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村山医療センター 朝妻 孝仁 院長

こちらの記事の監修医師
村山医療センター
朝妻 孝仁 院長

ついかんばんへるにあ椎間板ヘルニア

概要

身体の中心に通っている脊椎(背骨)は、24個の椎骨(ついこつ)が積み重なって形成されている。上から7個の椎骨を頸椎、12個を胸椎、下の5個を腰椎という。それぞれの椎骨の間でクッションの役割を果たしている円盤状の軟骨が椎間板だ。この椎間板が、老化や運動などによって本来の位置からはみ出した状態が椎間板ヘルニアだ。はみ出た部分が神経を圧迫することで、痛みやしびれといった症状が発生する。ちなみに「ヘルニア」とは、臓器などが本来あるべき位置から外に出てしまった状態を指す。ヘルニアが発生する部位によって、頸椎椎間板ヘルニア、胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアに分類される。最も多いのは腰の部分に発生する腰椎椎間板ヘルニアだ。50歳代をピークとして、男性は女性の約2倍の確率で発症する。

原因

椎間板は、髄核と呼ばれるゼリー状の組織を、線維輪というコラーゲンの繊維でできた組織が包み込むような構造になっている。加齢によって椎間板が老化すると、髄核が線維輪を破って外へはみ出しやすくなる。椎間板は縦方向の圧力には強い反面、曲がったりひねったりという方向には比較的弱い性質があり、腰を曲げて重いものを持ち上げたり、身体を強くひねるといった動作が引き金となって、腰椎椎間板ヘルニアを発症することが多い。悪い姿勢を長時間続けることや、喫煙が原因になることもある。頸椎椎間板ヘルニアは、交通事故などによって起こることも少なくない。胸椎椎間板ヘルニアは少なく、外傷などの誘因が見られないことが多い。

症状

痛みやしびれなどの症状の現れ方は、ヘルニアの発生部位や状態によってさまざまで、腰椎椎間板ヘルニアでは、腰・臀部の痛み、座骨神経痛による足の痛みとしびれ、筋力低下、歩行困難などの症状がみられる。前かがみになったり、椅子に座ったりすると痛みやしびれが強くなることが多い。神経の圧迫が進むと、尿が出にくい、便秘がちになるといった症状が出ることもある。頸椎椎間板ヘルニアの症状には2つのタイプがあり、ひとつは首の痛みと片方の肩や手に強い痛みやしびれが生じるもの。もうひとつは両手に痛みとしびれが出て、箸が使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりする症状だ。足のもつれや歩行障害が出ることもある。胸椎椎間板ヘルニアは足のしびれや脱力感、歩行障害などが特徴的な症状で、痛みは少ない。一方、ヘルニアがあってもまったく症状が現れず、本人が気づいていないケースも多い。

検査・診断

MRI検査でヘルニアの状態を画像診断する。他に必要があれば神経の圧迫状況を調べる脊髄造影や、椎間板の変性程度とヘルニアの部位を調べる椎間板造影、同様に神経根の状態を調べる神経根造影、CT検査などを行い、視診・触診と合わせて診断する。腰椎椎間板ヘルニアでは、あおむけに寝て膝を伸ばした状態で片方ずつ足を持ち上げる下肢伸展挙上テストを行い、座骨神経痛が誘発されるかどうかを確認する。他に足の感覚や力が弱くなっていないかどうかを調べて診断する。

治療

椎間板ヘルニアに対する治療の第一選択は保存的療法だ。安静を心がけ、痛みが強いときは消炎鎮痛剤や筋弛緩剤を投与し、神経ブロック(神経の周囲に痛みや炎症を抑える薬を注射する)などで痛みを和らげる。急性期を過ぎて痛みが軽くなったら、けん引やマッサージ、温熱療法、低周波治療、運動療法などを行う。腰椎のヘルニアはコルセットの装着、頸椎の場合はカラーで固定することもある。これらの保存的療法では痛みが治らない場合や、筋力低下、歩行困難・排泄困難といった症状が進行する場合は、手術的療法が検討される。手術には、ヘルニアを摘出する方法と、髄核の一部を摘出することで突出した部分を戻す方法があるが、一般的には前者のヘルニア摘出術が行われる。最近では内視鏡を使った低侵襲手術も増え、身体への負担が少なく入院期間も短縮されるようになった。

予防/治療後の注意

日常的な予防方法としては、背骨に負担をかけないことが大切になる。重いものを持つときは腰をかがめずにひざを使って持ち上げよう。長時間同じ姿勢でいることを避け、適度な運動を習慣づけることも効果がある。腹筋や背筋は背骨への負担を少なくするので、筋力の維持・向上を心がけたい。ニコチンは椎間板周囲の血管を収縮させることで変性を促進するため、禁煙が望ましい。

村山医療センター 朝妻 孝仁 院長

こちらの記事の監修医師

村山医療センター

朝妻 孝仁 院長

1978年慶應義塾大学医学部卒業。大田原赤十字病院整形外科副部長を経て米国バーモント大学へ留学、脊椎のバイオメカニクスに関する研究を行う。1995年防衛医科大学校整形外科講師、2004年防衛医科大学校整形外科学講座助教授。2013年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医。慶應義塾大学医学部客員教授。医師としてのポリシーは、「自分が手術した患者さんは最後まで責任を持って診る」。