歯を残すための治療とは?
「低侵襲歯科治療」について
竹内歯科医院
(綾歌郡宇多津町/宇多津駅)
最終更新日:2025/10/30
- 自由診療
治療の過程で歯質を削られてしまった歯は、本来の強度を失うことでその寿命を減らす。歯の神経や血管が集う歯髄まで除去する事態になれば、歯の寿命はさらに削り取られてしまう。かけがえのない天然の歯を1本、また1本と喪失することが、身体にどれだけ大きな影響を与えるのか。どれだけ人生の幸福な時を奪うのか。「竹内歯科医院」の竹内一貴院長は、そのリスクを理解しているからこそ、歯を、歯髄を保存する治療を強く心がけている。歯の切削や歯髄の除去をはじめとした、歯の喪失につながる処置を可能な限り回避する、それが「ミニマル・インターベンション(最小限の侵襲)」と呼ばれる概念だ。「皆さんにセルフケアの重要性を伝えるところから、この概念は始まっている」。熱くそう語りながら、低侵襲歯科治療を徹底する竹内院長を取材した。
(取材日2023年3月9日/情報更新日2025年10月27日)
目次
歯の切削、歯髄の除去は最小限に。抜歯後も、残存歯への負担軽減に努める
- Q大きなむし歯があっても、神経を残すことはできますか?
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A
▲生きた歯髄を残せれば、その歯の寿命延伸もめざせるだろう
歯髄が壊死していなければ、残せることが多いです。徹底的にむし歯を除去した上で部分的な断髄処置を行い、歯髄が露出してしまった箇所は、生体との親和性や封鎖性に優れたバイオセラミックス材料で充填。細菌の侵入を防げるよう、最後に緊密な修復処置を施すことで、歯髄の保存をめざす治療を歯髄保存療法と呼びます。この治療においてポイントとなるのは、歯科用マイクロスコープの拡大視野下で、精密な診査・診断を心がけることです。壊死した歯髄を残しても意味がありませんから、露出した歯髄を視認し、その血流を確かめた上で覆髄処置を進めます。複数あるどの工程においても、一切妥協しないことがむし歯の再発防止へとつながるでしょう。
- Qむし歯の治療では、たくさん歯を削るイメージがあります。
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A
▲今では、極力「削らない」治療がスタンダードになっている
従来のむし歯治療では、むし歯以外の歯も削ってかぶせ物をするという流れが主流でした。しかし、現在では健康な歯を削る量は最小限として、その穴を白いプラスチック素材などで修復する流れに切り替わっています。私は歯の修復処置を得意としており、欠損部を充填する歯科材料の開発にも携わってきました。ですので、いわゆる「白い詰め物」の特徴をよく理解しています。強度が低いという弱点に対しても、丁寧に時間をかけて硬化させる、一層ずつ積み重ねて収縮量の緩和を図るといった配慮を行っています。マイクロスコープの拡大視野下で切削量の低減に努めながら、時間がたっても割れにくく、着色もしにくいような修復処置をめざしています。
- Q歯を抜いた場合は、どのような治療を行うのでしょうか?
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A
▲どの治療を選択したとしても、残された歯の温存を心がける
まず検討するのは自家歯牙移植です。患者さんご自身が持つ、親知らずなどの不要な歯を移植します。それが難しそうなら、次はインプラントです。近年は骨との結合性がより高く、長さも短いインプラントが登場しており、以前よりも外科的なダメージが少なくなっています。両隣の歯を削ってかぶせ物をするブリッジは、原則として選択しません。残された歯にできるだけ悪影響を与えない方法で修復し、多くの歯が失われていれば、ケアのしやすさなどを考慮して入れ歯も選択肢に加えます。ただし、その場合も残存歯への負担が限られる金属床などを作製しますし、インプラントで入れ歯を維持する処置にも対応しながら、失われた歯の機能回復を図ります。
- Qこちらで行われる治療のモットーを教えてください。
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A
▲毎日のセルフケアと定期的なプロのケアの先に、きっと笑顔がある
科学的根拠に基づいた、安全で確実性の高い治療。再現性の高い治療が当院のモットーです。その中でも、「最小限の侵襲」は常に心がけています。どうしても歯を削る場合は、すぐに削るのではなく、削る時期を極力遅らせるといった工夫も必要です。人工の修復物には、少なからず寿命の問題がありますから。もちろん必要であれば早期に介入しますが、まずは歯を削らなくて済むように、患者さんご自身が丁寧なセルフケアに取り組むこと。私たちが、その重要性を伝えるところから、「最小限の侵襲」という概念は始まっています。むし歯や歯周病のリスクを高める、日々の生活習慣から改善していくためにも、歯科医院には定期的に通い続けてほしいです。
- Qこれから、より力を入れていきたい治療はありますか?
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A
▲幅広い治療の技術を身につけ、トップレベルの治療を届けたい
歯周組織の再生を図る、歯周組織再生療法のスキルを高めていきたいです。例えば骨の一部が垂直に欠損する中等度の歯周病では、自覚症状がほぼありません。そのため患者さんも治療する姿勢になりにくいのですが、長く放置していると抜歯のリスクが高まりますので、近年は積極的にこの治療を提案しています。あとは、根面被覆術ですね。歯周病などで歯肉が下がった状態が続くと、露出した歯の根面にむし歯や知覚過敏が生じやすくなりますから、早い段階での治療を推奨しています。私はまだ勉強中の身ではありますが、このような外科治療においても「最小限の侵襲」を心がけ、常に過去の自分を上回る治療を提供できるようにと、研鑽を積んでいます。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯髄保存療法/1万6500円(MTAセメント使用)、インプラント治療/38万5000円〜(CT代含む。ガイド、仮歯の有無などにより変動)、金属床/38万5000円程度(義歯の設計により変動)、ロケーター義歯/22万8800円〜、歯周組織再生療法/5万5000円程度、根面被覆術/5万5000円程度
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

