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東京都済生会向島病院 脳神経内科部長 大野 英樹 先生

こちらの記事の監修医師
東京都済生会向島病院
脳神経内科部長 大野 英樹 先生

がんめんけいれん顔面けいれん

概要

顔の一部が、本人の意思とは関係なくけいれんする病気。一般的に片側の目の周囲からけいれんが始まり、次第に頬や口元へ広がっていく。顔の片側半分で起こることが多いので、「片側顔面けいれん」とも呼ばれる。初期の症状は、疲れなどでまぶたがぴくぴく動く症状との区別が難しいことが多い。緊張やストレスなどで誘発されやすく、症状が進行すると、顎の下の筋肉までけいれんするようになる。また、徐々にけいれんしている時間が長くなり、1日中、あるいは寝ている間にも起こるようになることもある。多くの場合、生命に関わることはないが、対人関係や仕事に影響を与えたり、車の運転に支障を来したりすることもあるため、患者本人が日常生活、社会生活において感じる不自由度に応じて治療を考えるのが一般的である。

原因

血管、腫瘍などにより顔面神経が圧迫され、神経興奮が続くことにより起こると考えられている。

症状

顔の片側がけいれんする。まず目の周囲でぴくぴくと引きつりがみられ、それが口元や顎へと広がっていく。さらに進行すると、首筋や耳、額にまでけいれんが広がることもある。まれに、口元から始まって顔全体に広がることもある。症状は顔の片側に現れることが多い。最初のうちは疲労がたまったときなどに症状が出る程度だが、進行するにつれて徐々にけいれんの頻度が高くなったり、けいれんが治まるまでの時間が長くなったりする。人によっては就寝中にけいれんが起こることも。疲労や緊張、カフェインの摂取、ストレスなどの影響により、症状が出る頻度が増える傾向がある。

検査・診断

基本的には問診と視診で診断する。診察時に、目を強く閉じてからぱっと開く、口角を横に引きのばすなど、けいれんを誘発しやすい動きを求められることもある。顔面の筋電図検査や、腫瘍などが原因でないかどうかを確認するために、頭部MRI検査を行うことがある。顔面神経に接する血管があるときは、この血管が神経を圧迫していると予想される。ただし、初期段階では、まぶたが本人の意思とは関係なくけいれんする眼瞼けいれん(顔面けいれんと違い、顔の両側に同時に発生することがある)との区別がつきにくい。また、けいれんが散発的に生じている患者の場合、診察時に症状が出ないこともある。

治療

症状が軽ければ経過を観察する。この場合、ストレスや睡眠不足、喫煙や飲酒など、症状を悪化させる可能性が高い要素は避けるよう努める。また、緊張が引き金になって症状が悪化することもあるため、鎮静薬や抗不安薬によって症状の改善を図ることもある。それでも改善しない場合や、めまい、ふらつきなどの副作用が出てしまう場合には、それ以外の治療法を選択する。代表的な治療法として、筋肉の働きを弱める注射をする「ボツリヌス毒素療法」を行うことが多い。ボツリヌス毒素療法は、ボツリヌス毒素を薄めた薬をけいれんがある部分を中心に注射するもので、注射後2日ほどで顔の筋肉がまひしてけいれんが起こりにくくなる。3~4ヵ月程度で効果がなくなるため、その都度注射を打つ必要がある。根治的治療としては、神経を圧迫している血管を離して固定する手術や、腫瘍を取り除く手術を行う。

予防/治療後の注意

手術後はほとんどの場合、1週間から10日で退院できる。神経への血管の圧迫を除いてもすぐにけいれんが治まらないこともあり、長い人では1年以上かかることもある。

東京都済生会向島病院 脳神経内科部長 大野 英樹 先生

こちらの記事の監修医師

東京都済生会向島病院

脳神経内科部長 大野 英樹 先生

脳神経内科を専門分野とし、脳卒中診療のスペシャリストであるとともに、末梢神経疾患にも精通。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医。