- TOP >
- ドクターズ・ファイル特集一覧 >
- 人々のダイバーシティを活力にまちの発展をめざす渋谷区
渋谷区
都心部に位置し、渋谷、恵比寿、代官山、原宿、広尾、代々木など、流行や文化の発信地を多数抱える東京都の特別区。繁華街やショッピングビル、最近ではIT系のオフィスが増加する一方で、甲州街道沿いの区内北部は住宅地が広がる。
渋谷区長インタビュー
多様な人が交じり合って
新しい価値・文化を発信し続ける

- 長谷部 健
- 区長
1972年渋谷区生まれ。専修大学商学部卒業後、博報堂入社。2001年博報堂退社後、まちの清掃活動を行うNPO法人green bird設立。2003年渋谷区議初当選以降、3期連続トップ当選。2015年4月より現職。「人と人とがつながる渋谷」をめざし、クリエイティブな施策を展開している。
平成28年10月、20年ぶりに渋谷区基本構想が改定されましたね。
基本構想で描いた20年後の渋谷の未来像は「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」。人種や性別、年齢、障害など人々の多様性(ダイバーシティ)を受け入れながら、それをエネルギーに変えていくまちです。これを、行政だけでつくっていくのではなく、まちのみんなとつくる。それが渋谷区の方向性です。まちの主役は区民であり、渋谷に集まる人々ですから、皆さんの力を渋谷の原動力にしていきたいと思っています。
多様性を受け入れるための施策にはどんなものがありますか?
ハンディキャップのある方は「手を差し伸べる対象」ではなく、僕らと一緒で、尊敬の対象にもなり得るということを、頭と心で理解するには、多様な人が交流する場が必要と考えています。先日、障害を抱えた方や高齢者、LGBTの方などに対する「意識のバリア」を超えることをテーマとした「超福祉展」が開催され、渋谷区も共催しました。平成30年で5回目ですが、年々、参加者が増えていることから、地道に続けることに意味があるイベントだと思っています。さらに、2020年にはパラリンピックが開催されます。渋谷区は、ウィルチェアーラグビー、パラ卓球、パラバドミントンの会場となりますので、今から、ホームとしてできることを展開中です。区内の小中学校を応援指定校とし、授業の一環として選手との交流、応援の練習などを行っています。スポーツセンターでは各競技の観戦試合や体験会を開催しています。毎回、多くのボランティアが集まり、競技への理解が深まるいいきっかけとなっていると思います。
「世界」を意識した子育て支援や教育にも力を入れていますね。

区の未来像を共有するための渋谷区基本構想ハンドブック。誰にでもわかりやすい、まちづくりのアイデアが湧く言葉が載っている
3年後には妊娠期から出産、子どもが就学するまでの間、一貫して子どもとその家族を支援する「ネウボラセンター」を開設する予定です。フィンランドのネウボラに学び、子育てに関する機能を集約して、親も子も「ここに来れば大丈夫」と思える場になるよう計画を進めています。また平成30年度は東京大学の先端科学技術研究センターと協定を結び、渋谷区の幼児教育プログラムを改定します。世界中の先端メソッドを研究し、幼稚園、保育園、認定こども園の教育に生かしていきます。
渋谷に暮らす人にも、通勤する人にも、遊びに来る人にも渋谷をもっと好きになってもらいたい。めざすは、ロンドン・パリ・ニューヨークと並ぶ成熟した国際都市。区民の皆さんが誇りを持ち、世界中が憧れ、愛されるまちへと進化していきたいです。
(取材日2018年8月1日)