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こちらの記事の監修医師
神奈川県立こども医療センター
形成外科部長 小林 眞司 先生

くるーぞんしょうこうぐん クルーゾン症候群

概要

生まれたばかりの赤ちゃんは2歳になるまでに脳の大きさが4倍になるため、頭蓋骨が7つのピースに分かれて急激な成長に対応しています。それぞれのピースのつなぎ目を頭蓋縫合といいますが、この頭蓋縫合が早期にくっついてしまう病気を頭蓋骨縫合早期癒合症と呼んでいます。「クルーゾン症候群」は顔面骨の縫合早期癒合も合併するために症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症の一つです。頭蓋・顔面の縫合線が早期にくっついてしまうことで頭蓋骨や顔面骨の成長に支障を来し、脳の発達が阻害されたり、眼球が突出したりと、頭蓋や顔面にさまざまな異常を引き起こします。クルーゾン症候群の場合、肘関節伸展制限や精神発達・運動発達の遅れがみられることもあります。なお、症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症には他に「アペール症候群」や「ファイファー症候群」などがあり、症状と以下の原因遺伝子などによって分類されます。

原因

頭蓋骨縫合早期癒合症は遺伝子の異常によって引き起こされます。中でも、クルーゾン症候群はfibroblast growth factor receptor2 (FGFR2)という遺伝子の異常が原因であり、主にFGFR2のIgⅢa/c ドメインに異常が集中していることがわかっています。また、皮膚に黒色表皮症を伴う場合は、fibroblast growth factor receptor3 (FGFR3)遺伝子に異常があることもわかっています。発生頻度は約6~10万出生に1~1.6人という非常にまれな病気です。

症状

頭蓋骨や顔面骨の縫合線が早期にくっついてしまうことで、どんどん大きくなる脳の成長に対応できず、頭蓋や顔面などが正常に発育できなくなります。その結果、頭蓋では、頭蓋内の圧力が高くなる頭蓋内圧亢進症、脳に過剰な脳脊髄液がたまる水頭症、小脳が下がり陥入するキアリ奇形などの異常が起こります。顔面では、中顔面を構成する骨の成長が妨げられるため、眼球が突出したり、受け口になったり、気道がふさがれ呼吸に支障を来すなどの異常が起こります。そのほか、巨舌や外耳道狭窄・閉鎖、伝音性難聴がみられるケースも見られます。クルーゾン症候群の場合は、原則として手足の異常はありません。精神発達や運動発達の遅れを来すこともあります。

検査・診断

症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症は頭蓋骨や顔面の特異的な変化がみられるため、ほとんどの場合は診察だけで診断することができます。頭蓋骨縫合早期癒合症と診断されると、さらに詳細な検査で症状の程度を見極めます。具体的には、頭蓋内圧亢進症状、水頭症、キアリ奇形など脳の異常などを確認するために、MRI検査やCT検査を実施します。新生児期には、睡眠時無呼吸の有無も確認します。他には頚椎の検査、目の検査、聴力・中耳の検査、口腔内の検査なども行っていきます。

治療

生後に頭蓋骨縫合早期癒合症と診断されると、脳の急速な成長に追いつくために、頭蓋骨を広げる形成手術が必要です。また、重度な睡眠時無呼吸がある場合は、経鼻チューブ、気管内挿管、気管切開術を行うこともあります。首の骨(環椎と軸椎)が脱臼していると環軸椎の固定術を行うこともあります。そして、その後は年齢や症状、成長などに合わせて、さまざまな対処療法を進めていきます。基本的に短期間の治療や手術で完治することはなく、手術は複数回に及びます。具体的な治療としては、頭蓋内圧亢進症状に対する骨延長手術などの頭蓋形成手術、水頭症に対するシャント手術、キアリ奇形に対する減圧手術、頭蓋・顔面領域の骨延長術や中耳炎の手術、歯科矯正治療、顔面の再手術や噛み合わせの治療などを行っていきます。

予防/治療後の注意

短期間の治療や一度の手術で完治することはないため、長い期間にわたって病気に向き合っていく必要があります。成人後であっても顔面や噛み合わせの手術・治療を行うことも少なくありません。定期的に医療機関を受診し、適切な治療や経過観察を受けていくことが重要です。

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こちらの記事の監修医師

神奈川県立こども医療センター

形成外科部長 小林 眞司 先生

山形大学医学部卒業後、横浜市立大学 形成外科入局。横浜市立大学救命救急センターなどでの勤務を経て、1997年より神奈川県立こども医療センターに勤務。2006-2007年 ハーバード大学マサチューセッツ総合病院形成外科リサーチフェローを経て、2008年神奈川県立こども医療センター形成外科科長、2010年より現職。専門は口唇口蓋裂、クルーゾン・アペール・ファイファー症候群などの頭蓋縫合早期癒合症、頭蓋顎顔面領域の疾患