インプラント治療の前に検討すべき
歯牙移植のメリットとは?
森田歯科
(岸和田市/春木駅)
最終更新日:2025/01/14
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歯を失ったり抜歯が必要とされた場合、入れ歯やブリッジ、インプラントなどで補うことをめざすのが一般的。もう一つの方法として意外に知られていないのが、自身の歯を利用する歯牙(しが)移植という手法だ。自分の天然歯を利用するのでインプラントと比較して費用負担が少なく、体への負担も少ないという特徴があるという。適応には条件があるというが、そんな治療が本当に可能なのか、歯牙移植の豊富な実績を持つ「森田歯科」の森田和伸院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2024年9月12日)
目次
歯牙移植は体に負担の少ない治療法。インプラント治療を検討する前に一考する価値は十分にあり
- Q歯牙移植とはどのような治療法か、簡単に教えてください。
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A
歯牙移植とは再生療法の一つで、虫歯や歯周病、事故による破折などで抜歯が必要となった場所に自分の健康な歯を移植する治療法です。提供歯として最も一般的なのは親知らずで、他には歯列からはみ出して噛み合わせの機能を果たしていない埋伏歯を用いることもあります。あくまで不要な歯で、健康に機能している歯を抜いて移植することはありません。これらはすべて自家歯牙移植と呼ばれるもので、入れ歯やインプラントとは違い、自分の歯なので生体親和性が高いのが特徴です。生きた歯の機能をそのまま活用することができるわけで、適応条件さえ合えば非常に有用な治療法といえるでしょう。
- Q適応には、どのような条件が必要でしょうか?
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A
まずはドナーとなる移植する歯が存在していること。その歯の根っこの状態が良好で、歯を支える歯根膜と呼ばれる組織がしっかりしていることが重要です。抜歯から移植まで、この歯根膜を傷つけないことが移植後の定着を大きく左右するわけですね。あとは歯のサイズや顎の骨の量、根っこの本数など諸条件はありますが、小さな虫歯は削って治療できますし、歯周病があっても歯根膜の状態次第では移植可能です。対象年齢に関しては、やはり若い方のほうが短期間で定着しやすく、根が未完成な歯は神経を残したまま移植できるケースもあると考えられていますが、高齢の方でも対応可能です。
- Qインプラント治療と比較して、どのような部分が違いますか?
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A
歯牙移植の最大のポイントは、自分の歯を歯根膜ごと移植すること。そのため定着後は下から新たな骨が形成され、天然歯と同じ感覚で噛むことが期待できます。いわば自分自身の体の力を利用します。これはインプラントなどでは決して見られない特徴です。また治療費も比較的負担が少なく、若年層など年齢に関係なく施術できることもメリットといえるでしょう。一方のインプラント治療に関しても現代は予知性が高く、精密なガイドを用いることで安全かつ適切な埋入が期待できます。歯を補うための方法としてはどちらも非常に有用ですから、インプラントを念頭に置きつつ歯牙移植が可能かどうかを同時に検討してみることを当院ではお勧めしています。
- Q実際の治療の流れを教えてください。
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A
まずはエックス線や歯科用CTなどで入念に口腔内を検査し、適応などの診断やドナーとなる移植歯の選定を行います。治療可能であれば最初に対象箇所を抜歯し、次に移植歯を抜いて、その日のうちに挿入して歯茎と縫合。手術自体は1〜2時間程度で終了し、その後は消毒や抜糸、神経の処置などを経て定着を待ちます。落ち着くまでに平均して2〜3ヵ月かかりますが、10代であれば1ヵ月で定着することもあります。さらに歯根膜が完全に機能するようになるまでに、だいたい1年ほどの時間を要します。歯牙移植はシンプルな治療法ですが、決して簡単な手術ではありません。知識や経験の豊富な、実績ある歯科にて治療を受けることが何より大切です。
- Q悪い歯を抜いて、そのまま植え直す治療があると聞きました。
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A
通常の根管治療が不可能だった場合その歯を一旦抜いて治療をしてまた植え直す「意図的歯牙再植」という処置を行うことがあります。条件として必要なのは、歯の根っこの長さが十分にあること。また、施術中に歯根膜を傷つけないよう十分に注意する必要があります。あまり聞き慣れない治療法かもしれませんが、昔からある治療法なので、ぜひ覚えておいてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~40万円