全身の健康に関わる歯周病
体のためにしっかり予防と治療を
木下歯科
(名古屋市天白区/相生山駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
糖分の多い物の飲み食いや喫煙、つい力を入れてしまう歯磨き、正しいケアの方法を知らないまま、それが何年も続くと、歯だけでなく、全身にまで悪影響を及ぼしてくる。それが歯周病の恐ろしさだ。口の中の細菌が血液によって体に運ばれると、妊婦の場合、早産や低体重児のリスクも心配されるという。歯茎が腫れたり、歯がぐらぐらするようになってから歯科医院に駆け込むのではなく、深刻な状態にならないうちに予防するにはどうしたらよいのか。歯周病治療に積極的に取り組む「木下歯科」の木下浩介院長に、日常生活において普段から気を付けることや定期的なケアの大切さについて詳しく話を聞いた。
(取材日2017年4月16日)
目次
歯や歯茎だけでなく、全身の健康に深く関わる歯周病。正しいブラッシングと定期的なケアが予防の要
- Qまず、歯周病とはどんな病気なのですか?
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A
▲緑の外観が特徴的な木下歯科
基本的に、歯は骨の中から歯茎を突き抜けて外に出てきます。歯周病は、外とつながる箇所に細菌がくっついて、さらに歯の根っこに沿ってどんどん中に入っていき、歯を支えている骨や周りの歯茎を溶かしていく病気です。歯の裏側などの磨き残した箇所に歯石がたまり、歯石と一緒に歯茎の中のほうに移動していくと考えていただくといいですね。初期の頃は自覚症状がなく、進行すると赤くなったり腫れたりなど炎症が起こります。細菌のせいで口臭がするので、それで気付く人もいます。歯を支える骨が溶けると歯がぐらぐらし、抜歯になることも。若いうちは免疫機能が高いのですが、年齢を重ねると体の問題も出てきますので、早期発見が大切です。
- Q治療はどのように進むのでしょうか?
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A
▲歯周病について、わかりやすく説明してくれる
まず、私あるいは歯科衛生士が歯茎をチェックして、歯周病がどの程度進行しているかを把握し、掃除することから始めます。表面の歯石を取り除き、歯周ポケットの深さを測り、そこにある歯石も取っていきます。歯周病になると歯茎がぷよぷよしてくるのですが、ある程度歯石が取れると、歯と歯茎がぴったりとくっついて隙間がほとんどなくなってきます。炎症を起こして腫れている時や出血がある時は抗生物質を使うことがあります。出血するのは、血管が切れているということなので、そこから細菌が入って全身に回ってしまうことを防ぐためです。
- Q歯周病予防にはやはり歯磨きが大切なのですか?
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A
▲アットホームな雰囲気で通いやすい
歯磨きは、やりすぎないことも大事です。「歯と歯茎の間の汚れをかき出す」とよく言いますが、実際に手でそれほどこまかく、見えないところを磨くことは難しいですね。つい力が入って、歯茎を突き刺して傷付けてしまったりして、かえって歯茎を下げてしまうことも多いのです。歯は根元に向かって細くなっているので、歯茎が下がると、その分、歯と歯の間に隙間ができ、食べた物が詰まりやすくなってしまいます。歯は磨いても、歯茎は磨かず、マッサージがお勧めです。当院では、歯磨き指導に、患者さんが毎日使っている歯ブラシを持ってきていただいています。歯ブラシの状態を見て、具体的に、普段の使い方に沿ったアドバイスをしています。
- Q日常生活で気を付けることはありますか?
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A
▲定期的なメンテナンスが大事
歯周病は高齢の方が多いですが、若い人の中には、中高生の時に部活や塾で忙しく、歯磨きをせずに寝てしまっていたという人もいます。せめて水かお茶を飲んで、口内を洗い流していただければと思います。ジュースではだめです。また喫煙ですが、たばこはかなり高温なので、口の中が低温やけどの状態になります。細菌の数も増えるし、タールも付いて歯ブラシでは取れなくなりますので、あまりお勧めできません。他に、食いしばりや歯ぎしりなどは、直接、歯周病に関係なくても、歯の可動域より大きい動きをすることによって歯が欠けたり、根元が緩んだりしてしまいます。そこに細菌が入り込む隙間ができるので、注意していただきたいですね。
- Q女性の場合は、どういう影響が出る可能性がありますか?
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A
▲院長は優しくて話しやすい雰囲気
口の中にはたくさんの血管が存在しています。歯と歯茎の境目、つまり歯周ポケットには必ず血管があり、そこに細菌が入ると、全身に回って糖尿病や心疾患などさまざまな病気に関係することがわかっていきています。女性の場合は、早産のリスクや、赤ちゃんが低体重になる危険性が指摘されています。したがって、口の中はなるべくきれいにしておいたほうが、そうしたリスクを減らせるわけです。口内をきれいにすることは、妊娠中の女性だけではなく、どんな人にでも気を付けていただきたいことですね。