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秋山脳神経外科病院 病院長 秋山 武和 先生

こちらの記事の監修医師
秋山脳神経外科病院
病院長 秋山 武和 先生

こうまくがいけっしゅ硬膜外血腫

概要

人間の脳は頭蓋骨とその下にある三重の膜で覆われています。硬膜外血腫は、転倒や交通事故などで頭部に強い力が加わることにより、脳を覆う膜の中で一番外側にある硬膜と頭蓋骨の間に血液がたまって、塊になった状態を指します。出血の多くは骨折した骨が、硬膜と頭骸骨の間にある動脈や静脈を傷つけたことによって起こり、受傷後数分から2日程度の間に急激に出血して血腫が形成されます。時間がたってから慢性的に進行することはありません。出血量が多い重症例では緊急の治療が必要になります。頭部を強打した場合は、意識がはっきりしていてもできるだけ早く脳神経外科や救急科を受診しましょう。

原因

硬膜外血腫の原因は、高所や階段からの転倒事故や交通事故などによる頭部外傷です。硬膜の内側で起きる出血(硬膜下血腫)は、脳血管の病気を持つ人、血液をさらさらにする薬を飲んでいる人などでは軽い打撲をきっかけに数週間、数ヵ月たってから発症することもありますが、硬膜より外側の出血でできる硬膜外血腫は、頭蓋骨を骨折するような強い衝撃を原因として受傷後すぐに発症します。骨折により硬膜と頭骸骨の間にある中硬膜動脈や静脈の太い部分などが損傷を受け、漏れ出た血液がたまって血腫という塊を形成します。この血腫が大きくなると、その下にある脳組織を圧迫し、さまざまな症状を引き起こすのです。頭部外傷の事故原因は、かつては交通事故が最も多かったのですが、近年では高齢者の転倒が多数を占めるようになってきました。

症状

硬膜外血腫による典型的な症状は激しい頭痛や嘔吐です。受傷直後、あるいは数時間後に重度の頭痛や嘔吐を感じます。いったん頭痛や嘔吐が治まっても、数時間後に再び発症することもあります。また、硬膜外血腫の特徴は、意識がはっきりしている時期があること。受傷直後は意識朦朧としていても数分後には意識は回復し、自覚症状を感じにくい時期があることが多いのです。しかし、ある程度以上の出血があると、数時間後には頭痛、嘔吐、半身の脱力や麻痺、意識障害といった症状が出現します。半身脱力や麻痺は、外傷を受けたのと反対側、例えば脳の右側に血腫ができた場合は、左半身に異常が表れます。

検査・診断

頭部外傷では、まずCTかMRIの画像診断が実施されます。緊急の治療が必要な場合も多いので、特に放射線被ばくを避けたい症例を除き、検査時間の短いCTで行うことが一般的です。頭部CTで血腫の有無は容易に確認できます。ある程度以上の大きさであればすぐに手術となりますが、そうでなければ数時間後に再びCT撮影して出血が進んでいないかどうかを確認し、緊急手術の必要性を判断します。また、頭部外傷では硬膜外血腫だけではなく、硬膜下血腫、脳挫傷などが同時に見られることも少なくないため、得られた画像を慎重に精査して診断を行います。血腫が小さい場合は、意識障害や麻痺などの症状がなければ、継続的な画像検査を続けながら経過観察となります。

治療

硬膜外血腫は軽症であれば、手術を行わなくても、たまった血液は時間をかけて自然吸収されていきます。しかし、血腫が大きい重症例では通常、緊急手術が実施されます。手術は全身麻酔下で頭蓋骨を大きく開け、血腫を取り除く手術が一般的です。場合によっては、開けた頭蓋骨をしばらく元に戻さず、数週間かけて脳のむくみが引いてから戻す減圧開頭術を併用することも。血腫を取り除いても脳がむくんでいると、生命維持に重要な脳幹を圧迫して死に至ることがあるからです。また、同時に骨折した頭蓋骨を修復し、時には人工骨も用いて元に戻します。硬膜外血腫の手術では脳を包んでいる膜を切除する必要がないため、脳内に損傷がなければ、早期治療により良好な経過が期待できます。

予防/治療後の注意

受傷直後に小さな硬膜外血腫が見つかったが経過観察となった場合、その血腫は縮小しても硬膜下で徐々に出血して、別の血腫が出現することがあります。また、硬膜外血腫の手術を受けた後、数ヵ月、数年してから硬膜下血腫が見つかるといったことも。症状がなくなっても自己判断で通院をやめるようなことはせず、医師の指示に従ってください。また、頭部外傷事故を完全に防ぐ方法はありませんが、バイク・自転車運転時のヘルメット着用、高齢者の転倒予防トレーニングなどにより、受傷する確率や程度の軽減が図れます。

秋山脳神経外科病院 病院長 秋山 武和 先生

こちらの記事の監修医師

秋山脳神経外科病院

病院長 秋山 武和 先生

2001年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部外科学教室研修医を経て、脳神経外科に入局。慶應義塾大学病院、関連病院、脳神経外科専門病院での診療後、2011年秋山脳神経外科病院副院長に就任。2017年から現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医。専門は脳神経外科全般、脳血管内治療、神経内視鏡、脳卒中救急医療。「患者を思いやる気持ちを大切にする」がモットー。