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同愛記念病院 アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

こちらの記事の監修医師
同愛記念病院
アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

ききょう気胸

概要

何らかの原因で肺に穴が開き、空気が漏れ、肺が委縮してしまった状態のこと。肺の委縮は、肺から空気が漏れることと、漏れ出た空気が肺を圧迫することで起こる。軽度であれば自然治癒も見込まれるが、重症の場合は重い呼吸障害が起こり、治療の緊急性を要するものもある。気胸の種類はいくつかあり、はっきりとした理由が見当たらない「特発性自然気胸」、間質性肺炎肺気腫など肺疾患に併発する「続発性自然気胸」、交通事故の刺し傷などがきっかけで起きる「外傷性気胸」、子宮内膜症と関わりがある「月経随伴性気胸」などがある。多いのは特発性自然気胸で、10~30代の痩せ型の男性によく見られる。

原因

気胸の原因は種類によって異なる。「特発性自然気胸」には特定の原因がなく、肺嚢胞が破れることによって起きる。寝ている間に発症することもある。長身・痩せ型の若い男性に多く、ストレスとの関係も考えられる。「続発性自然気胸」は肺疾患が引き金になって発症するもので、特に肺気腫が原因となることが多い。患者は60代が多く、喫煙との関係も認められている。「外傷性気胸」は交通事故などで肋骨が折れて肺に刺さったり、ナイフで刺されたりすることによって発症する。胸部に鈍的衝撃が加わることによって起きることもある。「月経随伴性気胸」は女性の月経前後に起き、子宮内膜症が原因とされる。横隔膜や肺にある子宮内膜が月経の際に剥離し、肺に穴が開いて発症する。30~40代の女性に多い。その他、肺の検査やカテーテル治療などが原因で発症する「医原性気胸」などもある。

症状

主な症状は咳や胸の痛み、呼吸困難など。主訴として胸の痛みを挙げる患者が多く、気胸を起こしている方の胸に痛みが出る。呼吸障害の程度は発症前の肺の状態によるため、軽度のものから重度の症状まで緊急度はさまざま。軽度な場合でも徐々に進行し、重症化することもあるため注意が必要。重篤な場合は大量に空気が漏れ出て、肺だけでなく心臓も圧迫してしまうため、体内の血圧が低下し、臓器の酸欠による多臓器不全(ショック状態)を引き起こすこともある。まれに左右の肺で同時に発症することもあり、その場合は呼吸困難の状態が長く続く危険性があるため、速やかな治療や手術が必要になる。

検査・診断

気胸は左右の肺の片方のみに起こることが多いため、胸に聴診器を当てて左右の肺の呼吸音を聴き比べることで肺の異常を探ることができる。また胸部エックス線検査により、肺がしぼんでいないか、肋骨などが肺に刺さっていないかなど胸の状態を確認することが可能。気胸であるかどうかはもちろん発症状況や重症度も診断でき、外来通院が可能な「軽度」、入院治療を要する「中等度」、入院による持続療法が必要な「高度」などに分類される。さらにCT検査によって、胸膜が癒着していないかどうか、肺気腫などの基礎疾患がないかどうかなどを詳しく調べることができる。

治療

重症度により方法は異なり、軽度の場合は経過観察をしている間に穴が自然とふさがることもある。そのため入院はせずに安静に過ごし、定期的に外来で胸部エックス線検査を行う。中等症~重症の場合は肺から漏れた空気を体外に出すために、胸の中にドレーンという管を入れ、持続的に空気を排出する処置を行う。これを「胸腔ドレナージ」と言い、入院しながら治療を受ける。この処置をしても穴がふさがらない場合や再発を繰り返すとき、左右の肺に同時発症しているときなどには手術が必要。近年では、カメラや手術器具を胸腔内に挿入して嚢胞を切除する「胸腔鏡手術」が行われている。手術を受けると再発のリスクが下がるため、若年層の患者は手術を選択することが多い。「続発性自然気胸」の場合、原則的に手術はせず、薬剤注入などを行う保存的治療を継続して行う。

予防/治療後の注意

特発性自然気胸は、原因がはっきりとわかっていないため明確な予防法はないが、肺に負担を与える喫煙は控えたほうが良いとされている。また栄養摂取や規則正しい食事も大切だ。特に20歳以下の再発率は高いとされているため、日常生活での注意が必要。気胸の手術を行った直後は、気圧の影響で肺に負担のかかる飛行機への搭乗は禁止され、術後約1ヵ月間もなるべく利用を控えるよう推奨されている。スキューバダイビングも同じく避けなければならない。

同愛記念病院 アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

こちらの記事の監修医師

同愛記念病院

アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

1991年佐賀医科大学卒業。国立国際医療研究センター、東京大学、都立駒込病院、英国インペリアルカレッジ留学を経て2008年より現職。専門領域の講演・論文多数。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。