岡本 政行 院長の独自取材記事
岡本歯科医院
(大阪市鶴見区/横堤駅)
最終更新日:2021/12/27
大阪メトロ長堀鶴見緑地線・横堤駅から徒歩10分の住宅地にある「岡本歯科医院」は、1985年に開業。院長の岡本政行先生は、「削る・切る・抜く」を必要最小限にした治療をモットーに、地域の患者の歯の健康を見守ってきた。20年前に始めた矯正歯科でもなるべく歯を抜かない対応を心がけている。費用面も含め、常に患者の負担になりにくい医療に情熱を傾けてきた岡本院長。最近では患者の健康寿命を延ばすために、食育や、管理栄養士による栄養管理のアドバイスなどの導入を模索するなど、従来の歯科医院の対応にとどまらない進化に積極的だ。対応した患者にはできるだけ長く責任を持って対応したいという、穏やかで優しい笑顔の岡本院長に話を聞いた。
(取材日2019年9月20日)
1本の歯の大切さを実感した子ども時代
歯科医師をめざしたきっかけは?
僕は子ども時代に虫歯が多かったんですよ。毎日おまけ目当てでキャラメルを買って食べていたせいか虫歯ができて、歯科医院によくお世話になったんです。高校生の時、永久歯の1本がひどい虫歯になって抜歯することになり、若い歯科医師が抜いた歯を見せてくれたのですが、しっかりとしたいい根が残ってるんですよ。これは残せたんじゃないかなと思ったんです。それがショックでしてね。自分が歯で苦労しましたから、そういう患者さんが来た時にきちんと対応してあげたいなと思ったのが一つの動機ですね。歯科というのは自然治癒力が働かない分野です。例えば普通の風邪であれば、体を養生して薬を飲めば自分の力で治っていきますが、歯科は人為的に対応しないとならない。結果がはっきり見える分、やりがいがあると思いました。
大学は九州歯科大学へ。どのような学生生活でしたか?
大学では、歯を残す治療について熱心に学びました。その時、大学院で研究しながら開業している先輩が、僕が高校生の時に抜歯して義歯を入れたところをブリッジにしてくれたんです。35年以上前の治療ですが、今でもしっかり持っています。歯の治療は、きちんと適切な処置を行えば長持ちするんですね。だから僕も歯科医師として、治療した歯は生涯持たせるという思いで診療に臨んでいます。大学卒業後に勤務先に選んだのは、水戸にある歯科医院でした。大学在学中は勤務先を探して東京などにも見学に行ったのですが、その歯科医院は基本に沿った丁寧な治療を実践しており、そこに共感して勤務しようと決めました。3年勤めた後、福島県にあるそこの分院で1年勤務し、それから大阪に帰って開業しました。
地域の特徴と、開業にあたって目標とされたことは?
この辺はもともと工場が多い地域だったんです。その後工場が立ち退いて、結構大規模な分譲マンションや一戸建てができ、以前から住んでおられる高齢者層に加えて、若いファミリー層が増えてきています。開業にあたっては、水戸で学んだことを実践して基本に忠実な治療を行い、1回治療した以上はできるだけ生涯持たせることを目標に、手抜きのない治療を行っていこうと考えました。患者さんの年齢層は幅広く、最初は検診や一般的な診療の成人の方が多かったのですが、20年ほど前から矯正を始めたので幼稚園児、小学生から中学生が多いですね。
歯科は健康寿命を延ばすための入り口
矯正歯科を始めたきっかけをお聞かせください。
矯正歯科は専門家の領域だと大学で教育を受けていましたので、開業してしばらくは矯正を希望される患者さんには矯正専門の歯科医師を紹介していました。しかし、紹介した先で、矯正のために歯を抜かれたり、満足いく矯正を受けられなかったり、といったケースもあることを知り、歯を残すことをモットーに治療している僕としては、このままではいけないと思ったんです。そこで自分でも矯正が行えるよう、歯を抜かないで矯正を行っている先生に指導を受け、少しずつ非抜歯矯正の症例を重ねてきました。非抜歯矯正を行うと、特に成長期のお子さんは噛む力を保つことが望めます。歯の埋まっている歯槽骨を広げていくやり方で、顔が大きくなるんじゃないかと心配される方がいらっしゃいますが、輪郭にあたる顎骨の基底部分は広がらないのでご安心ください。成人の患者さんでも、ほとんどのケースでは非抜歯で対応できます。
管理栄養士による栄養指導なども今後取り入れたいとお考えだそうですが、その理由は?
歯科というのは、今まで歯を削って詰めてばかりだったんですけど、今は栄養学的な視点も必要だと考えています。歯周病の方は除菌で対応しても、歯茎の健康を保つためには、免疫力を高めるために普段の食生活を見直すことが必要です。栄養士さんに食事分析してもらって、アドバイスをしながら、足りない栄養を補っていく。そうやって体調管理もしていく時代だと思っているんですよ。栄養士さんと一緒にどうケアを行うかは、これから試行錯誤していきたいと思っています。
食育についても取り組まれているそうですね。
食育というのは、栄養の内容だけではなく、食べ物の取り方の指導や口呼吸のための口腔筋のトレーニングも必要なんです。特に小さいお子さんは、前歯を十分に使えていないことで歯並びの乱れにつながることもあるんですね。物を噛むときには奥歯だけでなく、前歯も使ってしっかり噛むことによって、口周りの筋肉の発達が促され、矯正が必要ないような歯並びと輪郭形成につながっていき、さらには鼻呼吸に結びつくと考えています。そのため、矯正で来ているお子さんには、正しい噛み方、食べ方や姿勢も含めて指導してます。忙しくて一般の患者さんにまではなかなか手が回っていないのが課題ですが、成人の方でも食育は大切です。中高年になると生活習慣病がありますので、栄養面と食べ方・調理の仕方、両方が必要かと思います。これからは健康寿命を延ばしていかないといけません。歯科はその入り口なんです。
患者の変化を見守っていけるのが日々のやりがい
歯科技工士さんが常駐されているそうですね。
女性の歯科技工士で、歯の色や噛み合わせをその場で見てもらっています。技工士がいると義歯が割れた時にその日のうちに修理できるので患者さんにも喜んでいただいています。以前は外部のラボに送って3日から4日かかって、その間患者さんが不自由な思いをしていたんです。在籍して2年少しになりますが、当院の技工士さんは仕事が早く、コミュニケーションも上手なんですよ。特に高齢の方は義歯の修理が多いんですけど、何かあったその時にすぐ対応できるというのが、患者さんにとっても当院にとってもメリットですね。
歯科医師としてうれしい瞬間を教えてください。
矯正が完了した時でしょうか。矯正というのはダイナミックな変化を引き起こす分野なんですよ。そういう変化を見ていくのがやりがいがあって楽しいですね。矯正は時間こそかかりますが、子どものうちに行うことで忍耐力がつくと思うんですよ。自分で目標を持って取り組むので、自立心も育まれるのではないでしょうか。そう考えると、子どもたちの成長に間接的に役立っているかなと思います。成人の患者さんであれば、コンプレックスがあった歯並びを矯正すると、今度は金属のかぶせ物を目立たないものに変えたくなるなど、歯の美しさ、白さに対する意識も変わってきます。患者さんの歯や意識が変化していく様子を見るのも、歯科医師としてうれしいことですね。
今後の展望をお聞かせください。
当院は開業して34年になります。矯正を始めた子どもたちの成長が終わるまで診るとなると、10年15年の長いスパンで考える必要があるんですが、もし僕に何かあった場合、この歯科医院は閉鎖になってしまいます。しかし医療法人にしておくと僕が診療できなくなっても歯科医院自体は残るので、引き続き患者さんを診ていけると思ったんです。それで10年前に医療法人化しました。できるだけ長く、責任を持って患者さんに対応したいと考えています。あとは患者さんが、高齢になられて要介護状態になって通えなくなるケースも今後出てくると思うんです。新規の患者さんを訪問で対応することはないんですが、以前から通っておられる患者さんについては、こちらが積極的に訪問して診療できるようなシステムをつくっていこうと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは子どもの矯正:8万8000円~
成人矯正:18万7000円~
床矯正:9万9000円~
マウスピース型装置を用いた矯正:27万5000円~
詰め物(1歯):2万2000円~4万1800円
かぶせ物(1歯):4万4000円~13万2000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。