こちらの記事の監修医師
医療法人社団済安堂 井上眼科病院
井上 賢治 院長
さんりゅうしゅ霰粒腫
最終更新日:2022/01/04
概要
まぶたの縁にあるマイボーム腺(脂質を分泌して涙の蒸発を防ぐ働きを持つ器官)が詰まり、そこにおかゆのような脂肪がたまって、まぶたにコロコロしたしこりができる病気。また、分泌される脂質の粘度が高くなり、マイボーム腺の出口に詰まりやすくなることでも発症する。麦粒腫(ものもらい)と似た症状が見られるが、痛みをほとんど伴わない点、細菌感染が原因ではなく無菌性の炎症である点が異なる。乳幼児から高齢者まであらゆる年代に発症する病気で、人にはうつらない。また、腫れ物が細菌などに感染し炎症を起こした場合を急性霰粒腫、その炎症部位が化膿した場合を急性化膿性霰粒腫という。地域によっては「めいぼ」「めぼ」などと呼ばれる。
原因
マイボーム腺が詰まる原因は、ホルモンバランスの乱れで分泌液の粘度が高まってしまうことや、化粧品などが詰まってしまうことなどが挙げられる。また、油脂の多い食生活も原因の一つと考えられている。
症状
まぶたに腫れ物ができ、異物感を感じる。麦粒腫と違い、まぶたが赤くなったり、痛みを伴ったりすることはほとんどない。放置すると腫れ物は大きくなっていき、症状が進むとまぶたの外側や内側を破って、まぶたの皮膚までただれることもある。急性霰粒腫の場合は、まぶたの痛みや赤みが見られる。急性化膿性霰粒腫では、まぶたの腫れ物や痛み、赤みのほか、細菌感染による化膿を伴う。
検査・診断
臨床症状と問診から判断する。似た病気に、まぶたのがんである「脂腺がん」があり、特に高齢者で大きくなっていく場合、繰り返し発症する場合は、組織の病理検査でがんの検査も行う。
治療
腫れ物が小さいうちは、自然と治癒することも多いため、抗生物質の点眼のみで経過を観察する。腫れ物が大きい場合や点眼で治らない場合は、まぶたを切開して腫れ物を取り除く手術が必要になることも。炎症を伴う急性霰粒腫では、まず抗生物質の点眼や内服薬で炎症を抑えてから、手術による治療を行う。手術は通常、まぶたを裏返して結膜側から行い、切開の長さも約1mmなので皮膚の表面に傷痕が残ることはない。小児で手術を行う場合は全身麻酔が必要となることもあるため、手術せず、眼軟こうや点眼などで経過を見ることも多い。
予防/治療後の注意
予防として、普段から汚れた手で目をこすったりしないよう、目の周りを清潔に保つ。脂腺が詰まりやすくなるため、アイスクリームやバター、チョコレートなど油脂の多い食べ物は食べ過ぎない。また、暑い季節でも湯船につかることも予防に効果的だ。
こちらの記事の監修医師
井上 賢治 院長
1993年千葉大学医学部卒業後、1998年東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部附属病院分院(現在は本院に統合)眼科医局長、名戸ヶ谷病院眼科部長、井上眼科病院附属お茶の水・眼科クリニック(現:お茶の水・井上眼科クリニック)院長を経て、2008年に同院母体である医療法人社団済安堂の理事長に就任。2012年から井上眼科病院院長を兼務。日本眼科学会眼科専門医。
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