森田 和伸 院長の独自取材記事
森田歯科
(岸和田市/春木駅)
最終更新日:2024/10/15
南海本線春木駅より徒歩約10分の場所にある「森田歯科」。地域密着型で患者一人ひとりに寄り添った診療を行うクリニックだ。院内はシックで落ち着いた雰囲気で、診療ユニットは、治療用4台とメンテナンス用2台を備える。院長の森田和伸先生は、情熱あふれる快活な雰囲気が特徴だ。一般歯科から歯の移植まで専門性を発揮しながら治療にあたる。1992年に父のクリニックで副院長に就任し、現在はクリニックを継承し院長に。地域密着型で患者一人ひとりに寄り添った診療を行う同院は、長年地元住民の口腔内の健康維持に尽力してきた。包括的な治療をモットーとし定期メンテナンスにつなげる方針の森田院長。熱い思いで患者やスタッフに接する森田院長に、専門性や診療のモットー、患者への思いについて詳しく聞いた。
(取材日2024年2月15日)
全身を見据えた包括的な治療がモットー
こちらのクリニックの特徴について教えてください。
僕の父親である前院長のクリニックを引き継いで地域密着で診療する歯科クリニックです。全身の健康に着目し、噛み合わせを重視した包括的な歯科治療をモットーとしています。虫歯や歯周病の治療から定期メンテナンスに移行し、長期的にお口の健康維持をサポートしたいですね。僕は歯の移植や再植など外科的な治療もできるので、保険診療と自由診療に関わらず、患者さんにとって適切な治療の提案を心がけています。歯を失ったときにインプラントや入れ歯に加えて、歯の移植にも対応できることは、患者さんの治療の選択肢が増えるという点でメリットがあると思います。
患者層や地域とのつながりはいかがでしょうか。
当院が開業したのがちょうど僕が生まれた年でして、今でも父の代からの患者さんが来院してくれています。このクリニックと一緒に患者さんも年を重ねてきた感じです。この辺りは祭りの盛んな地域ですから、僕も地元の先輩に誘われてだんじりのいろいろな役を経験しました。祭りというのは縦だけでなく横のつながりも強いんです。祭りで関わった方やそのご家族が診療に来てくださることも多いです。岸和田の伝統的なだんじりを通して、地域の方と交流ができたり受診につながるのはうれしいですね。
歯の移植や再植といった外科的な治療も得意とされているのですね。
はい。親知らずを他の場所に移植する「自家歯牙移植」と、抜歯して根っこの治療をした後に歯を元の位置に戻す「意図的歯牙再植」を自由診療で行っています。年齢など条件の制約はありますが、インプラントや入れ歯と違って天然歯の機能を取り戻すことが見込めるのがメリットです。抜歯以外の有用な選択肢として患者さんにご提案しています。インプラント治療をする場合も、その前に歯の移植や再植を検討することが多いです。インプラントは基本的にいつでもできますから、患者さんの歯を抜歯して捨ててしまうのはもったいないと思っていて。1本でも多く自分の歯を残せたほうが、患者さんにとっては長期的に見て良いと思うのです。
一般歯科から歯の移植、インプラントまで幅広く対応
特に注力している治療はありますか。
全身の健康を見据えて噛み合わせを整えることをめざす治療に注力しています。咬合(こうごう)平面、つまり「噛み合わせの面」が左右対称、かつ、目の瞳孔を結んだ線と平行になるのが理想的な状態。口内環境は全身ともつながっているので、咬合平面がずれると、姿勢がゆがんだり全身の不調も起こりやすくなったりするといわれています。ですから、義歯の作製を外注する際は、患者さんの正面と横向きの写真も渡すようにしています。歯科技工士に情報を渡すことで、患者さんの状態もよくわかり、データ上で補正しながら咬合平面が瞳孔と平行になるように技工物を調整できます。噛み合わせを整えることは全身を見据えた包括的な治療につながりますから、歯という木を見るだけでなく、噛み合わせという森を見る診療を常に心がけています。
包括的な治療について具体的に教えてください。
噛み合わせが大切だとお話ししましたが、正しい噛み合わせの実現には全身を見据えた包括的な治療が必要です。上下の顎は計6キロほどの重さがあり、歯はその接点の役割を果たします。下顎は平衡感覚をつかさどっていて、歯がなければ頭を真っすぐに保つことは難しいといわれています。人間の体の中で、歯や口は全身の健康に大きく関わっているのです。ですから虫歯治療といった痛みの治療だけでなく、状態に合わせて矯正や歯の移植、口の筋肉の癖を直すトレーニング、3ヵ月ごとの定期メンテナンスなどが大切。これらを患者さんに合わせて実施し、不調の原因にアプローチするのが包括的な治療だと思います。そうすることで、ひいては全身の健康にも良い影響があると考えられます。中には痛みの治療だけを希望される患者さんもいますが、僕の基本的なスタンスや治療の根拠、「なぜその治療が必要なのか」といった理由までお伝えした上で選んでもらいます。
先生は歯科に苦手意識がある人へも配慮されています。
笑気麻酔を導入したことと、治療ルームとケアルームを分けたことがポイントです。笑気麻酔は、意識を保った状態で中枢神経の機能を抑制するために使用されるものです。ほろ酔いのような感覚で痛みをあまり感じなくなることが期待できるので、不安感や嘔吐反射のある患者さんにも役立ちます。お子さんがごきょうだいで受診されることも多いので、同時に処置を行えるように麻酔用の機器も2台用意しています。定期メンテナンスは切削道具をできるだけ置いていないケアルームで行っています。道具を見ただけでも不安を感じる患者さんも多いからです。患者さんが恐怖を感じている状態では、治療も進めにくくなります。患者さんにリラックスしてもらうことでスムーズに治療が進められるので、歯科医師としてもメリットがありますね。
診療で気をつけていることは何でしょうか。
患者さんに寄り添って診療するスタンスでいます。僕が患者さんだったらできるだけ歯を抜いてほしくないので、できるだけ抜歯しない治療を患者さんにも行います。歯科では治療して終わりではなく、長期的に口内の健康を維持することが大切。噛み合わせを重視した包括的な治療を行うことで、治療後の歯でも長持ちすることが見込めるというメリットも期待できます。患者さんが「歯を残したい」と思うなら、僕もその思いに全力で応えたいと思います。
自分の歯を1本でも多く残せるように
歯科医師をめざしたきっかけやクリニックの継承についてお伺いします。
父が開業医をしていて、僕は診療所と自宅が一緒になった場所で生まれ育ちました。帰宅後は仕事中の父にあいさつをしに行くのが日課で、患者さんとのやりとりもずっと見てきたので、自然と歯科医師の道をめざすように。今は長男が歯科医師としてインプラント治療の修行をしたり、次男が歯学部で学んだりしています。父と同じ教育方針で息子たちを育てた結果、何も言わなくても自然に同じ道を志したのだと思います。ゆくゆくは当院と通ってくださる患者さんたちを息子に任せられたらうれしいですね。
歯を残すためにどんな指導をしているのでしょうか。
正しい習慣を身につけるMFT(口腔筋機能療法)が大切だと考えています。本来、舌は上顎にくっついているのが正しいポジションですが、舌が低位にある低位舌になると歯列接触癖につながってしまいます。その方に対して姿勢良く座ることや、スポット習慣と呼ばれる舌全体を上顎につけることを日々の習慣として行う指導をしております。また、歯列というのは歯の周りの組織、舌や顎で形づくられるもの。歯が1本なくなって隙間ができるだけでも、そこにほっぺや舌が入り込み、口腔機能が低下する可能性もあるのです。矯正治療と並行してMFTを実施することで、根本的な原因にアプローチすることが大切です。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
息子が戻ってきたら、僕はご高齢の患者さんの往診を始めたいと考えています。例えば寝たきりになるとインプラントのケアも難しくなるでしょう。その場合はインプラントを外して、着脱可能な入れ歯にすれば歯磨きも比較的楽になると思います。患者さんには、自分の歯を1本でも多く残せるように、定期メンテナンスや早めの受診をお願いしたいです。インプラントでも入れ歯でも治療して終わりではなく、その後機能的に使えることが大切。どんな治療がいいかは患者さんによって変わりますから、まずは気軽にご相談にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/5万円~、インプラント治療/30万円~40万円、自家歯牙移植/10万円~、意図的歯牙再植/5万円~10万円