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こちらの記事の監修医師
荏原病院
感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

くりみあこんごしゅっけつねつクリミアコンゴ出血熱

概要

ダニが媒介する急性熱性疾患で、エボラ出血熱、マールブルグ出血熱、ラッサ熱とともに、ウイルス性出血熱4疾患の一つに数えられる。死亡率も非常に高い。ダニから直接感染する以外にも、感染した動物や患者の血液や体液に直接触れることもウイルスに感染する原因となる。4疾患の中ではラッサ熱に次いで感染者が多く、その範囲もアフリカ大陸から東ヨーロッパ、中近東、中央アジア諸国、中国西部にかけて広く分布しているが、北緯50度より北の地域では比較的感染リスクが低い。また、このウイルスはアメリカ大陸には存在しない。人と獣の共通感染症として重要な疾患の一つである。

原因

クリミアコンゴ出血熱ウイルスは、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜や、ウサギや各種鳥類などの小動物、野生動物などとマダニとの間に感染サイクルが維持されている。近年は経卵巣伝搬経路でマダニ体内での垂直伝播が起こることがわかり、ダニ-ダニ間でもサイクルが維持されている。 このウイルスのヒトへの感染は「感染マダニに咬まれたり、感染マダニをつぶすことによっての感染」、「感染した家畜、野生動物の血液や体液、内臓と濃厚に接触することによっての感染(流行地の農業従事者や畜産家、獣医師などの感染リスクが高い)」、「患者に接する医師や看護師などの医療従事者、また患者の家族などが、密に患者と接触することによる感染」などの経路が存在する。特に院内感染はしばしば発生し、パキスタンやドバイの病院などでは手術による血液との接触により医師や看護師らがウイルスに感染したケースが報告されている。しかし、このウイルスは他の出血熱ウイルスと同様、空気感染は否定されている。

症状

潜伏期間は2~9日程度。発症は突発的で、頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、リンパ節の腫れが起こる。重症化すると、点状の出血や大きな紫斑(皮膚下に出血したため現れる紫色の模様)、血管虚脱、血便、鼻血などの出血症状も見られる。場合によっては、肝不全や腎不全、消化管出血を起こして死亡することもある。感染後の発症率は約20%程度で、致命率は約15〜40%とされている。回復する場合は症状出現後9~10日で症状が回復する。なお、この疾患は感染症法により一類感染症に定められており、感染の疑いあるいは感染が確定すれば第一種感染症指定医療機関への入院が都道府県知事より勧告されることもある。感染の疑いがある場合は、必ず検疫所や保健所に相談し指示に従うこと。

検査・診断

第一種感染症指定医療機関にて検査・診断をうけることが望ましい。診断は患者の血液や組織から、「酵素免疫測定(ELISA)法」によるウイルス抗原の検出、「RT-PCR法」によるウイルス遺伝子検出や「細胞培養によるウイルス分離」などの方法を用いて行う。またウイルスに対する特異抗体(IgGやIgM)を検出することも有用である。なお、患者から採取した検体は、バイオハザード(有害な生物による危険性)のリスクが非常に高いため、病原菌を扱う上で安全性のレベルが最も高い環境で取り扱う必要がある。感染の疑いがある場合は必ず検疫所や保健所に相談し指示に従うこと。

治療

この疾患に対し、現在のところ特異的な治療法は発見されていないし、ワクチンも存在しない。そのため、治療は症状に応じ、輸液、輸血などを行う対処療法が中心となる。しかし、抗ウイルス薬である「リバビリン」がクリミア・コンゴ出血熱ウイルスの増殖を抑制するという知見も見出されている。実際に患者にこの薬が投与され、効果が認められたとする症例報告があるが、効果はいまだ実証されていない。

予防/治療後の注意

この感染症にワクチンや予防薬は存在しないため、予防が重要となる。まず必要なのがダニ対策だ。ダニが特に活発に活動する春から秋は、ダニが多数生息する地域へ行くことを控え、屋外では虫よけスプレーを使用し、衣服や肌にダニが付いていないかをこまめにチェックする。また、流行地域に行く場合は、ダニに気をつけるのはもちろん、家畜を含む動物や、その血液に触れないようにする。

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こちらの記事の監修医師

荏原病院

感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

1996年、宮崎医科大学卒業。宮崎医科大学寄生虫学教室、墨東病院感染症科、奈良県立医科大学病原体・感染防御医学/感染症センターにて基礎医学・臨床の両面から感染症に携わる。2016年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会感染症専門医の資格を持つ。