専用オペ室を備える診療スペースに、父が営んでいた寿司店と柔道の道場がありました。歯科医院の開業に伴って、父がこの場所を譲ってくれました。私は朝日大学歯学部を卒業後、2年間朝日大学歯学部附属病院(現・朝日大学医科歯科医療センター)で歯内療法を専門に研鑽を積み、1997年に開業しました。しばらくは患者数も少なく、昔からの顔見知りの方がほとんどでした。地道に診療を続けてきたことで患者さまが増え、それに伴い歯科医師や歯科衛生士を増員し、診療スペースも拡充してきました。新規の患者さまの多くが、当院を受診されたことのある患者さまからのご紹介です。地域の皆さんに支えていただいて、ありがたい限りです。
歯科医師になられたきっかけをお聞きしたいです。
幼い頃、父に言われた言葉がきっかけです。まず私の生い立ちと父についてお話ししたいと思います。私の父も母も関の出身で、父は若い時分より柔道を極めてきた人でした。厳しい修行に耐え抜いた強靭な精神の持ち主で、当時柔道の強豪校だった関高校の柔道部をけん引する存在だったと聞いています。大学卒業後、父は地元に戻って飲食店を経営するようになり、その傍ら師範として指導にもあたっていました。私も物心ついた頃には道着を身につけ、柔道の稽古をするのが日常となっていました。そんな激情的な父が、ある時から私に歯科医師になることを進言したのです。朝日大学の前を通る際は「おまえはここに進むんだ」と言われたのを、今でもよく覚えています。
お父さまの存在が、理事長の人生に大きく影響したのですね。
父と私は親子でありながら師範と門下生という関係で育った環境上、父の言葉に疑問を持つ余地もありませんでした(笑)。残念ながら、私は柔道では父の期待には応えられませんでした。けれど「歯科医師の道に進む」という期待には、応えることができたというわけです。父は柔道の精神である「精力善用」「自他共栄」を人生の訓とし、自分の子どもたちにも説いてきました。「精力善用」とは自分の能力を世の中の役に立つことのために使う、「自他共栄」とは互いに信頼し助け合えれば自分も他者もともに栄えられるという教えです。私は歯科医師として、この2つの精神を極めていくことを心に決めました。実は、本当は卒業後すぐにでも開業したかったのですが、まずは母校の附属病院に勤めることに。在籍中は時間を見つけては他県の病院に出向するなど、とにかく研鑽を積むことに時間を費やしました。
世界最高レベルの治療をめざし提供
診療のモットーを教えてください。
私たちのモットーは「安心・努力・誠意」です。この3つを大切にしながら、「地元で最高の治療を提供して喜んでもらいたい」という一心で、診療に取り組んでいます。「最新技術の治療をしたいけど、都会じゃないから難しいよね」なんて言葉を覆したいのです。常にめざしているのは、歯科医療の専門家である私自身が、心から受けたいと思える治療を提供すること。患者さまの希望に全力で応えることにも、こだわり続けてきました。感染予防やプライバシーの保護を徹底し、より良い環境を提供するためスタッフ一同研鑚に励んでいます。患者さまに対して丁寧な対応とわかりやすい治療説明を常に意識しています。
カウンセリングを重視されているそうですが、特に気をつけている点は?
患者さまが受診を決めた“本当の理由”を理解することから逃げないことです。正直に申し上げると、初診の患者さまに対して「どうしてここまで放っておいたのか」と思う瞬間は、決して少なくありません。ただ、ここで大事なのは「どうして“今”になって受診するに至ったのか」をしっかり掘り下げることなんです。以前「1年以上前にかぶせ物が外れた奥歯を治療してほしい」と希望する初診の患者さまがいました。普通なら、奥歯の治療方法を検討しますよね。でも、この患者さまはどうしてかぶせ物が外れてすぐに受診しなかったのか。ここに着目してカウンセリングしたところ、「歯周病が進行すると脳などに悪い影響を及ぼす」という情報をテレビで見て心配になったからと話してくださったんです。つまりこの方の“本当の理由“、本当に心配していたのは、かぶせ物の修復ではない。歯周病の問題があるかどうかだったのです。
“本当の理由”を引き出すことが、その人にとって必要な治療を導き出す上で不可欠なのですね。
はい。患者さまは痛みをとることよりも快適な暮らしをしたいということを求めているからです。以前、入れ歯を使っていた母が、「入れ歯が駄目なんだよね」と口にしたことがありました。理由を聞いてみると「入れ歯が恥ずかしくて、友達と旅行に行きづらい」と話してくれて。母にとって歯科医院に通う“本当の理由“は痛みをとるということではなく、友達と楽しく過ごしたいという快適な日常の暮らしだったのです。母の相談が、私のインプラント治療への取り組みのきっかけになりました。“本当の理由“がわかれば、患者さまが本当に求める治療が何かがわかります。当院では各歯科医師の治療計画に私が責任を持って目を通し、毎日昼休みの時間に症例検討会を実施しています。スタッフ同士で意見を交わすことで、治療計画を洗練されたものにするとともに、スタッフのスキルアップにもつなげています。
歯科医療のさらなる向上をめざし、後進の育成にも尽力
著書を執筆されるなど、多岐にわたってご活躍されていますね。
書籍は歯科医院へ通う一歩目のハードルを低くするために、また、治療説明を聞いたあと自宅へ帰られてから、説明した内容を患者さま自身に復習していただくために出版しました。もちろん、日々の診療でも患者さまのいろんな疑問にお答えしていますが、診療時間には限りがあるからです。「歯科治療とはどういったものなのか」「どうして歯を守るべきなのか」など患者さまの素朴な疑問にお答えする内容となっています。また、患者さま向けの情報発信だけでなく、若手歯科医師に対するアプローチにも、積極的に取り組んでいます。当院での症例検討会の話をすると、他の歯科医院の院長先生から「うちでも若手に行ってくれないか」と相談されることも多く、歯科医師向けのセミナーなども開いています。これまで築いてきた経験値をもとに、後に続く世代の指導に携われるのは大きな喜びです。
理事長のエネルギー源は何でしょうか?
反骨心です。若くしての開業だったので、開業当初は批判的な意見も少なくありませんでした。それを跳ね返したいという反骨心が、原動力の一つになっていたのではと感じます。幼い頃から父に言われていた言葉があります。「稽古で泣いて、試合で笑え」。試合で満足いく結果を残せるよう、どれだけ苦しくつらくても鍛錬と向き合っていく。診療においても今なお大切にしている言葉です。私の歯科医師としての使命は患者さまが笑顔でお帰りになれるように、日々新しい知識と技術を習得し、その研鑽に励んでいくことだと考えています。
今後の展望をお聞かせください。
今後も今以上に研鑚を積んでいきます。常に前進し続けることが、私の性分だからです。例えば近年要望の多い、インプラント治療やマウスピース型装置を用いた矯正にはより一層力を入れて取り組んでいきたいと考えています。より侵襲の少ない、QOLの向上に貢献できる診療を追求するのが直近の目標です。新しいことにも挑戦し、患者さまがかなえたい「理想の人生」を実現するお役に立てればと願っています。まだまだ学ぶべきことはたくさんあります。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(検査・手術・投薬・インプラント体本体および上部構造費用を含む)/37万4000円
歯列矯正/77万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/88万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。