西村 弘二 院長、西村 知倫 副院長の独自取材記事
西村歯科
(堺市南区/栂・美木多駅)
最終更新日:2023/07/04
堺市南区庭代台、泉北ニュータウンの緑豊かな住宅地に1989年開院の「西村歯科」はある。同院の歴史は、西村弘二院長の父である先代が1947年に五条通で歯科医院を開業したところから始まる。そして弘二院長の息子であり診療をサポートする西村知倫副院長が同院の3代目院長に就任する予定だ。祖父・父・息子と3代にわたって「常に患者のために」を第一に考え、心の通った診療を行ってきた同院。弘二院長と知倫副院長に、診療に対する思いを聞いた。
(取材日2023年5月24日)
世代を超えてつなぐ、思いやりあふれる歯科医療を
院長のお父さまも歯科医師だったそうですね。小さな頃から後を継ぐことを考えていたのですか?
【弘二院長】子どもの頃の私は父の仕事にまったく興味がなくて、後を継ぐなんて考えたこともありませんでした。1歳上の兄が歯科大学に進むと聞いた時も「へえ、そうなんだ」としか考えていなくて、父からしたら頼りない息子で心配だったと思いますよ(笑)。その後、結局は私自身も歯科大学に進学したわけですが、卒業後は経営面の勉強もしたいと思い、大きな歯科医院に勤めました。ところが、実際に働き始めると、経営を優先すると自分の理想とする医療ができないということを痛感する毎日でした。その時に父から「金もうけをしたいなら辞めろ。医療というものは商売と捉えてはならず、患者さんのことを常に考えなければいけないんだ」と言われたんです。その言葉がとても心に響いて、今でも歯科医師としての自分の核となっています。
知倫副院長は、いつ頃から歯科医師の道をめざそうと思ったのですか?
【知倫副院長】実は歯科医師にだけは絶対になりたくないと思っていたんです。いつでも忙しく働いている父の背中を見ていましたし、父から「大変な仕事だ」と聞かされていたので、自分は違う道に進もうと思っていました。弁護士とかパイロットとか、憧れる仕事は多々ありましたが、高校3年になって現実的に進路を考えた時、社会に貢献できて人の役に立てる仕事がしたいと思ったのです。それなら、やっぱり歯科医師がいいんじゃないかと。結局は父と同じ歯科医師の道を選んでいました(笑)。
大学卒業後は、すぐに院長と働くことはせず、あえて他の歯科医院を選んだそうですね。
【知倫副院長】インターンの時は伯父の歯科医院や大学の高齢者歯科を扱う部門に残って勉強をしました。その後は、やはり将来的に父の後を継ぐとしても、他で勉強をしておくことが大切だと思い、堺市の歯科医院で勤務医として働き始めました。現在は当院でも診療をしながら、週3回勤務を続け、小児歯科をはじめ幅広い分野の経験を積むように精進しています。今後は当院での勤務に専念して、本格的に継承の準備に入る予定です。
弘二院長は、歯科医師として知倫副院長に助言することも多いのでしょうか?
【弘二院長】親の仕事というのは子どもの前に壁をつくって立ちはだかることだと思っています。ですから、私は悪者になろうと決めていて、褒めるところではなく悪いところばかりを一生懸命探して指摘しているんです(笑)。息子には、いつでも「人のためになること」をしてほしいと願っています。常に謙虚な姿勢を大切にして、思いやりのある歯科医師でいてほしいですね。
高齢者の訪問診療で「食べられる喜び」を広めたい
本格的に診療に加わるにあたって、知倫副院長は今後どのような部分に力を入れていきたいとお考えですか?
【知倫副院長】今後は訪問診療にも力を入れて地域貢献をしていきたいと考えています。私は、訪問診療の一番の目的は、患者さんが自分の口で「食べられようになる」ことだと思っています。これまで、高齢者の嚥下についての勉強会にも参加してきたのですが、ケアマネジャーの方の中には、歯科医師が嚥下機能をチェックできることをご存じない方も多いんです。高齢者の飲み込みや食べ物についてのアドバイスができますし、必要に応じて嚥下機能のチェックにも対応しています。そうした情報を今後は積極的に発信していきたいですね。
実際に訪問診療を行う上では、どのようなことを大切にされていますか?
【知倫副院長】いつも心にとどめているのは、ただ虫歯を治して終わりではなく「何のために虫歯を治すのか?」ということ。その答えは、患者さんに最期まで「食べられる喜び」を味わってほしいからです。高齢で外に出歩くことも難しくなった方にとって、「食」は最大の楽しみといえるのではないでしょうか。ちなみに私は食べることが大好きで、虫歯の指導を行っているのに毎日欠かさずお菓子を食べるほど(笑)。もし自分だったら、誤嚥を防ぐためにペースト状の食事を取り続けるくらいなら、多少危険であっても、好きな焼き魚を食べたいと思っています。安全な食事を取ることはもちろん大切ですが、それ以上に大切なのは、ご本人が「何を食べたいのか」「どう生きたいか」だと私は考えます。好きなものを食べられずに生涯を閉じることは悲しい。だからこそ、虫歯治療、入れ歯治療、クリーニングをはじめ、嚥下機能のチェックも行います。
こちらの診療方針についても教えてください。
【弘二院長】患者さん一人ひとりの期待に応えられるような治療をするために、問診を大切にしています。患者さんというのは、基本的に話してくれないことのほうが多いんです。それをいつでも心にとどめて、相手が話しやすいよう導くことを大切にしています。また、患者さんによっては経済的な事情もさまざまです。「お金を出したから良い治療をします」ということは絶対にしたくありませんから、保険診療でもできる限りのことをしたいと思っています。
【知倫副院長】患者さんと丁寧に話をすることを常に心がけています。きちんと話を聞いて、時間がかかったとしてもしっかり説明することが大切です。患者さんの疑問や不安を、適当にあしらうようなことはあってはならないと思います。
子どもには自然とキレイな歯並びになってほしい
保険治療でも子どもの歯並びを整えることができると伺いましたが?
【知倫副院長】子どもの年齢によりますね。歯並びが悪くなる原因の8割は間違った食生活や悪習癖によるものです。6歳くらいの永久歯が生えるまでの時期であれば、原因の改善を図ることでアゴの成長促進にもつながり、将来の歯並びを整えることが望めます。永久歯が生えてからガタガタの歯並びに気がつかれる場合がよくありますが、それからでは矯正治療となり、治療にかかる費用が大きくなることが多々あります。その点、当院では乳歯の時期であれば保険治療でアゴの成長を促すことができるので、費用の負担を抑えることができます。とは言え、悪習癖を改善するための毎日のトレーニングや食生活を変えていくにはお子さん、保護者それぞれやる気がないと続きません。しかも、目に見える効果が望めるのに6ヵ月ほどかかりますので忍耐強さも必要です。それでも、より多くのお子さんが将来、すてきな笑顔になれる可能性を作れるようにと取り組んでいます。
今後の展望を教えてください。
【知倫副院長】現在、当院は予約が取りにくい状況であったり、次回の来院予約が取りづらかったりとご不便をおかけしています。そこで、当院を必要としてくださる方にきちんと治療を受けていただけるよう、来年をめどに医院の拡張をしていく予定です。歯科衛生士も増員するなど、より良い診療・治療の環境を整えていきたいですね。また患者さんとじっくり話をするカウンセリングルームや、院内で教室を行えるスペースも設けていきたいと思っています。特に小さいお子さんを持つお母さんから、歯並びに関する悩みをよくお聞きするので、親子教室も実施していけたらいいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
【知倫副院長】ご自身の歯を残し、しっかりと噛んで食べられることで健康は維持されます。当院では患者さんの症状に合わせて、できる限り歯を残していく方法をご提案しています。ご自身の歯で噛み続けたい方は、一度ご相談に来ていただけたらと思います。地域の子ども達と保護者には歯並びの育成を、ご高齢の方にはオーラルフレイルを、と言った具合にライフステージに合わせた啓発活動をしていくことで地域のデンタルIQを高めて、地域の皆さんの健康状態の向上に寄与していくことが私の歯科医師としての目標です。
【弘二院長】私自身は患者さん第一とした信念で診療に向き合い続けられたことが幸いだったと思っています。今後は息子にもこの信念を継承し、支えていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは子どもの予防矯正(~約7歳) / 3万3000円(装置代)+ 5500円(トレーニング・調整料)
床矯正(約8歳~) / 6万6000円(装置代) + 5500円(トレーニング・調整料)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。