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こちらの記事の監修医師
慶應義塾大学医学部整形外科学教室
松本 守雄 先生

きょうかくでぐちしょうこうぐん 胸郭出口症候群

概要

胸郭出口症候群とは、上腕や肩への負担のかかる運動で神経や血管が障害を受けることにより、肩、腕、手の部位にしびれや痛み、冷感、時には動かしにくさの症状が表れる状態のことをいいます。また、これらの症状を肩こりとして感じる人もいます。 胸郭出口症候群はなで肩の女性に多くみられますが、筋肉を鍛えている男性でも発症することがあります。睡眠時の姿勢を変えることや、日常生活における動きを正しく意識することが、痛みなどの症状軽減につながります。病気と気づかないうちに症状が長期化したり、増悪したりした場合には、頭痛や吐き気などその他の症状を伴うこともあるので、早めに医師の診断を受け適切な治療を行うことが重要です。

原因

病気を発症する原因として先天性のものがあり、生まれながらに鎖骨と第一肋骨の間を通る神経や血管のトンネルが狭いことが考えられます。また、なで肩の女性や仕事で重い荷物を持つことの多い人、無理な筋力トレーニングを行っている人、手を高くあげるスポーツ(野球、バレーボール、テニス、バドミントンなど)を行っている人に発症しやすい傾向にあります。特に、20~30代の女性に発症しやすいのが特徴で、首回りや肩周りの外傷などが原因となり症状が表れることもあります。

症状

症状には手のしびれや痛みによる握力の低下・肩こり、冷感などがあります。実際に、肩こりを感じて通院したことをきっかけに、胸郭出口症候群が見つかる人もいます。症状が長く続き悪化していくと、自律神経系にも影響を与えるために頭痛や吐き気などの症状を訴える人もいます。腕を上げたり肩を上げたりした際に、腕のしびれや脱力感を感じる場合でも胸郭出口症候群の可能性があります。胸郭出口症候群と診断された後は痛みの症状の悪化を防ぐため、重い荷物を背負うなど負担のかかる動作や仕事はなるべく避け、症状改善に努めましょう。

検査・診断

診断の際にはエックス線検査、医師による触診や問診、各種テスト(アドソンテスト、ライトテスト、ルーステスト、エデンテストなど)、MRI、超音波検査、造影CTなどが行われます。エックス線検査では、第7頚椎の横突起が発達して肋骨のように伸びる頚肋(けいろく)の有無や、肋鎖間隙撮影で鎖骨や第1肋骨の変形によりこの間隙が狭くなっていないか確認します。似たような症状が出現する疾患には、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、脊髄腫瘍などがあるため、これらの疾患との鑑別も重要です。

治療

治療は保存療法が中心となります。保存療法の選択肢としては、リハビリテーションや温熱療法、薬物療法などがあり、これらを組み合わせて行います。痛みが重度の場合や、スポーツ選手などで早期にスポーツを再開しないといけない場合などには、手術療法を行うこともあります。頸肋が原因の場合はその切除を行いますが、頸肋がない場合は第1肋骨の切除を行います。胸郭出口症候群の手術は通常全身麻酔で行いますが、手術による神経損傷のリスクなどもあります。

予防/治療後の注意

胸郭出口症候群の治療後は、できるだけ腕や肩に負担をかけないようにすることが大切です。疲労を感じた際には、十分な休息をとり疲労をためないように意識しましょう。また、手や腕のしびれ、握力の低下などの症状があるときには肩を少しすぼめた状態で安静を心がけてください。入浴などで体を温めることは、血液循環が促進され、疲労回復や血流低下の改善にも効果的です。日常生活の中では、重い荷物は腕が引っ張られて症状を悪化させるので、できるだけ手で持たないようにしましょう。キャリーバッグを使ったり、左右の手で交互に持ったりするなど、肩に負担をかけない工夫をしてください。

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こちらの記事の監修医師

慶應義塾大学医学部整形外科学教室

松本 守雄 先生

1986年慶應義塾大学医学部卒業。同大学医学部にて研修の後、1988年同大学医学部整形外科学教室へ入局。米国ALBANY医科大学への留学などを経て、2008年慶應義塾大学医学部整形外科学教室の准教授に就任。2017年より現職。日本整形外科学会、日本側弯症学会にて理事長を務める。