全身の健康を考えた予防歯科
徹底した口腔内ケアを実施
ばんの歯科
(名古屋市東区/森下駅)
最終更新日:2024/06/21


- 保険診療
虫歯になったら即削る。かつてはそれが普通と考えられていたが、昨今では経過観察をしつつ進行を防ぐため適宜処置していくほうが良いと考える歯科医院が増えている。「ばんの歯科」もそうした考えに基づき、口内の健康を保ち、できるだけ歯の寿命を延ばすための口腔内ケアに力を入れている。来院した患者すべてに治療と並行して歯科衛生士が歯磨きやケアを施し、「すっきり」「さっぱり」を実感してもらう。その結果、開業して40年以上たつ今では、口腔内ケアに通う患者が大幅に増えてきた。坂野晃院長に、同院の予防歯科の考え方や特徴などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2017年11月8日/情報更新日2024年4月3日)
目次
一方的な“指導”ではなく、歯磨きやケアの良さを実感してもらうことで全身の健康までをサポート
- Q先生の考える予防歯科とはどのようなものですか?
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A
▲口腔内と全身のつながりを語る院長
以前は、予防といえば小さな虫歯もすぐに治療することでしたが、今では、口腔内ケアを続け、口内をきれいに保てば急いで虫歯を削る必要はないと考えられるようになりました。加えて生活習慣の改善も大切で、歯の健康だけではなく、全身の健康状態を向上させることが本来の予防歯科だと思います。私はもともと患者さんには、口腔内ケアで健康寿命が延びる可能性が高くなりますよとお話ししていて、今では全体の7割ほどの患者さんが定期検診に来院します。ブラッシングを指導するより、われわれが徹底的にケアをしたほうが、患者さんから「どうやって磨けばいいの?」と質問されるなど、歯を守ろうという意識が高まると感じています。
- Q歯科衛生士は予防としてどのようなことを行うのでしょうか?
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A
▲すべての患者に対して丁寧に口腔ケアを行う
特に予防歯科という枠でなく、当院では来院されたすべての患者さんに歯磨きを中心とした口腔内ケアをしており、治療をされる場合でも並行して行っています。皆さん、毎回メンテナンスをした状態で帰っていかれるのです。各ユニットに鏡と口腔内カメラがありますので、患者さんにお口の中を把握していただき、必要があれば専用の機器やペーストを用いたPMTCというプログラムを組み込み、歯面とその周辺の歯垢や細菌の膜をきれいに除去していきます。汚れがひどいときは歯科衛生士が「気をつけましょう」とお伝えしますし、聞かれれば何でもきちんとお答えしていますが、こちらから一方的な“指導”はしていません。
- Q“指導”とは違う、ケアの重要性について教えてください。
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A
▲スタッフ全員がコミュニケーションを大事にしている
“指導”よりも、われわれが一生懸命ケアして「すっきりした」「さっぱりした」と患者さんご自身に実感していただくことが一番良いと考えています。実感すればセルフケアも意識して丁寧にされるようになって、自発的に数ヵ月に1度はプロのメンテナンスを受けに来院されるようにもなることが期待できるほか、お口の中を健康に保つことも望めます。持病のある方や体の抵抗力が落ちている方には特に定期的な来院をお勧めします。高齢になると病気がまったくない方はほとんどいません。歯の健康状態は体の状態にも関連していますので、人生を健やかに過ごすため、お口の中を清潔に保つことは非常に重要だと思っています。
- Q患者と接する上で心がけていることはありますか?
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A
▲「すっきりした」と実感してもらうことが一番良いと語る院長
ケアをきちんとすること、患者さんを大切にすることを最も心がけています。私はもちろん、スタッフも言葉遣いや身だしなみ、電話の応対など失礼のないよう、心がけています。歯科医院は「怖い所」と思われがちですので、ここは来やすくて親しみやすい場所というイメージを持っていただけるように会話を楽しく、コミュニケーションを大事にしています。患者さんに笑顔で帰っていただければうれしいです。また、スタッフは、少しでもお子さまとの壁をなくし信頼いただけるよう治療後にシールや風船をあげたり、おもちゃで一緒に遊んだりすることもあります。
- Q先生は、口腔内ケアを在宅診療でも行っておられるのですね。
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A
▲診察室。患者に笑顔で帰ってもらえるよう努めている
はい、個人のお宅に10軒ほどと施設に2軒、伺っています。在宅診療では悪い部分を治すことはもちろんですが、口腔内ケアを「気持ち良い」と思ってもらうことも大事で、気持ちが良いことは生きる力や健康増進につながります。「話していると楽しい」「ケアが気持ちいい」など精神的に良いことは体の状態にも現れることがあります。また、口内をきれいにしていると、口からウイルスが入りこみにくくなるなど、全身疾患の予防につながる側面もありますね。